11月28日、中国・上海で行われた『バンダイナムコフェスティバル』のイベントで、人気アニメ『ONE PIECE』の主題歌で知られる歌手・大槻マキ(52)が、高市早苗首相(64)の台湾有事発言をきっかけとしたと思われる影響で、パフォーマンス中に強制中断される事態が発生した。
大槻がステージ上で歌う中、突如照明が落とされ音楽も止められるという屈辱的な形で中断された様子は中国のSNSでも拡散。その乱暴なやり方に対して中国国内からも「さすがにこれはひどい」といった、日本人アーティストへの配慮を求める声が上がっている。
中国でのイベント、大槻マキが歌唱中に中断
「突然照明が暗くなり、観客からも“えっ!?”“どうしたの!?”と驚きの声が上がりました。ステージに2名のスタッフが上がり、大槻さんに対し言葉を発すると大槻さんは驚いた表情を見せ、追い出されるようにステージを降りました。さすがに歌唱中の中断はあまりにも強引で失礼。同イベントはももクロらも出演予定で、日本人だけでなく現地の中国人も楽しみにしていただけにこの衝撃は計り知れません」
というのは、日本国内外でさまざまなイベント開催の経験があるイベンタースタッフ。
高市首相の発言はエンタメ界にも影響を及ぼし、浜崎あゆみ、ゆず、ジャズピアニスト・上原ひろみ、管楽器ガールズグループMOS、4人組ロックバンド・シド、歌手のMINMIらのコンサートやJO1のファンイベントなどが“不可抗力”により中止または延期を発表。
浜崎は中止発表後に“無観客ライブ”を開催し「私達は昨日の中止要請の後、無観客の状態で一曲目からアンコールまで行ってから会場を後にしました。会えるはずだった一万四千人のTAの皆さんへ向けて、演者・スタッフ全員で全身全霊で本番と寸分変わらぬ想いをもちステージをまっとうさせて頂きました」とSNSでファンに伝えた。
「これらアーティストは開催前での発表でしたが、彼らも何年も前から計画していた公演だけに直前の中止はアーティスト本人だけでなくスタッフたちも心を痛めているはずです。また彼らのライブを楽しみにしていた現地中国のファンもたくさんいたはずです。無料イベントではなくチケット代を払い、行きたい人だけが行くエンタメイベントと政治をなぜ混同しないといけないのか、中国国民の一部も疑問に思っている人は多いと思います」(スポーツ紙記者)
今回の大槻マキ“強制退場”の件は、「突如中断するようなやり方は適切ではない」中国国内でも多くの批判の声が上がっている。また中国紙『環球時報』元編集長の胡錫進氏もSNSで「政府と民間を混同せずに理性的に行動する必要がある」と指摘した。
「中国国内では純粋にファンやアーティストが可哀想だという声が多いですね。政治的な理由で罪のない人たちが犠牲になることへの同情とイベントを潰した当局への怒りを感じます。高市発言への単純な反応ではなく中国国内の経済不振や政治構造への不満も見られているように思えます」(同前)
ただ一方で、政治的な緊張が高まっている現状から「日本人アーティストの公演中止は避けられない」という意見も一部である。
浜崎あゆみは「エンターテイメントは人と人をつなぐ架け橋であるべき」とメッセージを綴った。エンタメ界を巻き込んでの混乱はいつまで続くのだろうか。
