今年10月から活動を開始した『グランギニョル』というビジュアル系バンドが行ったライブ公演が物議を醸している。
戦死者を軽視したバンドに批判
『グランギニョル』は12月10日から12日までの3日間、『ひめゆり学徒隊』と題した沖縄単独公演を開催。
『ひめゆり学徒隊』とは、太平洋戦争末期の沖縄戦で負傷した兵士の看護等を担った女性による学徒部隊のこと。『ひめゆり学徒隊』と思わせるセーラー服姿の女学生の顔に黒の目線を入れた写真を公演のインフォメーション画像に使用しているのだ。
「『ひめゆり学徒隊』は看護係としての役割だけでなく、沖縄戦が激化していく中では、死体の埋葬や排便の世話などの雑務作業も行っていました。その不衛生な環境や十分な食事が摂れなかったという背景から、戦争が長引くにつれ痩せていく人も。生徒や教師240名が動員されましたが、そのうち136名が亡くなっています。
ライブ公演名を『ひめゆり学徒隊』にしていることから、そうした歴史的背景は理解しているはず。なぜこの公演名にしたのか疑問が湧きます」(全国紙社会部記者、以下同)
『グランギニョル』でボーカルを務めるkarasuは、自身のXで『ひめゆり学徒隊』をイメージしているであろうコスプレ姿を投稿。
ひめゆりの関係者から不快の声
この投稿には《最低。ひめゆり学徒隊は実際の犠牲者がいて、沖縄にとって今も重い歴史。その上で、泥や傷のメイクで笑顔の自撮りは悲惨な歴史を茶化してるみたいで気色悪い(中略)》という返信が寄せられたが、karasuはこの投稿をなんとリポスト。『ひめゆり学徒隊』を軽んじているとしか思えないような行動を取っている。
「karasuさんは、11日にも《大日本帝国万歳》などという投稿文とともに、ライブ衣装の自撮りを公開しています。リポストしていることも踏まえて、軽んじているとしか考えられません。
karasuさんの投稿には、《親戚がひめゆりの教師として命を落とした身としてホントに不快》という声も寄せられています。どのような思考回路で本公演を行ったのか。関わった関係者を含め、批判されている状況です」
数々の批判意見が寄せられたことを受けてか、12月12日の公演最終日に、『グランギニョル』の公式Xが、本日の公演に関するお知らせと題した投稿文を掲載。
《沖縄公演に関しまして多数ご意見を頂きましたため、本日の公演を中止とさせていただきます》と公演中止を発表した。
「公演中止の発表分には“謝罪”に該当するコメントが一切ありません。12日現在、karasuさんはいまだコスプレ投稿を残し続けていますし、個人での謝罪もありません。反省の色が全く見えないのです。バンドマンとして尖ることに固執しているのかもしれませんが、明らかにその方向性が間違っているのでは」
戦後80年を迎えた今年。戦死者を侮辱したバンドに下る制裁は――。
