愛子さま

 公務と日本赤十字社での職務に追われ、多忙ながらも充実した日々を過ごされる愛子さま。私生活では別れと出会いがあったようだ─。

宮内庁は天皇ご一家が今年8月に保護猫の『美海』を引き取られたことを公表しました。ご一家はこれまで、『ニンゲン』『みー』『セブン』と、3匹の保護猫を飼われていました。

 しかし2016年に『ニンゲン』が、昨年は『みー』、今年は愛犬『由莉』が天に召されています。残された猫の『セブン』が寂しい思いをしないようにと、生後4か月半の『美海』を迎えられるに至ったそうです」(皇室担当記者)

小さな命を大切にするというメッセージ

 天皇家はたくさんのペットを飼われてきたが、いずれも殺処分の可能性がある保護犬や保護猫だった。このことについて、動物の保護に取り組む一般社団法人「東京都人と動物のきずな福祉協会」の香取章子代表に話を聞いた。

国の象徴である天皇ご一家が、保護猫や保護犬を家族として迎えられていることは“小さな命を大切にする”とのメッセージとして国民に伝わり、とてもよい影響があると思います。今後、保護猫や保護犬を迎えてくれる家族がさらに増えていくのではと期待しています
 
 保護猫や保護犬を譲り受ける際、譲渡後の返還や虐待などのリスクを防ぐため、厳しい条件が設けられるほか、細かい審査も行われるという。

「保護団体と複数回の面談をしたり、飼育環境が整っているか確かめるために職員が自宅を訪問したり。譲渡前にはトライアル期間が設けられることも多く、トライアル中は写真や動画で状態を報告する必要が生じることもあります。

 ご一家がこうした手順を踏まれたのかはわかりませんが、譲渡までの過程は複雑で、ペットショップで購入するよりも、時間や労力がかかることは事実です」(保護団体関係者)

母と一緒に写真を選びました

 ご一家は毎日のように公務に追われるご多忙の身。それでも、一貫して保護犬や保護猫を迎え入れられている理由を『皇室の窓』(テレビ東京系)で放送作家を務める、つげのり子さんは次のように話す。

“失われる命を少しでも減らしたい”という思いをご一家の皆さまがお持ちだからではと拝察いたします。2019年に両陛下が秋田県を訪れた際、動物愛護センターを視察されています。

 同じ日に発表されたご感想には“殺処分される動物が少しでも減ることを心から願っています”と綴られていました。こうした動物への深い愛をお三方ともお持ちなのだと思います
 
 昨年の園遊会に出席した現代美術家で愛猫家として知られる横尾忠則さんも、懇談を通じて、ご一家の動物を愛するお心が伝わったと振り返る。

「園遊会に招かれた際、皇后陛下から直接、御所で飼われている猫ちゃんの写真を見せていただいたことを今も鮮明に記憶しております。雅子さまは、次の方に進まれるのを忘れていらっしゃるのではと思うほど、次から次へと猫ちゃんの写真を見せてくださり、一つひとつに細かな説明もしてくださったのです。

 僕も思わず夢中になって猫談議にのめり込んでいました。その後、愛子さまとお話しした際、“昨日、横尾さんにお見せするために母と一緒に写真を選びました”と明かしてくださり、感動いたしました

園遊会で現代美術家の横尾忠則氏と話す愛子さま

 
 その約2か月後、愛猫の「みー」が永眠したと、宮内庁から連絡があったのだという。

みーちゃんの死が報道される前に“まず横尾さんにご一報を”という陛下のお気遣いがあって、わざわざご連絡をくださったようです。みーちゃんの死には心が痛みましたが、新しく家族の一員になった美海ちゃんの写真をテレビで拝見したとき、芸術作品を見たときのような感動を憶えました。

 お三方の動物に対する並々ならぬ愛情は、ご一家の幸せの形であると同時に、国民への愛と幸せに結びつく原点になっているように思います」(横尾さん)

愛子さまの動物愛は進化している

 保護猫や保護犬を引き取り、命を尊ぶ姿勢を国民に示されてきたご一家。その一方で愛子さまもまた、動物に支えられて成長されてきたと前出のつげさんは話す。

愛子さまが幼いころ、雅子さまは適応障害でご体調が優れず、陛下も公務で多忙な日々を送られていました。心のどこかで寂しいお気持ちを抱えられていたのではないでしょうか。そんな愛子さまの寂しさを埋めてくれたのが由莉やみーをはじめとする動物たちで、心を許せる親友のような存在だったのだと思います
 
 そう印象づけたシーンがあるとつげさんは続ける。

「2009年5月、ご一家で御料牧場を訪れた際、愛子さまは愛犬の由莉ちゃんを大事そうに抱きかかえられていました。その3か月後、那須での静養のため、那須塩原駅に到着された際も、由莉ちゃんを抱きかかえられていて、かわいがられていることが伝わりました。翌年もご一家は那須で静養をされたのですが、那須塩原駅に由莉ちゃんの姿がなく……。

 お留守番かなと思いきや、ペットを新幹線に乗車させるには重量に制限があるようで。成長して重量をオーバーした由莉ちゃんは車で移動して、愛子さまと一緒に過ごせることになったようです

今は亡き、愛犬の由莉と愛猫みー(宮内庁提供写真)

 
 成長とともに愛子さまの動物愛は進化しているという。その過程を見守っているのが、公益財団法人アイメイト協会「アイメイト後援会」の鈴木節子会長だ。

「アイメイト協会は毎年、学習院のイベントに盲導犬について理解を広めるブースを出展しています。愛子さまは小学6年生のころから、コロナ禍を除いて毎年お越しになって、盲導犬との歩行を体験されています。初めは盲導犬やリタイア犬に“かわいい”とおっしゃっていて、犬に夢中といったご様子でした。

 しかし、次第に視覚障害のある、盲導犬の使用者に声をかけられたり、グッズをお買い上げいただいたり、協会の活動に関心をしめしてくださるようになって……。うれしいと同時に励みになっています」
 
 今年は馬事公苑で開催された「愛馬の日」というイベントに出席するなど、動物関連の公務に臨まれた。愛子さまの深いご関心に驚かされたと日本中央競馬会馬事公苑総務課の東山友和さんは振り返る。

愛子さまは自然体で親しみやすく、誠実さや優しさがにじみ出ていらっしゃいました。馬術競技の中でも障害馬術や馬場馬術の競技内容をご存じだったことや、パリオリンピックの総合馬術をご家族と一緒にテレビでご覧になられていたことからも、馬への関心の深さを感じました
 
 そのご姿勢は多くの人に感動や希望を届けている─―。

つげ のり子 西武文理大学非常勤講師。愛子さまご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の『皇室の窓』で構成を担当。著書に『素顔の美智子さま』など