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「日本ほど中国と揉めている国はない」「中国を挑発している」――12月1日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)に出演した女性弁護士・猿田佐世氏の発言が大きな議論を呼んでいる。

人権問題で活躍している猿田氏

「高市早苗首相の台湾有事発言を契機に、中国は日本に対して強硬姿勢をとり続けていますが、この日の番組では中国で日本のアーティストのライブが相次いで中止となるだけではなく、日中のビジネスにも影響が出ているということで、商談もキャンセルになったことなどが報じられました」(全国紙政治部記者、以下同)

 今後、日中関係はどうなるのかスタジオで語られるなか、猿田氏は「世界中の国を見渡しても、日本ほど(中国と)揉めている国ってどこにもないんですよ」と発言。さらに、「中国と揉めている国を探すとちょこちょこありますけど」と、ややトーンを落としながらも「日本ほどこんなに緊張が高まっている国というのはない」と断言した。

 猿田氏の私見は続いたという。

「『アメリカですら中国との関係は経済から考えてすごく丁寧にやっている』とアメリカと対比させながら、『日本はアメリカと一体化して日本の軍事力を高めて中国に対峙していくことになっているんですが、そのアメリカをも飛び越えて最前面になって中国を挑発している状況になっていると思うんです』と述べていました。

 中国が抱える対外的な問題は決して日本だけではありません。チベットやウイグル地域の人権問題、南シナ海における領有権主張、インドとの国境紛争、台湾問題など、中国は日本以外にも“火種”を抱えています

 この点を考えると、猿田氏の「日本ほど揉めている」という指摘の背景には、日本の対中姿勢が「他地域より相対的に先鋭化している」という意味合いが含まれていると言えるだろうが、ネット上では《「中国ほど他国と揉めている国はない」の間違いでは?》などと波紋が広がっている。

 この猿田佐世氏、一体どんな人物なのか。

「弁護士で、シンクタンクの代表を務める国際人権活動家。早稲田大学法学部卒業後、在学中から国際人権活動に携わってきました。1999年に司法試験合格後、名古屋刑務所事件や板橋高校事件などの弁護団に加わり、人権問題の第一線で活動。アメリカ・ニューヨーク州の弁護士登録も有し、コロンビア大学でも法学修士号を取得するなど、国際的な視点から日本の政策課題に向き合う人物だと言えます

 9月末、前任の弁護士・山口真由氏が同番組を卒業した後、10月から月曜コメンテーターとして登板している。

「10月20日の放送では日本維新の会・吉村洋文代表が掲げた『身を切る改革』を厳しく批判していました。吉村氏が自民党との連立について議員定数削減を“絶対条件”と発言していたことに対し、猿田氏は『“身を切る改革"っていうんですけど、切られるのはアナタです! テレビを見てらっしゃるアナタです!」と声高に訴えていました

 猿田氏の発言に今後も注目だ。