プロ野球もレギュラーシーズン全日程を終えて、各チーム・選手がオフシーズンを迎える12月。この時期にはテレビやメディア、イベント出演に忙しくなる選手、はたまた野球教室を開いて子どもたちに野球を教える選手もいる。
そんな選手たちの“オフの仕事”の一つとなっているのが「トークショー」だ。シーズンやチームの裏話、野球だけでなくプライベートの話も聞ける、ファンにとってより選手と身近に触れ合える貴重な機会となっている。
ところが、時にトークショー開催までに「プロ野球選手」ではなくなるケースもーー。
12月11日に東京・銀座のイベントスペースで開催予定のトークショー「CARP TIME〜ファンとつながる〜」。広島東洋カープの選手が出演するイベントで、トークショーのほか抽選会やサイン会が行われる模様だ。
チケット販売サイトで紹介されている出演者は以下の3人。
【石原貴規選手 カープの次世代を担う捕手】【宇草孔基選手 全力疾走、全力プレー――それが彼の魅力】【中村健人選手 カープの元気印!】
2025年に左手骨折の手術を受けた石原貴規選手(27)、2022年に社会人を経て入団した中村健人選手(28)、そして2019年にドラフト2位で入団した宇草孔基選手(28)。石原選手以外は2025年シーズンに出場機会を得ていない。
開催中止や出演選手の変更は?
そしてシーズンオフ、10月1日にカープから来季契約の締結をしないことを伝えられた中村選手と宇草選手。つまりトークショーに出席する3人のうち2人が、いわゆる「戦力外通告」を受けた、すでにカープ所属の選手ではないわけだ。
11月25日時点で、販売サイトでは変更なく告知画像が掲載される2人だが、トークショーの開催中止、もしくは出演者変更もあるのだろうか。
「現時点で変更はありません。中村選手と宇草選手に出演していただく予定です」
とはトークショーを企画したイベント主催会社の担当者。元カープ選手2人の出演に変更はないとのこと。
というのもトークショーの告知、並びにチケットが販売開始されたのは11月8日(12月11日まで)で、両選手が自由契約になってから1か月も後のこと。つまりチケット購入者はそれを承知の上で申し込んでいることになる。
そして売れ行き状況はというと、税込で1万6500円のS席は「予定販売数終了」、同じく1万円のA席は「売切間近」と大盛況の様相で、むしろ他のトークショーよりも人気を集めていると言える。なぜ、ファンは元選手のイベントに足を運ぶのだろうか、それ以上に主催側はオファーを出したのだろうか。
ファンの前に立てる最後に機会
「オファーさせていただいたのは(戦力外が通告された)10月以降です。石原選手、中村選手、宇草選手は普段から仲がいい同学年で、彼らが揃ってファンの前に立てる最後の機会になるかもしれない。そんなお手伝いが少しでもできればと、今回のトークショーを企画させていただきました。当日は3人にとって、来場されるファンにとって思い出になる場になってくれたらうれしいですね」(イベント担当者)
たとえカープを離れたとしても、ファンにとって応援してきた選手に変わりはない。トークショーはそんな選手への感謝、そして激励の場にもなるのかもしれない。
11月12日、中村選手と宇草選手を含めた元カープの選手ら7人が、慣れ親しんだマツダスタジアムで開催されたトライアウトに参加。積極果敢な走塁でアピールした中村選手は、「もう1回、プロ野球で野球に人生をかけたい」「男として、稼ぐには野球しかない」と、まだまだプロ野球を諦める様子はなかった。
たとえ赤いユニフォームでなくとも、3人が再びグラウンドで顔を合わせることをファンも願っていることだろう。
