2025年12月8日、衆議院本会議に出席した高市早苗首相は、野党の質問に応じる形で消費税減税の可能性に触れた。
高市首相の“煮え切らない態度”
近年の日本では、円安に加えて人件費や物流費の高騰が続き、物価上昇が長期化している。特に食料品の値上がりは深刻で、家計のゆとりが失われつつあるのが実情だ。
こうした状況を受け、日本共産党の堀川あきこ衆議院議員は「物価高にもっとも効果があり、国民が求めてきた消費税減税こそ、実行すべきではありませんか」と質問。これに対し高市首相は、「消費税率の引き下げについて、選択肢として排除するものではございません」と答弁し、減税の可能性を完全には閉ざさなかった。しかし……。
「高市首相は続けて“他方で、消費税は『税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく、安定している』『現役世代などの特定の層に負担が集中することがない』などの特徴を有しており、社会保障の財源として活用され、社会保障給付というかたちで家計に還元されていることにも留意をすべきです”と訴えました。慎重な姿勢が目立つ内容で、積極的とはとても言えない印象です」(全国紙社会部記者)
高市首相の“煮え切らない態度”に対し、ネット上では《台湾有事には踏み込んだ発言するのに、消費税に関してはトーンダウンするんですね》《前は“レジシステムが対応できない”と言っていたのに、今度は社会保障を理由にするのか》《国民の生活に直結するんだから、こういう場面こそリーダーシップを発揮してほしい》など、不満の声が相次いでいる。
こうした声が強まる背景には、政府側の説明が一貫していないとの見方がある。
「消費税減税については、11月7日の衆院予算委でも取り上げられていました。自民党と日本維新の会の連立合意にある『2年間の飲食料品の消費税0%の法制化』について問われた際、高市首相は“減税の実施には時間がかかる”とし、その理由を“残念ながら日本の遅れたPOSレジシステムのせいでございます”と述べています。そもそも『食料品消費税0%』は半年前に首相自身が掲げていた政策であり、方向性が揺れて見えるのも無理はありません」(政治ジャーナリスト)
この説明に対しては、《まさかの消費税減税ができないのはレジのせい》《増税でもレジシステムの改修は必要だぞ》《さすがにレジのせいにするのは無理があるだろ》など、辛辣な意見が多く寄せられた。
物価高に苦しむ国民の切実な声と、慎重姿勢を崩さない政府。その溝は今も埋まらないままである。求められているのは、迷いを断ち切る積極的なリーダーシップだ。
