45歳になった現在も美スタイルをキープし、グラビアでも活躍するタレントの熊切あさ美。実は俳優としても長年活動しており、神田時来組の舞台『究極版! そして龍馬は殺された』(12月3~7日・博品館劇場)では、坂本龍馬の妻・お竜を演じている。
朝起きたら加湿器をすぐつける
「年に1回は舞台に立ちたくて、舞台の勉強を続けてきました。稽古時間は長いですし、プレッシャーもありますが、舞台はみんなで作るものなので一体感があって楽しい。本番が終わったときに『またやりたい!』という気持ちになれるんです」(熊切、以下同)
今回の舞台はオールプロジェクションマッピングという新しい時代劇で、コメディー仕立てだ。テレビのバラエティー番組ではベテランに囲まれることが多い熊切だが、舞台では新人俳優からエネルギーをもらえることもある。
「初舞台の新人俳優さんは、ひと言しかセリフがなくてもすごく頑張っています。そんな姿を見ると、初心を思い出して、ちょっと気が抜けてたな、もっと頑張らなきゃなと思わせられます」
今回演じているお竜は一途な女性で、恋人の龍馬を亡くして、お腹に子どもがいることを知るというストーリーだ。熊切は15年前からこの役を演じているが、年齢とともにお竜への感情移入が深まっていった。
「若いころは泣けなかったセリフが、今は自然に涙が出るんです。演じるたびに違う感情が生まれて、自分の人生経験は無駄になっていないんだなと年齢を重ねることの面白さを実感しています」
舞台の期間中は体調管理にも余念がない。
「もともと喉は強くて、舞台で大きな声を出しても問題ないのですが、朝起きたら加湿器をすぐつけて乾燥には注意しています。感染症にかからないよう飲みに行くことも控えているので、終わってからゆっくりお酒を飲むのを楽しみに頑張っています」
更年期の症状が出ておかしくない年齢
インスタグラムではトレーニング中の元気な姿をアップすることも多い熊切だが、実はここ数年、不調を感じることが多くなっていた。生理の量が少なくなり、疲れやすい、イライラする、身体がほてるといった症状があったという。
「45歳なので更年期の症状が出てもおかしくない年齢です。婦人科に行って調べてもらったところ、女性ホルモンの値が低くなっていて、ホルモン補充療法を試してみることにしました。今は飲み薬と貼り薬でホルモンを補充していますが、顔色もよくなり、体調が整って、イライラも治まったんです」
ホルモン補充療法(HRT)は、欠乏したエストロゲン(女性ホルモン)を補う治療法で、のぼせ、ほてり、発汗、性交痛、気分の変調、関節痛など更年期に起こる症状を改善する治療だ。熊切の周りの友達にはまだホルモン補充をしている人はいなかったが、最近は著名人も更年期の治療について発信しており、治療への不安はなかったという。
「YouTubeでモデルさんたちが恥ずかしがらずに情報を発信している姿を見て、勇気をもらえました。もっと早くから始めている人もいると知り、副作用も知った上で、身体に負担がないなら始めようと決断しました。これからも人生は長いですからね」
自身が更年期のホルモン補充療法を行っているのを公表することで、困っている人に正しい知識が広まることを願っている。
「ホルモン補充療法は閉経したり、症状の重い人が受けるものだと思っていて、生理が少なくなってきた時点で始める人が多いことすらも知りませんでした。治療は恥ずかしいことではないですし、老化を抑えてくれる面もあるので、気になる症状がある方は早めに婦人科に相談されるのがよいと思います」
ダイエットに励み身体はボロボロだった
熊切は普段からかかりつけ医を持ち、体調に不安があればすぐに相談できる態勢を整えていた。
「独身で一人暮らしなので、家で倒れてしまったら助けてくれる人がいません。自分の身体のメンテナンスが一番の保険なんです」
45歳とは思えない抜群のプロポーションを維持している熊切だが、20代のころはグラビア撮影のため健康を害するようなこともやっていた。
「食べたあとにお腹がポコッと出るので、撮影前に下剤を飲んでいたんです。下剤を常用していると、飲まないと便秘になってしまうため、薬の量がどんどん増えていきました。しまいには下剤でも出なくなってしまって、浣腸をしてまで出したこともあります。細い=美しいと思い込んで、食事制限をしてダイエットに励み、身体はボロボロでした」
今は週1回の筋トレと週1回のキックボクシングで健康的な美しい身体をつくっている。食べすぎたときやストレスがたまったときは、ランニングをするのも習慣になった。
「40代の今のほうが20代のときよりもいい身体をしていると思います。ただ細いだけでなく、筋肉も脂肪もついて、しなやかなラインがつくれています。顔が痩せるとやつれて見え、多少お肉がついていたほうが若々しく見えることにも気づきました」
キックボクシング歴はもう10年になる。
「キックボクシングは、終わった後、視力が良くなったみたいに周りがパッと明るくなって爽快なんです。疲れたときこそ逆に行くようにしています」
通っているジムではタレント仲間に会うことも多い。
「芸能界で売れている人ほどよく見かけるので、やっぱり努力されているんだな、私も頑張らなくてはと励みになります」
インスタグラムを見たファンからのメッセージもトレーニングを後押ししてくれる。
「頑張っている姿を見ると励みになります、身体を見てジムトレーニングを始めましたなどと言ってもらえることが増えました。押しつけはしないですが、自分の経験したことを伝えて、それが誰かの役に立っているのならうれしいですね」
20代のときの極端な食事制限とは打って変わり、今は食べたいものを我慢しない主義だ。
「トレーニングをするようになってから、お肉を食べるようになりました。白米も大好きです。食べたいものを我慢するとストレスになるので、撮影のないときは気持ちの赴くままに食事をするようになりました」
誰かと暮らすのは無理(笑)
美容も大好きだが、肌が弱いためスキンケアは洗顔と保湿を重視したシンプルなケアが中心だという。
「若いころは疲れるとメイクを落とさずに寝ちゃっていましたが、今は汚れを落とさないことで起こる肌へのダメージに気づきました。だから家に帰って顔を洗うことだけは、どんなに疲れていてもやるようになりました。保湿には馬油を使っていて、肌が弱い人にもおすすめです。保湿のため毎日のパックも欠かしません」
YouTubeなどからの美容情報はチェックしているが、すぐに取り入れるわけではない。
「クリニックやメーカーの宣伝と思われるケースも多いですし、どれが正しい情報か見極めるのが難しい時代です。自分で判断して、良さそうなものは試してみますが、情報を鵜呑みにしないよう心がけています」
2025年を振り返ると、幅広い活動ができたという熊切。
「歌手デビューができましたし、北海道日本ハムファイターズの始球式にも参加できました。自分の原点であるアイドルグループ『チェキッ娘』の仲間たちと一緒にテレビで歌えたことも楽しかったですね。思うようにいかないこともたくさんありましたが、全体的には幸せな年だったと思います」
2024年に持病のクインケ浮腫を本誌で公開したことの反響も大きかった。
「まぶたが大きく腫れている写真を出したことで、病気への理解が進み、同じ病気で苦しんでいた人から『勇気が出ました』と連絡をもらうこともありました。思っていたよりも同じ悩みを持つ人が多いことにも気づき、公開してよかったです」
一方で反省しなければならないこともある。
「最近、これをしたい、あれをしたいと口にしなくなってしまいました。どうせ言ってもできないし、と諦めるようになっていたんです。でも昔の自分がやりたいことをちゃんと口に出していたのを思い出して、来年は諦めずに挑戦し続けようと決意しています」
そんな挑戦のひとつがYouTubeの開設だ。
「テレビだとカッコつけたり、言いたいことを隠していたりする自分がいます。でもYouTubeでは本音で話せるトーク番組をやりたいです。もうちょっと自分をさらけ出して、本当の熊切あさ美をお見せできればと考えています」
最近は結婚願望がないことを公にしており、来年もその予定はない。
「パートナーは欲しいと思いますが、一人の時間が大切なので、誰かと暮らすのは無理(笑)。来年もマイペースで、疲れない程度に頑張っていきたいです」
「元祖崖っぷちアイドル」から息の長いタレントとして芸能界で居場所をつくってきた熊切。2026年の新しい挑戦が楽しみだ。
取材・文/紀和静
1980年6月9日生まれ、東京都出身。A型。1998年、アイドルグループ「チェキッ娘」のオーディションに合格し、デビュー。翌年、同グループ解散。以降、多数のバラエティー番組などで活躍。俳優として、映画『猫目小僧』(2006年)、『悪い女はよく稼ぐ』(2019年)、『愚か者のブルース』(2022年)などに出演。2022年、写真集『燦々』を発売。2025年3月にシングル曲『大嫌いだけど、大好きな人』でソロ歌手デビュー。
日程:12月3日(水)〜7日(日)
会場:東京・博品館劇場
