12月28日に開幕が予定されている『第104回全国高校サッカー選手権大会』。大会まであと約1か月と迫った今、高校サッカー会で“異常事態”が起きている。
いじめの次は飲酒・喫煙
11月2日、宮城県大会を制して2年ぶり38回目の全国大会出場を決めた強豪・仙台育英高校サッカー部で「いじめ重大事態」が発覚。被害生徒は複数の部員から容姿を揶揄するような言葉をかけられ続け、学校側に相談していたものの対策は取られず。その後、生徒は抑うつ症状を診断されて現在も通院を続けているという。
この一件を受け、仙台育英は最終的に全国大会の出場辞退を発表。空席となった宮城県代表の座の行方に注目が集まる中、今度は県大会準優勝の聖和学園高校に衝撃的な問題が発覚した。
「聖和学園の男子サッカー部で、複数の部員が飲酒や喫煙により退部などの処分を受けていたことが判明しました。発表によると、部員が飲酒・喫煙に及んだのは今年8月の夏休み期間中とのこと。詳しい人数などは明かされていませんが、学校側は該当部員に個別指導を行い、10月から始まった宮城県大会の前に退部や休部の処分を下していたといいます」(スポーツ紙記者)
11月17日には全国大会の組み合わせ抽選会が行われたが、仙台育英の辞退及び聖和学園の問題発覚により、宮城県代表の欄に学校名の記載はなし。大会事務局からは、現在も調整中で決まり次第発表するとの方針が示されている。
宮城県代表の枠の行方は
高校サッカーでの不祥事については、大阪府代表で全国大会に出場予定の興国高校でも、複数の男子部員による飲酒行為が発覚。該当部員には停学などの処分が下されたが、同校は全国大会に出場する意向を発表している。
高校サッカーに詳しいスポーツライターは、現在の状況についてこう語る。
「全国大会の直前に、ここまで不祥事の発覚が相次いだことはかつてないでしょう。宮城県代表の枠については3位決定戦を開いて決めるべきとの声もありますが、開幕まであと1か月ほどしかない中、学校側や競技場のスケジュール的にそんな余裕が果たしてあるのか……。
宮城県代表の初戦の相手は沖縄県の那覇西高校に決まっていますが、ギリギリまで相手校が決まらないとなれば、対戦に向けた情報もなく作戦の立案にも支障が出る。かといって不戦勝とした場合も、大会の公平性が問題視されますし、何より宮城県大会で敗れた学校の生徒たちは報われない思いに苛まれるでしょう」
次々と明らかになる不祥事によって、大混乱に陥っている全国高校サッカー選手権。競技に対して真摯に向き合ってきた生徒たちの努力が報われるよう、公正な対応が求められる。
