11月22日、発表された嵐のラストライブとなる5大ドームツアー。その皮切りとなる、札幌・大和ハウス プレミストドームでの公演が3月13日から15日に予定されているが、
《子どもの人生がかかっているのに宿が取れない》
《ファンは別の会場も選べるが、受験生はそこしかない》
との怒りとも諦めともとれる声がSNSに書き込まれた。公演前日に北海道大学入試の後期試験が行われるのだが、そのために受験生が宿泊するホテルが嵐ファンの予約によって軒並み満室となっているのだ。
しかも価格が高騰し、通常7800円ほどで宿泊できるホテルが、5万2000円に跳ね上がっているケースも。ファンにとっては5年間待ち続けたライブなので、チケットと宿泊先の争奪戦になるのは予想できたはずだが……。
「もはや機能していないグループを稼働させようとすることに、この問題の根っこがあるのだと思います」
と芸能評論家の宝泉薫氏は話し、こう続ける。
メンバーより強いファンの“嵐愛”
「活動休止してからはメンバーそれぞれがソロ活動にシフトしています。その活動の合間を縫って、5人のスケジュールを合わせるのですから、日程を詰めていくことは難しいのでしょう。今回の5か所、15本のツアーでも、3月に始まって5月31日がラストと、約3か月かけています。5月になったらファン以外の目には“まだやっていたんだ”と映ってしまうかもしれない。
メンバーたちはまじめに、できることを精いっぱいやって、嵐というグループの幕引きをしようとしているのでしょう。でも、こんなことを言ったら乱暴かもしれませんが、嵐という存在を認識しているのは、メンバーよりもファンのほうが強くなっているのかも」
確かに、ファンクラブ限定でチケットを発売するといっても、300万人が登録しているといわれている、ファンクラブ全員が見ることのできるライブ本数ではない。もっとやってほしい、と願うファンにしてみれば、結果的に不完全燃焼になってしまうのかもしれない。しかし─。
Jr.時代から慣れ親しんだNHKホール
「今回の嵐の解散ライブは、まれなケースだと思います。大多数の解散ライブは、人気がなくなったことが理由で行われる、いわば“解散ビジネス”。でも嵐のメンバーはこのツアーで大儲けしようと思っていないだろうし、その必要もないくらいソロでも活動できています。ラストツアーは、ファンに対して誠実にありたい、というメンバーの思いなのでしょう。人気があるのに実働していないグループがラストツアーを行うと、こんな問題が起こるんだなと(笑)」
5人の仲の良さとファンとの一体感が嵐の最大の魅力、と語る宝泉氏。では、会場に入れないファンには、どんな接し方を考えるのか。
「『紅白歌合戦』への出場も選択肢として十分あるかなと。会場のNHKホールは、Jr.時代から立っているステージですし、何より嵐として12回出場しています。NHKとしては本気で出てほしいだろうし、活動休止の最後のテレビ出演が『紅白』で、“終わりの始まり”が同じ『紅白』というのもアリかな、と思います」(宝泉氏)
ラストツアーの日程発表だけで大騒ぎになった嵐。5月末の最終日まで、“狂騒曲”はまだまだ続く。
取材・文/蒔田稔
