現役トップの実績を誇る女流棋士の福間香奈さんが12月9日、妊娠・出産をめぐる日本将棋連盟の規定に対し、見直しを求める意見書を提出したことがSNSで大きな波紋を呼んでいる。
「支障が出るのは当然」という意見も
現在、女流8タイトルのうち6つを保持する福間女流六冠は、名実ともに女流棋界のトップに君臨する存在だ。
「福間さんが問題視しているのは、連盟が今年4月に作ったタイトル戦に関する新たな規定です。出産予定日から数えて産前6週から産後8週までの期間と1日でも対局の日程が重なれば、日程変更はされず、その女流棋士は不戦敗となるというものです」(全国紙文化部記者、以下同)
この規定が誕生したきっかけは、福間さん自身の昨年の妊娠・出産経験にある。
「昨年の妊娠中、福間さんは重いつわりや胎盤の問題のおそれから、タイトル戦の対局延期を運営する日本将棋連盟に申し入れました。しかし、当時『妊娠・出産』が対局日変更の事由になく、一部の対局の変更が認められず不戦敗となりました。こうした事態を受けて連盟は今年4月にさきほどの新たな規定を新設したのです」
しかし、この規定は六冠のタイトルを持つ福間さんにとって、規定の期間中に防衛戦があれば、不戦敗によるタイトル失冠を意味する。福間さんは「対局か妊娠か、どちらかを選択しないといけない状況にある」として、連盟に規定の再考を求めたのだ。
この要望に対し、ネット上では大きな議論が巻き起こっている。規定に批判的なものとしては、《日本将棋連盟の規定はいかにも男性が作った規定で、妊娠出産をまったく考慮していない》《延期を一切許さないって…この規定エグすぎる》といった声が目立つが、一方で、《将棋は興行の面もあるから長期離脱は許されない。それは他の女子スポーツとかでも同じなのでは》《妊娠出産は命がけ その間は仕事に支障が出るのは当然だと思う》といった意見も。
福間さんは現在、子育てと並行しながら、“女性初のプロ棋士”を目指して新たな扉を開こうとしている。2022年に、アマチュアや女流棋士がプロ棋士になるための棋士編入試験に挑んで不合格だったが、直近の公式戦で好成績を収め、来年1月から再び棋士編入試験に臨むことになったのだ。
福間さんが女性初のプロ棋士になることができれば、後輩も次々と福間さんに続き、女性プロ棋士が増えるかもしれない。そうなれば、日本将棋連盟も女流棋士の在り方やルール作りについての議論を避けては通れないだろう。
