※写真はイメージです

 季節を問わず面倒な、ごはん作りや後片づけ。中でも冬はキッチンが冷え込み、水も冷たいので、家事の手間を減らしてキッチンに立つ時間も短縮したい。

 そこでラク家事アドバイザーの島本美由紀さんと、知的家事プロデューサーの本間朝子さんに冬の台所仕事を劇的にラクにするアイデアを教えてもらった。

寒い冬こそ「最初から汚さない!」が鉄則

 島本さんが「便利なグッズを活用するのがポイント」と推すのはクッキングシート。

「使い切れなくて余らせがちなアイテムですが、ちょっとした『面倒くさい』を解消するのに便利。混ぜご飯を作るときにボウルに敷いて、その上でご飯と具を混ぜれば、米粒がくっつかず洗うのもラク。おにぎりを握るときもこれで握れば熱くなく、シートにくっつきにくいので続けて何個も握れます」

 一方、本間さんも洗い物を減らすグッズとしてまな板シートの活用を提案する。

「肉や魚を切るときにまな板にシートを敷けば衛生的ですし、使い捨てなので洗う手間も解消。ニンニクなどのニオイや、にんじんなどの色のつきやすいものを切るときにも便利です」

 湯せん調理やレンジ加熱もできると巷で話題のポリ袋「アイラップ」もオススメ。

「ボウル代わりに使って、そのまま冷凍保存も可能。手も調理器具も汚れません。時短のコツは『汚したら洗う』ではなく『最初から汚さない』発想で考えることです」(本間さん)

冬の定番「鍋料理」はハサミだけで完結

 この「汚さない」発想のもと、おふたりともなるべくまな板や包丁を使わないアイデアを駆使。肉や魚はトレイの上でカット、野菜も手でちぎるかハサミでカットし、極力洗い物を減らす工夫を徹底。

「冬に出番の多い鍋料理も、ハサミだけあれば作れます。調味液を鍋に入れたら、トレイの上で切った肉や魚を入れて、ちぎるかハサミで切った白菜や春菊、キノコを入れ、豆腐も手でちぎるか、スプーンですくって入れればOK」(島本さん)

「切らない」「とがない」便利食材の活用がカギ

 調理がラクになる食材選びもポイント。

カット野菜や冷凍野菜は、ハサミや包丁、まな板を使わなくていいので重宝します

 と島本さん。

「付け合わせや野菜炒めに使うイメージですが、おみそ汁に入れたりしゃぶしゃぶに使ったりと、レパートリーを増やすと使い勝手がさらにアップ。肉類も初めからひと口大にカットされているものを選ぶと手間いらず」(島本さん)

 本間さんも、お米は米とぎ不要な無洗米の一択。

「冬は手が冷えるので、無洗米がだんぜん役に立ちます。普通のお米がいい方は、15~20℃のぬるま湯でといでも味が変わらないので試してほしいです」

 冬の時短調理のポイントは「ほったらかし」が正解、とおふたり。

寒い日は材料を切って鍋に入れたら『放置』できる料理がベスト。おでんやポトフ、豚汁など時間がたつほど味がしみておいしくなりますし、火にかけておけば湯気がキッチンを暖めてくれるので暖房代わりに。煮立ったら火を止めてバスタオルでくるめば余熱でじんわり味がしみて、保温にもなるのでガス代の節約にも」(本間さん)

 島本さんも調理家電はどんどん活用してほしいと話す。

「暑くて火を使いたくない夏にオススメのレンジ調理は、冬も便利ですが、イチ推しは炊飯器調理。サムゲタンや大根の煮物など、時間のかかる料理も具を入れたら放っておくだけで完成します」

こすり洗い不要の洗剤を効率よく活用

 最後に水が冷たい冬、おっくうになる洗い物がラクになるアイデアも伺った。

「食器類はぬるま湯で洗いますが、肉や魚を切った後の包丁やまな板はまず水で洗います。最初からお湯を使うと、タンパク質が固まって落ちにくくなります」(島本さん)

 鍋の焦げつきは「煮て落とす」のが正解と教えてくれたのは、本間さんだ。

「水と洗剤を入れて煮立てれば、こすらず汚れが浮き上がります。頑固な焦げは重曹を少し加えて5~10分煮立てて放置、冷めたころにはスルッときれいになります」

 さらに、本間さんは泡のパック洗剤もオススメする。

しつこい油汚れや落としにくいご飯粒も、スプレーしておくと、こすり洗いが不要。手荒れ予防にもなります

 本間さんは、「『手を抜く=手を守る』と考えて、“温めながら・触らず・こすらず”を意識すると冬の台所仕事がグッとラクになります」と、アドバイス。さっそくできそうなことからスタート!

島本さん厳選!時短アイデア

ささいな面倒もクッキングシートが解消

「ショウガをするときに、シートを敷けば繊維が目詰まりせずムダなくすりおろせ、シートごと搾ればショウガ汁も簡単。バターやチーズを切るときにナイフをくるめば、くっつきを防いでスムーズにカット」

ささいな面倒もクッキングシートが解消 撮影/伊藤和幸

冬の定番「鍋料理」はハサミだけで完結

 肉も魚も葉物系野菜もカットできるキッチンバサミは1本持っておくと便利。「おみそ汁やスープなども、かたい根菜類でなければハサミだけで作れます」(島本さん、以下同)

袋のまま「押し切り」で手も汚さない

「油揚げやハーフベーコン、ハムなどは袋(パック)のまま包丁でカットしてOK。袋は切れずに中身だけ切れるので、手やまな板も汚れません。コツは引くのではなく押して切ること」

袋のまま「押し切り」で手も汚さない 撮影/伊藤和幸

カット野菜や冷凍野菜は賢く利用

「予め使いやすくカットされているので、切る工程が減るだけで家事の負担がグッと軽くなります。また冷凍野菜は、使いたい分だけ使えて最後までムダなく活用できるのも◎」

くっつき防止に!クッキングシート

「混ぜご飯やおにぎりを握る際に、ボウルにシートを敷けば米粒のくっつき防止に。切り餅をレンジ加熱する際にお皿代わりにシートを敷けば、加熱しても餅がくっつかずサッと取れます」

くっつき防止に!クッキングシート 撮影/伊藤和幸

本間さん厳選!時短アイデア

炊飯器・オーブンに“丸投げ”調理

「煮物やチャーシューは炊飯器に、焼き魚や野菜はオーブンに入れるだけ。火加減を気にしなくてすみますし、寒いキッチンからも離れられる『ズボラ加熱法』です」

炊飯器・オーブンに“丸投げ”調理

ホイル焼きでキッチンぽかぽか&洗い物ゼロ

「ラク・時短・省エネの三拍子そろった冬のズボラ料理。アルミホイルに肉と野菜、魚とキノコなどを包んでオーブンやトースターで焼くだけ。そのまま食卓に出せるので洗い物も出ず、部屋も暖まります」

ホイル焼きでキッチンぽかぽか&洗い物ゼロ 撮影/伊藤和幸

変幻自在な“煮物セット”をストック

「カレーを多めに作り、ルーを入れる前の状態で冷蔵や冷凍保存。食べるときにみそを加えて豚汁、麺つゆで肉じゃが風、ルーでシチューやカレー、ひとつの鍋で数通りにアレンジできます」

こすり洗い不要の洗剤を効率よく活用

「食器にかけて洗い流すだけでOKの食器用洗剤『キュキュット クリア泡スプレー』もオススメ」。すぐに洗えないときも、かけておくだけで時間がたってもスルッと落ちる。

「アイラップ」や手袋で“汚さない前提”家事

「『アイラップ』をボウル代わりにしたり、使い捨て手袋やまな板シートをフル活用。『最初から汚さない』前提にすれば、洗い物も減って手を守ることにもつながりますよ」

「アイラップ」や手袋で“汚さない前提”家事 撮影/伊藤和幸

教えてくれたのは……

島本美由紀さん●料理研究家。ラク家事アドバイザー、食品ロス削減アドバイザー、防災士、冷蔵庫収納&食品保存アドバイザーでもある。消費者庁主催の食品ロス削減推進大賞審査委員長賞受賞。

島本美由紀さん●料理研究家。ラク家事アドバイザー、食品ロス削減アドバイザー、防災士、冷蔵庫収納&食品保存アドバイザーでもある。消費者庁主催の食品ロス削減推進大賞審査委員長賞受賞。

本間朝子さん●知的家事プロデューサー。時間と労力を省く「知的家事」を、テレビや雑誌、SNS、講演などを通じて発信する。近著に『60歳からの疲れない片づけと家事』(青春出版社)など。

本間朝子さん●知的家事プロデューサー。時間と労力を省く「知的家事」を、テレビや雑誌、SNS、講演などを通じて発信する。近著に『60歳からの疲れない片づけと家事』(青春出版社)など。


取材・文/荒木睦美