れいわ新選組・大石あきこ氏(本人の公式サイトより)

 11月30日放送のNHK『日曜討論』で、れいわ新選組の大石晃子共同代表が、自民党の政策姿勢に関する衝撃的な指摘をしたことが議論を呼んでいる。

ジャンヌダルクと評された大石氏

「高市早苗首相の台湾有事答弁をめぐる与野党の緊張がスタジオで表面化しました」というのは全国紙政治部記者。

 それは、中国とどう向き合うかをめぐる議論の中で起きた。

「大石氏はまず『この番組でもそうですし、この番組が始まる前の民放もそうですが、日本政府は悪くない、中国が悪い、という“演出”というか持って行き方がある』と、マスコミが扇動して中国のイメージを貶めていると私見。さらにその背景として、『自民党が戦争を準備していて、アメリカについていって台湾をめぐって中国と一戦交わすぞ、戦争をやっていくぞという準備を進めている』と指摘したのです」(前出・全国紙政治部記者、以下同)

「大石氏の発言に対して自民党の小林鷹之政調会長は撤回を要求。『私たちはいかに戦争にならないよう、有事を抑止するかという観点から、防衛力強化もやってきている』と反論しました」

 自民党は「戦争抑止」と説明する一方、野党側の受け取り方は「戦争準備」――。この分断はもはや議論して埋まる溝ではないが、大石氏のこの攻撃的なスタイルを遡ると、橋下徹元大阪府知事との壮絶なバトルがあるという。

「2008年3月、橋下知事就任後初の朝礼のことでした。30歳の若手府職員だった大石氏は、多くの報道陣が詰めかけるなか、府知事に対して『サービス残業をどんだけやってると思ってるんですか』と食って掛かったのです。メディアは大石氏を“ジャンヌダルク”“美女職員”と報道しましたが、バッシングも多く寄せられました」

 2018年10月末、大阪府庁を退職した大石氏は翌2019年、淀川区から大阪府議会選に立候補するも落選。だが、れいわ新選組の山本太郎代表に誘われ、2021年に同党から衆院選で立候補。初当選を果たし、現在の共同代表へと至っている。

「2022年には橋下氏から、大石氏のインタビュー記事に対して名誉毀損訴訟を起こされましたが、大石氏が勝訴しています。これは前年に配信された『日刊ゲンダイDIGITAL』で大石氏が、知事時代の橋下氏の報道対応について『気に入らない記者は袋だたきにする』などと語ったことに、橋下氏側が『弁護士やコメンテーターとしての社会的評価を著しく低下させた』と主張していたものです」

 権力者と対峙することに躊躇がない大石氏、先述での朝礼での抗議は当時の非正規雇用問題や格差社会への違和感から生まれたものだが、今回、同氏が語った自民党の“好戦”姿勢を疑う発言の背景にも経済的な問題があるのではという。

「大石氏はこの日の『日曜討論』のなかで、『農業従事者の5年間で25%減』『中国からの部品途絶時に53兆円のマイナス効果』といった国内の経済的な脆弱性を指摘。さらに、それらに対する自民党の対処が不十分だと主張していました。つまり、『戦争準備』という発言は、経済格差が拡大しているにもかかわらず防衛費を増加させる“違和感”に対する表現ともとれます」

 日本の防衛と経済をどう両立させるかは今後の課題である――。