落語家の春風亭一之輔

 長年、日曜の夕方を彩ってきた国民的番組『笑点』。番組の大喜利メンバーとして2023年2月に加入した落語家・春風亭一之輔によるX(旧ツイッター)の投稿が話題となっている。

 12月2日に一之輔が投稿したのは、とある日に登場した飛行機の客室で起こった出来事。《CAさんが俺の荷物のせいでギックリ腰になって、となりの席で休んでいる》と、まさかの珍事件を明かしたのだった。

「自分の荷物くらい…」炎上騒動に

 落語家らしいユーモラスな投稿だが、この発信が“炎上”の事態を招くことに。

「《俺のせいで》という言葉が引き金となったのか、リプライ欄などには“これポストできる思考回路すごいな”“手伝わせといてこれって…自分の荷物くらい自分で上げればいいのに”“自分で上げられない荷物を機内持ち込みしないで下さい。かわいそうなCAさん”など、批判的なコメントが多数寄せられています。投稿の表示数も3180万回を超えていて、かなりの注目が集まっていることが伺えます」(芸能ライター)

 この“炎上騒動”について、一之輔は12月4日に開かれた「三遊亭円楽25周年記念落語会」の記者会見で言及。実際に起きた経緯を説明した。

 一之輔によると、トートバックを席の下のスペースに入れようとしていた際、40代後半に見えるベテラン女性CAに「入りますかね?」と尋ねたところ、「入ると思いますよ。私やりますよ」と助け船を出されたという。その結果、荷物を入れようと腰をかがめたCAが「あっ!」と声を上げ、様子を伺うと「来たかもしれません。ギックリ、来たかもしれません」「大丈夫なんですけど、ちょっといいですか。お客様の隣の席、座らせてもらっていいですか」と言われ、CAは休息をとることになったのだった。

 その後、CAは「大丈夫です」と回復した様子で、最後には「エイッ!」と気合を入れて立ち上がり、業務に復帰したという。

航空会社は「適切な対応を」

 リプライ欄に寄せられていたのは、あたかも重い荷物を頭上の荷物入れ棚に入れることを一之輔が依頼したと仮定するものばかり。一之輔の書き方もさまざまな憶測を呼ぶものだったかもしれないが、固定観念に囚われてはならないことがよく分かる。

 さて、一之輔が今回遭遇した事案は、航空業界では想定されているケースなのか。機内サービスの通例を知るため、大手航空会社のJALとANAに問い合わせたところ、それぞれ以下の返答があった。

「CAさんが俺の荷物のせいでギックリ腰になって、となりの席で休んでいる」とまさかの珍事件を投稿した春風亭一之輔(本人のXより)

――搭乗客の荷物の運搬を手伝った乗務員が何かしらの負傷を負った場合、座席にて休息をとることは想定されている?

「弊社としましては、常に安全運航を最優先に状況に応じた適切な対応をしております」(JAL)

「業務中に負傷した場合や体調不良等が発生した場合は休息含め必要な対応をいたします」(ANA)

 どちらも、状況に応じて柔軟な対応をとるとのことだった。なお、一之輔が遭遇した事案については、2社では報告が確認されていないという。

 一之輔は炎上について「おもしろがって見ている」と余裕を見せているが、一方で「書いていない文脈を読むんだから」と、SNSの恐ろしさにも言及している。短い文章で綴られる投稿に関しては、発信する側と受け取る側の双方に細心の注意が求められる。