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 TRFのメンバーとして音楽活動を続けながら、最近ではテレビやイベントで唯一無二な“天然”ぶりを発揮。私たちの想像を超えた言動で楽しませてくれているDJ KOO。常に笑顔、常に本気。「毎日が楽しい」と語る彼の本音を聞いてみた。

「これは、この間(バラエティー番組のドッキリで)幽霊タクシーに乗ったときのだ」

 そう言って、幽霊と筆談したときのメモ帳を見せてくれたTRFのDJ KOO。タクシーの後部座席に乗り込んだ人が、しばらくして突如現れる助手席の女性を見たときにどんな行動に出るかを“モニタリング”する番組に出演。

 多くのタレントが驚く表情を見せる中、ごく自然に幽霊の存在を受け入れ、女性からの“見えている?”などの問いかけに筆談で対応した。

「声を出して話したら、ドライバーの方が自分に言われているのかと勘違いされて、困っちゃうじゃないですか。だから、(幽霊が現れたら)筆談しません?  幽霊が見えたとしても、お墓参りに行くのが楽になったなと思うくらいですね(笑い)」

 '93年2月にダンス系テクノをポップミュージックに取り入れた初のグループとしてメジャーデビューしたTRF。同年7月に発売した2枚目のアルバム『EZ DO DANCE』が売り上げ枚数110万枚を突破。

 翌年のシングル『survival dAnce~no no cry more~』以降、5作連続でミリオンセラーを達成し、NHK紅白歌合戦に初出場('94年)。そして、日本レコード大賞獲得('95年)と、日本の音楽シーンを牽引するグループに。

 最近ではバラエティーで“天然”な才能を発掘され、引っ張りだこの存在だ。

「“天然”って、よく言われますね。でも、どうだろう? 考えていることをうまく相手に伝えられないというか(額を指しながら)このへんに、全部(映像や言葉が)出るといいんですけどね。

 どうも、かいつまんで話してしまうところがあるからそう言われるのかもしれないな。意識はしてないんです。計算も。言葉を選んでいるだけなんですけど」

 そう、ひとつひとつの質問に丁寧に答えてくれる。その彼が、どの番組よりも饒舌に語っているのが、自身初の著書となる人生の指南書『EZ DO LIFE!』。

「以前から知り合いの編集者に“KOOさんがよくメモしていることをカレンダーにしたら面白いですよね”って言われたことがきっかけです。すぐにその気になっちゃって(笑い)。カレンダーもいいけど、書籍にしたらどうなるのかなって妄想しながら(実現するまで)準備してきました」

 ロックにハマった中学時代から、“NO”と言えずに入部した高校のラグビー部。卒業後、DJとして走り始めたものの1度は夢をあきらめ、小室哲哉との運命の出会いでTRFとして活動をスタート。

 そして、愛する妻の病気がわかってすぐの妊娠から、現在の生活と、これまでの人生を振り返りながら、“今をもっと楽しむ”ために必要な25か条のKOO訓をまとめた内容に。本人も認める“メモ魔”であるという。

「子どもができたことが、いちばんのきっかけですね。例えば、奥さんが妊娠して、何か月くらいのときはこんな状態でって、日々の体調を記録していたんです。

 具合が悪くなると、たいてい先生から経過を聞かれるので、すぐにデータを渡せるように。正確なものを出すためには、何時に熱が出てって、細かく書いておくといいなと思って」

 甲状腺の治療を受けながらの妊娠期間にはビデオも撮っていたという。そんなKOOの全力サポートもあり、奥さんは無事に出産。いざ出産の際には、病室の扉と掃除道具入れのロッカーを間違えるという彼らしいエピソードも。

「TRFのレコーディングをするとき、いつもYU—KIと一緒に作業をするんです。そのときも、彼女が何時にスタジオに入って、どのくらいの時間、のどを温めると調子がいいとかってメモしていますね。

 バラエティーに出演させてもらうときも必ず予習・復習ノートを作ります。予習は、生かされることが、あまりないんですけどね(笑い)。

 以前、クイズ番組に出たとき、雑学クイズ500問とかっていう本を2冊くらいまるまる覚えていったんですけど、1問も出なかった(笑い)。でも、連続正解とか、1人だけ答えられたりと、おいしい思いもしたので、予習は無駄ではないなと(笑い)」

 本業のDJでも予習は必要だという。イベントごとに、その場所やお客さんの雰囲気を事前にリサーチし、実際の感覚を肌で感じながら膨大に聴き込んだ曲の中から合ったものを選び、つないでいく。

 このインタビューでも感じたのが、つなぎのスムーズさ。KOOの作り出す独特なリズムの中、その場にいる全員が心地よく、彼の声に耳を傾けていた。

撮影/伊藤和幸