若者に人気のアパレルブランド『X-girl』などを展開するビーズインターナショナルが、中国の通販サイト『SHEIN(シーイン)』を訴えた。SHEINを相手に提訴した日本のアパレル企業は2社目で、ネット上では「どんどん訴えるべき」など後押しする声が上がっている。
ビーズ社は公式サイトにて「商標権侵害等に関する訴訟提起のお知らせ」とのプレスリリースを公開。同社が商標権を持つ『XLARGE』『X-girl』『MILKFED.』『SILAS』などのブランドロゴが使用された模倣品がSHEINで売られており、SHEIN側に該当商品の販売停止をくり返し求めたが対応がなされなかったため、訴訟に踏み切ったという。
『ユニクロ』もSHEINを訴訟
「今年11月28日付で『商標権侵害に基づく差止めおよび損害賠償を求める訴訟』を東京地方裁判所に提起していたそうです。公式サイトでは、模倣品を購入しないように注意喚起も行っていました。実際にSHEINのサイトを見てみると、『X-girl』のロゴが使用されたパーカーなどが多数販売されています。同ブランドでパーカーを買うと14,000円ほどですが、SHEINではほとんどが2,000円以下の価格設定になっています」(ファッションライター)
同様の理由でSHEINを訴えた企業といえば、『ユニクロ』などを展開するファーストリテイリングが昨年話題になった。人気商品『ラウンドミニショルダーバッグ』の模倣品が販売されていたという。
「ファーストリテイリング社も、2024年1月にプレスリリースで『訴訟等の申立て』を行ったと発表しています。《SHEINによる模倣商品の販売が、ユニクロブランドおよび当社の商品の品質に対するお客様からの高い信頼を大きく損ねている》とSHEINを強く批判。断固として争う姿勢は、当時ネット上で支持されていました。日本のアパレル企業でSHEINを訴えているのは、同社とビーズ社の2社のみですが、2021年ごろから世界中で同様の訴訟が起こっています」(同・ファッションライター)
ネット上には、SHEINが模倣品の販売していることについて、「日本の企業もどんどん訴えるべき。パクリ商品は許せない」「日本のアニメグッズが売られてるのも見たことある。公式商品じゃないなら訴えてほしい」「販売するのが一番悪いけど、買うほうもよくない。“売れるから売られる”というループを断ち切らないと」など、批判的な声が多く上がっている。
ビーズ社が明かした「極めて重大な損害」
SHEINに対する訴訟について、ビーズ社に問い合わせたところ、その詳しい経緯を明かしてくれた。
「昨年来、SHEINサイト上で当社の商標権を侵害する模倣品と疑われる商品の販売情報が、従業員および顧客から頻繁にもたらされるようになりました。またGoogleなどのブラウザで弊社ブランド名を入力して検索すると、SHEIN社の模倣品が弊社正規品と並んで検索結果に表示されるようになりました。
今年の5月頃より問合せが増加し、またSHEINサイト等で販売されている模倣品を、弊社正規品の格安ラインだと思って購入している例も散見されました。当初はSHEINサイト上で削除申請などを行い個別に対応していたものの、弊社の人的リソースでは削除申請を毎日数十件行ってもキリがないほど大量に繰り返し出品されている模倣品を前に、根本的な解決が必要だと思い提訴に至りました」(ビーズ社法務担当者、以下同)
商標権の侵害行為を把握した際の所感については、こう話す。
「SHEINサイト等においては、日々、廉価かつ低品質な模倣品の販売が繰り返され弊社ブランドの価値が毀損されていることで極めて重大な損害が生じていると感じました。また、弊社正規品と誤解して購入してしまう被害者の方も散見され、このような状況を見過ごすわけにはいかないと考えました」
消費者に対して、繰り返し注意喚起も。
「当社では、日本国内外の模倣品対策に真剣に取り組んでおります。当社が保有する商標権をはじめとする知的財産権の侵害を発見した場合、当社は、故意か過失かを問わず、今後も関係機関への通報・法的措置を含めたしかるべき対応をとってまいります。なお、消費者の皆様におかれましては、ECプラットフォームおよびアプリ内店舗『SHEIN』上にて販売されている『XLARGE』『X-girl』『MILKFED.』『SILAS』等の当社ブランドを称する商品のご購入につきましては、十分ご注意くださいますようお願い申し上げます」
世界中で訴訟を起こされているSHEIN。しかしその業績は好調な様子で、2025年1〜3月期の純利益は4億ドル(約600億円)、売上高は100億ドル(約1兆5000億円)とも報じられており、前年より高い数字を叩き出しているという。他社に損害を生む行為が正式に認められた場合、果たしてどのような裁きが下されるか――。
