吉沢亮

 現地時間11月21日、世界最高峰の映画賞である『第98回アカデミー賞』の候補作品が発表。今だ大ヒットを記録中の映画『国宝』が正式に選考リスト入りした。

「『国宝』が候補となっている国際長編映画賞は、86の国と地域から作品が提出されます。今後はアカデミー会員による予備投票などを経て、12月16日には上位15作品がショートリストとして発表される予定です。最終ノミネート作品の公表は1月22日。授賞式は3月15日にアメリカ・ロサンゼルスで開催されます」(映画誌ライター)

『国宝』は「日本を代表する映画」

 現在、ニューヨークなどの映画館にて1週間限定で公開されている『国宝』だが、来年からは全米での公開が予定されている。11月23日(日本時間24日)には上映イベントがニューヨークで開かれ、監督の李相日氏と主演の吉沢亮が登壇した。

 舞台挨拶に立った李監督は「日本では何度も見てくれる人がいる。3時間の歌舞伎を題材にした映画がこのように広がるとは予想していなかった」とコメント。女形の歌舞伎役者を演じた吉沢は1年半の歌舞伎の稽古を振り返り、「本物の歌舞伎役者に届かないと分かっていてもいくしかない、という覚悟や意地みたいなものをもって、この作品に挑みました」と、作品にかけた思いを語った。

「11月15日におこなわれた『第17回TAMA映画賞』授賞式で、吉沢さんは最優秀男優賞を受賞しています。その際の受賞スピーチでは、“『国宝』は本当に尊敬している監督、キャストの皆さまと、なかなかハードな3か月間の撮影だったんですけど、それを乗り越えて、たくさんの素晴らしい景色で見させていただいているなと思っている日々でございます”と述べ、過酷な撮影ながらも仲間と作り上げた素晴らしい作品であることをうかがわせました」(前出・映画誌ライター)

吉沢亮演じる主人公と、ライバル役の横浜流星が本物の歌舞伎俳優さながらの演技を披露(『国宝』公式サイトより)

 公開から約5か月が経っても勢いの衰えない『国宝』がアカデミー賞候補作品となったことを受けて、日本の映画ファンからは、「『国宝』は本当に日本を代表する映画だと思う。オスカーを獲得して名実ともに日本を代表する作品になってほしい」「ノミネート発表までまだ先は長いけど、『ドライブ・マイ・カー』が受賞したときのような瞬間が見れたら嬉しい」「海外の人が歌舞伎の世界をどう受け止めるかにかかってる気がする……」といった声が寄せられている。

 濱口竜介氏が監督を務め、西島秀俊が主演を演じた『ドライブ・マイ・カー』が国際長編映画賞を受賞したのが2022年。『国宝』が受賞すれば、日本勢としては4年ぶりの快挙となる。まずは、ショートリストの発表を期待して待ちたい。