現在放送中のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』の主題歌『笑ったり転んだり』を担当し、毎朝、視聴者の心を優しく包み込んでいる夫婦デュオ『ハンバート ハンバート』。
そんな彼らが、大みそかの『第76回NHK紅白歌合戦』への出場が内定したと、スポニチアネックスが報じた。報道によると、局関係者は「朝ドラ企画」という形で期待しているようだ。
この報道に、長年のファンやドラマ視聴者からは「毎朝テレビで聴けるの幸せ 紅白きた」「嬉しい!出ると思ってたよ。おめでとう」など、喜びの声があがっている。
朝ドラ『ばけばけ』主題歌抜擢きっかけは20年前の曲
『ハンバート ハンバート』は、佐藤良成と佐野遊穂による夫婦デュオ。1998年の結成以来、アコースティックなサウンドと独特な世界観を切り取った歌詞、そして二人の絶妙なハーモニーで支持層を築いてきた。
結成当時は佐藤と佐野の他にベースやドラムなど6人組のバンドとして都内のライブハウスを拠点に活動していたが、就職などでメンバーが離散し最終的にデュオになったという。デュオとなってから2003年にメジャーデビューを果たし、東京から全国へと活動を広げた。
今回の朝ドラ主題歌抜擢には、彼らの代表曲の一つである『おなじ話』(2005年)がきっかけだった。この曲を聞いた製作陣から「夫婦が対話するような曲を作ってほしい」とのオファーで小泉八雲の妻・セツの回想記『思い出の記』を何度も読み込んで作詞したという。
ライブには涙ぐむファンも
「あんぱんはRADWIMPS、おむすびはB'z、虎に翼は米津玄師など、どちらかといえば大衆的で幅広い世代に親しみやすいアーティストが選出されることが多かっただけに、独特の世界観を持った『ハンバート ハンバート』が起用されたのは異例だったかもしれません。知名度という点では確かに差がありますが、静かで日常を切り取ったようなメロディーと歌詞に『朝ドラ史上最高に癒やされる』と多くの視聴者の心を掴んでいます」(音楽メディア関係者)
癒し、ほっこりした夫婦フォークデュオといったイメージで知名度が上がったが「死生観」「社会への疑問」など、大衆に馴染みのない孤独感がテーマの楽曲も多い。ドラマの主題歌というと制作側の意向が反映され、世界観が制限される懸念もあったが「忙しい朝の癒しタイム、毎朝ありがたい」「主題歌飛ばさずちゃんと聞いてる」など、“ハンバートらしさ”を残した主題歌は完成度の高い楽曲と評価する声も多い。
「評価と知名度が急上昇したハンバートですが、ライブの完成度も高いといいます。これまでに何度かフジロックにも出演していますし、肩肘張らない楽しさや音楽の完成度、完璧すぎないバランスが心に響き、ライブでは涙ぐむファンも多くいます。MCでも、佐野さんと佐藤さんの夫婦漫談のようなやり取りも好評のようです」(前出・音楽メディア関係者)
『ハンバート ハンバート』にとって、紅白出場は約27年の活動の集大成ともいえる舞台となる。大みそかの夜、『笑ったり転んだり』を聴けたら胸に響く年越しになりそうだ─。
