立憲民主党の山登志浩衆議院議員(立憲民主党の公式サイトより)

 自民党の高市早苗首相が11月7日の衆院予算委員会で発した台湾有事に関する発言をめぐり、立憲民主党議員の対応が物議を醸している。特に、同党の山登志浩衆議院議員が15日に投稿したポストを巡って批判が集中し、炎上する事態となっている。

専門家が指摘する岡田議員の“思惑”

 この問題の発端は、11月7日の衆院予算委員会での質疑だ。高市首相は、立憲民主党の岡田克也議員から、中国が台湾に武力で侵攻する事態が、集団的自衛権の行使が可能となる“存立危機事態”に当たるか問われ、「戦艦を使って、武力行使も伴うものであれば、存立危機事態になり得る」との見解を示した。

 この発言は、歴代政権が避けてきた“一線を越えた見解”として即座に国際問題へと発展。中国外務省報道官は発言の撤回を要求し、在大阪の中国総領事はSNSで高市氏に対し「汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」という極めて過激な言葉を投稿するなど、日中関係は緊張感に包まれた。

 じつは、この国際問題に発展した発言の背景には、立憲民主党・岡田克也議員の執拗な質問があった。岡田議員は、7日の予算委員会で高市首相が歴代政権の見解を述べるにとどめようとするなか、より具体的なケースについての説明を執拗に求め続け、その結果、高市首相は前述のような見解を述べるに至った。その追及の姿勢は国民から「しつこい」「意地悪だ」と指摘され、一部週刊誌が「しつこく聞くから悪い」と岡田氏を問題視する記事を配信。

 その記事に対し、山登志浩議員は11月15日、自身のXで、岡田議員の高市首相への追及を擁護する以下の投稿を行った。

「野党の役割は権力の監視。疑義があれば、しつこく問いただすのは当たり前。これまでの政府見解から一線を超えた答弁こそ大問題。一国の首相の発言は、極めて重い。今からでもいいので、発言の撤回を」

 この投稿には多くのコメントが付いたが、「野党の役割は権力の監視」という部分に、SNS上では《いやいや、立憲岡田議員のあのしつこい質問は権力の監視というより、ただの揚げ足取りでしょ》といったような反応が多く見られたのだ。

 たしかに野党の役割のひとつは“権力の監視”だが、岡田氏のあの質問は“権力の監視”と言えるものだったのか、政治ジャーナリストの青山和弘氏はこう指摘する

「外務大臣経験者の岡田克也さんは、高市さんが総理になる前に言っていたような発言を引き出せば問題になるとわかっていたはずです」

 総理になる前から一貫して、台湾有事は日本の存立危機事態に該当する可能性が高いと発言していた高市首相。岡田氏は首相になった高市氏が以前の発言を翻すと思って執拗に聞いたのだろうが、高市氏が発言を変えることはなかった。高市氏が発言を変えれば岡田氏の思うツボだったのかもしれないが――

「岡田さんは高市さんが発言を修正してくると思ったのだと思いますが、同じ趣旨の発言をしたので驚いたと思います。いずれにせよ、岡田さんの質問は“権力の監視”というよりは、高市さんの過去の発言との矛盾を問題視しようという意図のほうが強かったようにも思えます」(前出・青山和弘氏)

 高市首相の所信表明演説での“執拗なヤジ”以来、立憲民主党に対する風当たりは強いが、まだ収まりそうもない。