巨人・山瀬慎之助捕手(共同通信社)

 プロ野球選手にとって自分の「価値」と「評価」が示される「契約更改」がスタート。球団側の算出よって弾き出される選手年俸だが、時に本人の希望にそぐわない金額が提示されて交渉難航なんてこともーー。

 11月17日、読売ジャイアンツの契約更改交渉が球団事務所で始まった。ユニフォーム姿からスーツに着替えた選手が、ニュースのスポーツコーナーやスポーツ新聞を通じて見せる表情から、交渉内容も窺い知れるというもの。ところが、

《あれ、大した活躍してなかったら保留したのになかったことにされるの? 悲しい(涙)》

 翌日の契約更改ニュースでなぜか触れられなかった選手がいる。同日15時半ごろ、自身のXにポストを投稿した、巨人の山瀬慎之助捕手(24、以下敬称略)だ。この山瀬による、涙顔の絵文字を使った「保留」との文面を用いたポストが物議を醸している。若手選手から行われることが常の契約更改だけに、投稿のタイミング的にも初日に交渉の場が設けられたのだろう。

 ネット上で拡散されるや否や、同日までに削除されたポストだが、つまりは山瀬は球団側が提示した年俸や条件を「保留」した可能性があり、その結果が各メディアに伝えられることなく、「なかったこと」にされた扱いへの不満とも見えるが……。

 2019年にドラフト5位で巨人に指名され、2024年までに一軍で15試合の出場、通算安打も5本にとどまっている山瀬。2025年シーズンもわずか1試合、4打数1安打と捕手としてレギュラーどころか、傍目には一軍定着もままならない選手に映る。

他チームなら一軍起用もあり得る選手

 しかし、在京球団を担当するスポーツライターの解説によると、

「イースタンリーグでは100試合に出場して、規定打席に届いていればリーグ2位となる打率.302をマーク。チームとしても2位以下に8ゲーム差をつけて優勝した、巨人二軍のレギュラー捕手として活躍しました。

 他チームならば一軍起用されてもおかしくない選手ですが、巨人のチーム事情では仕方がないのか、プロ生活5年を終えた時点で“稼げていない”選手となっています」

巨人・山瀬慎之助のポストはファンの間でも拡散され、物議を醸している(Xより)

 確かに昨年までの「働き」からすると、今季年俸「650万円」の査定は妥当に思えるが、今年の交渉でアップしたのかダウンだったのかは定かではないが、納得いく額面ではなかったのかもしれない。

「年俸査定も含めて、イースタンで結果を残しているにも関わらず、“なぜ、一軍に上げてくれないのか”というのが山瀬選手の本音でしょう。しかしながら巨人には侍ジャパンに選出された岸田行倫(29)、打撃が売りの大城卓三(32)、そしてベテランの小林誠司(36)らが一軍にいます。

 それは山瀬選手も承知していることで、私も合点がいかないのは、捕手の数は揃っているというのに、なぜ昨年オフに甲斐拓也(33)を獲得したのかということ」(前出・ライター、以下同)

 2024年に国内フリーエージェント(FA)権を行使した甲斐拓也捕手を、5年15億円ともされる大型契約で福岡ソフトバンクホークスから獲得した巨人。開幕からスタメンマスクを被ったベテラン捕手は、序盤こそ額面通りの活躍を見せるも徐々に不調に陥り、8月に右手中指の骨折によって戦線離脱。結局、移籍1年目を68試合出場で終えた。

合同自主トレを共にする“師弟関係”

「実は、甲斐とはソフトバンク時代からオフに合同自主トレをする山瀬。捕手として“師弟関係”ともいえる2人はプライベートでも仲が良く、山瀬が甲斐を“目の敵”にしているわけではありません。

 ただ問題は、近年のFA争奪戦において有力選手を他球団に持っていかれっぱなしの巨人の現状。甲斐の獲得は戦力面のアップだけではなく、ある意味、球団としてメンツを保つための補強という側面もあったと思います。

 15億円もの大枚を払った選手を優先して起用するのは当然で、いくら二軍で頑張っても一軍に呼ばれない選手からすれば、球団都合の“しわ寄せ”を食らっていると思ってもおかしくない。そんな不満が、“保留”と“暴露”として出たのでは?」

 17日には同じく喜多隆介捕手(27)が契約更改に臨み、右ヒザの手術の影響もあってか自由契約を言い渡され、育成契約を締結している。明日は我が身のプロ野球選手だけに、「稼げる」見込みがないのなら、自ら「動く」手段があるのもSNS時代というわけか。