売り上げ増が期待される年末のグレードレース『有馬記念』 *JRA公式サイトより

 2025年秋、テレビドラマが思わぬ形で競馬界に“波紋”を広げている。日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)がスタート直後から大きな話題を呼び、第4話で視聴率9.0%まで落ち込んだものの、目黒蓮が物語に本格参戦した第5話以降では10%台を超え“V字回復”を見せている。

JRAのお客様総数は前年よりアップ!

 ドラマの勢いとともにSNSには、

《競馬に興味なかったけど観たらハマる》
《馬のシーンが映画並み》
《このまま年末の有馬記念まで追いたい》

 という声が増え、特に女性の間で“競馬をちょっと覗いてみたい”という空気が広がり始めている。

 こうした中、年末の大一番・有馬記念が控える。ドラマ効果もあり《今年の有馬記念は過去最高売上になるのでは》といった憶測も飛び交う。実際のデータはどうなのか。編集部は日本中央競馬会(JRA)広報に直接問い合わせた。

 有馬記念の売上見通しについて、JRAは「本年の売上見通しにつきましては、回答を控えさせていただきます」と慎重な姿勢だったが、過去3年の売上データが提供された。

2022年:5215億5,046万6,600円
2023年:5457億9,634万0,000円
2024年:5508億3,057万1,000円

 3年連続で売上は増加。右肩上がりの傾向ははっきりしている。今年(2025年)についても、JRAは「発売金は104.2%、お客様総数は101.9%と、いずれも前年を上回っております」と話す。

 レース全体の底上げが進み、ファンの裾野が広がっているのは確かだ。

 さらに今年の主要G1レースも好調。JRAによれば、エリザベス女王杯(前年比118.7%)、菊花賞(110.5%)、天皇賞(秋)(101.6%)と、軒並み前年を上回る売上を記録している。G1戦線そのものに勢いがある。

 ドラマ以前から“女性ファンの増加”という変化はあった。JRAによれば、2019年に17.4%だった競馬場の女性来場者割合は、昨年には21.6%にまで上昇

女性比率が20%を超えるのは、競馬場の雰囲気を変えるほど大きな変化です

 と競馬関係者は話す。しかし、ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』が女性層の増加に直接影響しているかどうかについてJRAは、

お客様層の変化がドラマ等の影響によるものか判断できないため、回答は控えさせていただきます

 とのこと。“ドラマ効果”の断定はできないが、直近でも女性ファンが増えているのは間違いなさそう。

 SNSでは《最近はパドックで女性が増えた》《大人の女性同士のグループが楽しんでいる》といった投稿が見られ、ドラマの世界観とリンクするような“競馬を楽しむマダム層”が実際に増えている印象だ。

 さらに追い風なのが利便性の向上。JRAは10月31日、即PAT(公式インターネット投票サービス)がスマホ決済サービス「PayPay」と連携すると発表。

 開始予定日は12月19日。チャージが容易になり、ネット投票のハードルが大幅に下がる。若い世代、そして新規の女性層にとって便利な環境が整いつつある。

 ドラマの人気キャストが新たな視線を集め、女性たちも競馬に興味を持ち始めている。年末の有馬記念、過去最高売上になるかどうか。売上も同じように“ロイヤル級の跳ね上がり”を期待!