「私、ニットが大好きなんですが、萌え袖にはちょっとご縁がなかったですし、かすみ草なんて男役時代は持ったことのないお花だったので、ドキドキしました(笑)。こうやって取材をしていただいて、恥ずかしさと新鮮な気持ちが入り交じっていますし、新たなスタートを切っているなって。これから少しずつ、慣れていけたらと思います」
「まさに女性初心者として向き合っている最中です(笑)」
8月10日、惜しまれながら宝塚歌劇を退団した元星組トップスター・礼真琴が、ついに初登場! ’09年、首席で入団し星組に配属されると、’19年にはトップスターに就任。歌、ダンス、芝居と三拍子そろった抜群の実力で多くのファンを魅了し続けてきた。
タカラジェンヌに別れを告げて約4か月。退団会見で「約17年、男役をさせていただくと、朝目覚めた瞬間から男役なんです」と語った礼に、卒業後の心境を聞いた。
「感覚的には何も変わらないんですけど、男役が普通だったので、これからどうやって生きていこうかってところからスタートした感じでした。
でも、無理に女性らしくしようとか、そういうふうに決めているわけではないので、自然体で新たな環境に身を任せて変化を楽しんでいけたら。今、まさに女性初心者として向き合っている最中です(笑)」
退団後は、ひと息ついてゆっくりのんびり……とはいかなかったようだ。
「宝塚から東京に引っ越しをしたので、怒濤のように荷造りをしたりとバタバタしていました。一応、東京出身なのですが、戻ってみると以前とは感覚が全然違うんです。関西にすっかり染まっていたんだなってあらためて思いました。
お仕事でイギリスのロンドンのほうにも行かせていただいて、何日かオフがあったので観光をしました。エッグベネディクトとか大きくて驚いたりと、食事も満喫しました。あと、『名探偵コナン』が大好きなので、ビッグベンとか、劇中でコナンくんが行った聖地を巡礼したり(笑)。テンションが上がりましたし、息抜きになりましたね」
宝塚の後輩たちのことはいつも気にかけていて、事あるごとに連絡を取り合っているそう。
「みんなすごく可愛くて、“今日は何々しました”とか何げないことでも連絡をくれて、離れていても、近くにいるような感覚になれます。私がSNSを始めて写真をアップしたときは、 “真琴さんが男役じゃなくなっている、衝撃!”というメールをたくさんもらいました(笑)。
宝塚を自分が客席から見せていただく立場になり、みんなとそこで一緒に舞台を作っていたんだということはすごく誇りでした。あらためてこの世界にいられたことを幸せに思いますね」
アーティストとして新たな一歩を踏み出した礼は10月、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾らが所属する芸能事務所『CULEN』へ加入。
「(3人は)子どものころからスーパースターでしたから。まだお会いする機会がなくて、緊張しますがお話できたら、いろいろ勉強させていただきたいです」
歌うことを続けていけたら
あわせて今夏、ロンドンで話題を呼んだ新作ミュージカル『バーレスク』の、海外では初となる日本公演の主演を射止めたことが発表された。
「ロンドンに仕事を兼ねて行かせていただいた際に、『バーレスク』を見たんです。自分がやらせていただくことになり、何かひとつでも盗んでやろうという気持ちで見させていただいたんですが、みなさん熱量もすごいし圧巻で、本当に素晴らしかったです。
舞台は宝塚でしか経験していないので、(稽古の)持ち物は何が必要なのかとか、まだその次元。わからないことばかりなので、お稽古が始まったら初心者マークをつけていきたいくらいです(笑)。日々、学びだと思いますが、とにかく自分が楽しめるよう頑張りたいです」
12月にはコンサート『Flare』を東京と大阪で開催。今年1月に、現役タカラジェンヌとしては3人目となる武道館コンサートを成功させた彼女が、再び華やかで力強いパフォーマンスを作り上げる。
「本当にどんなふうになるのか、まだ未知の世界ではありますし、挑戦の連続になりそうなので、楽しみでもあります。やっぱり宝塚時代から応援してくださっている方々に喜んでいただきたいですし、私を知らなかった人たちにも、知っていただけるコンサートになればと思っています」
新たなステージでさらなる高みを目指す礼は、今後についてこう意気込む。
「昔から歌うことは好きなので、続けていけたらという夢はあります。お芝居に関しても、映画やドラマと、映像のほうは未知の世界なので、少しずつ勉強しながら機会があれば挑戦したいです。
宝塚時代からチャレンジしてばかりなのですが、ありがたいことに大変でも、最終的には自分が楽しかったと思える経験をたくさんさせていただきました。新しい世界でも、楽しいなって思える経験ができればいいなと思っています」
礼真琴にQuestion9
挑戦してみたいファッション
「男役時代から着ていたものを、女性としても可愛く着られるような組み合わせを考えるようになりました。ただ、私生活でスカートをはくまでには時間がかかりそうですし、ワンピースなんてまだまだ(笑)。カッコいい女性を目指して、これからもファッションには挑戦していきたいです」
家事は得意?
「引っ越したばかりの新居でキレイなので、掃除機をかけるのは楽しいです。料理は朝ごはんに簡単な雑炊を作って食べるくらい。キッチンもキレイです(笑)。中華が大好きなので、鍋をガンガン振って料理できたらカッコいいなって思いはあります」
アウトドア派orインドア派?
「一日中、家にこもることもありますが、(愛犬の)“さぶろー”がいるので、やっぱり外に出る機会は多いです。散歩は家族にも手伝ってもらったりして朝晩出かけます。癒されますし、一緒にいると本当に幸せな時間です」
好きなタイプはどんな人?
「やっぱり、何かに全力で取り組んでいる方ですね。何かを極めたり、没頭している姿を見ると素敵だなって思います」
今、行きたい旅行先
「国内ですと、さぶろーと一緒に古き良き旅館がある温泉地に行きたいです。柴犬なので、和室とか絶対似合うじゃないですか。縁側で一緒にまったりしたいです(笑)。海外はパリですね。宝塚時代からフランスにゆかりのある作品に触れてきましたし、一度は行ってみたいなと思っています」
最近のお買い物
「お風呂マットや、台所シンク用の撥水スプレーとか新居のための便利グッズを買いました。SNSでグッズを紹介している方がいらっしゃるので、参考にしています。ホームセンターも好きで、棚とか家具は置くスペースを完璧に計測してから買いに行く派です。隙間なくピッタリそろえて置くのが最高です!」
コレが苦手なんです……
「虫が全般的にダメですね。宝塚時代、家の中にカマキリが出たことがあったんです。さぶろーにどうにかしてもらおうと思ったら、いつのまにか後ろのほうに逃げていて(笑)。最終的には何とか家にあった棒に乗ってもらって、自然にお帰しすることができました」
もうすぐクリスマス!
「クリスマスはチキンに、母が必ず手作りでケーキを作ってくれたので、それを食べるのがすごく楽しみでした。サンタさんは小学生くらいまでは来ていましたね。シルバニアファミリーが大好きで、大きい家とかをもらったのを覚えています。3つ上に姉がいて、それで一緒に遊んだりしていましたね」
私の癒しの時間
「ドライブは趣味といいますか好きですね。宝塚から東京に引っ越したときも、さぶろーと車で一緒に来ました。休みの日は音楽を聴いて歌いながら運転したり、セリフを覚えたりと、集中できる個室みたいな感覚で楽しんでいます。なので、動くカラオケボックスと呼んでいます(笑)」
礼真琴コンサート『Flare』 12月10日 東京国際フォーラム ホールA、12月13〜14日 大阪・梅田芸術劇場メインホールにて公演。ミュージカル『バーレスク』2026年5〜6月 東京・東急シアターオーブ、7月 大阪・梅田芸術劇場メインホール、7〜8月 福岡・博多座にて公演
