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 三山ひろしや山内恵介が紅白初出場を果たすなど、若手演歌歌手の活躍が目立つ中で、デビュー33年目の歌手が、ガ然、注目を集めている。

「昨年から演歌ファンの間で話題になっていたんですが、まさか今年一発目のチャートで1位になるとは思いませんでした。USENの人も驚いていましたよ」(音楽関係者)

 紅白歌合戦の余韻がさめやらぬ今年1月第1週の有線演歌ランキング。話題の歌手を抑え1位に輝いたのが、『黒いサルビア』を歌う野上こうじだった。

「前作の『紫の薔薇』からビートムード歌謡っぽい楽曲を歌うようになり、今回もそれを踏襲している。前作は今までの演歌調からの変化に驚いた人もいたのかもしれないけど、ここに来て、このスタイルが定着したのでしょう」(前出・音楽関係者)

 今回の出来事について、演歌に詳しい芸能レポーターの石川敏男氏はこう分析する。

「じっくりと売り上げが伸びるのが演歌チャートの特徴。そういう意味では今年は大化けする可能性は高く、楽しみな存在ですね」

 デビュー33年目となる遅咲きの野上。この快挙について本人に聞いてみた。

「なんで1位なのかホント、不思議ですよ。事務所の人から聞いたときは、“ウソでしょ”って言ってしまいました」

 やはり驚きを隠さない。だが、昨年6月にリリースして以来、今もCD売り上げチャートが堅調でスマッシュヒットを飛ばしている。どこに人を惹きつける秘密があるのだろうか。

「歌の中に《僕の魔法であなたを》っていう決めゼリフがあり、そこがいちばん盛り上がるんです。初めて聴いてくださった方は、最初はポカーンとされるのですが、歌が中盤を過ぎるころは、ノリノリで目がハートマークになっているんです」

 シブい大人の歌声と甘いマスク。この“野上マジック”に観客は虜になってしまう。そんな野上だが、私生活では3児の“イクメン”パパだ。

「25歳で結婚して、長男が生まれたのが32歳のときで、6歳離れて次男ができた。そうしたら、妻が“次は女の子が欲しい”って言うので、3人目をつくったら、これがまた男の子で(笑い)」

 21歳、15歳、10歳の三兄弟は、しっかり父親の背中を見て育っている。

「僕の仕事はだいたい夜でしょ。だから、子どもが小さいころは、けっこう昼間に子育てやっていたのよ。子どもたちをお風呂に入れて、仕事で歌いに行くみたいな感じね。長男がやんちゃして学校に呼ばれて、行くのは僕ですよ。

 “先生すみません”って謝ってね。ずっとやんちゃしていた長男は高校になって勉強する気になって、国立大学に入ったもんね。勉強しろとか何も言わなかった。次男も高校受験に合格してくれたしね」

 特に次男はギターを弾いたりと音楽好き。同じ歌の道に進んでくれるかもとひそかに期待しているという。

「次男は小学生のとき、僕が地元のお祭りで歌ったときはいちばん前で見ていたもんね。長男は楽屋まで来てくれたけど、“小遣いくれ”って(笑い)。まあ、子どもたちは僕が歌手やっていることを本当に喜んでくれていますね」