日常の気になる疑問を解決!冬至の日、“かぼちゃを食べる”は、どこから来た?知って楽しいおもしろ雑学を友達や家族にも教えてあげよう。
知って楽しい!おもしろ雑学
Q.冬至の日、“かぼちゃを食べる”は、どこから来た?
A.本来は夏が旬の野菜ですが、保存がきくうえ縁起物であるという理由から(クラシル広報担当 福丸玲さん)
一年で最も夜が長い日の言い伝え
12月に差しかかると、ぐっと日の入りが早くなり、「えっ、もう真っ暗?」と驚く人も多いだろう。そんな一年でもっとも夜が長い日が「冬至」。
今年の冬至は12月22日。かつて人々は、この“闇が深まる日”を特別視し、無病息災や運気上昇を願うさまざまな風習を育んできた。
特に広く残っている風習のひとつが、冬至に特別な食べ物をいただくこと。なかでも
代表的なのが「かぼちゃ(南京)」だ。かぼちゃの旬は本来、夏から初秋であるにもかかわらず、毎年12月になると、かぼちゃを食べる風習があるのはなぜなのか、日本最大のレシピ動画プラットフォームの「クラシル」で、食の情報を発信する広報担当・福丸玲さんは、この素朴な疑問についてこう語る。
「理由の一つは、昔の保存事情にあります。冷凍も冷蔵も一般的ではなかった時代、かぼちゃのように保存がきく野菜は冬の貴重な栄養源でした。夏に採れたかぼちゃを“寝かせて冬に食べる”という習慣がそのまま冬至と結びついていったみたいです」
かぼちゃは皮が厚く、温度変化にも強い。涼しい場所で保存すれば、収穫後数か月はおいしく食べられる。野菜が不足する冬に「緑黄色野菜が食べられる」という価値は、現代よりずっと大きかったのだ。
かぼちゃはビタミンA・Cに加えてβ(ベータ)カロテンも豊富で、冬の風邪対策にぴったり。
「冬至にかぼちゃを食べてきた背景には、栄養学的根拠があり、まさに暮らしの知恵だったのだと思います」(福丸さん、以下同)
栄養、保存性、そしておいしさ。冬の食卓にかぼちゃが歓迎される理由はこうしてそろい、やがて“冬至の定番”として定着していった。
冬至に食べたほうがいい食べ物
ただし、冬至とかぼちゃが結びついた理由は、実用面だけではない。
もう一つ、日本人らしい縁起担ぎが隠れている。かぼちゃは“なんきん(南京)”とも呼ばれるが、名前に「ん」が2つつく食べ物は「運がつく」との考えから、運気上昇の縁起物として扱われたのだ。
さらに、かぼちゃの鮮やかな黄色やオレンジ色は太陽の象徴。太陽の力が弱まる冬至にこそ“陽の気”を取り入れる意味があると信じられたそう。
冬至の食文化は地域によってさらに広がりを見せる。
特に広く知られているのが 小豆を使った料理だ。かぼちゃと小豆を煮た「いとこ煮」、あるいは小豆入りの「冬至粥(がゆ)」など、冬至メニューはバリエーションが豊富。
「小豆の赤い色は、古くから“魔除(よ)け”とされてきました。かぼちゃで“運を呼び”、小豆で“厄を払う”。この2つを組み合わせることで、冬至の食卓にはより強い願いが込められていったそうです」
さらに、冬至には“ん”のつく食べ物を食べる「運盛り」という習慣もある。
かぼちゃのほか、れんこん、にんじん、ぎんなん、うどんなど「ん」がつく七種(くさ)は、春の七草になぞらえて“冬至の七種”とも呼ばれ、運を呼び込む食材とされてきた。
「ただし、こうした語呂合わせは俗説的なもので、実際には保存性や栄養価といった生活の知恵が先にあり、後から縁起担ぎの意味づけが広がっていったとみられます」
冬の寒さが本格化するこの時季、自然のリズムに寄り添って暮らしてきた先人たちの知恵が、かぼちゃ料理という形でいまも残っている─そう考えると、冬至がぐっと身近に感じられるはずだ。
食べ物だけじゃない!冬至にゆず湯に入る理由って?
冬至にゆず湯に入る理由には、古くからの“厄除け”と“健康祈願”の意味が込められている。ゆずの強い香りには邪気を払い、清めの力があると信じられ、冬至という一年で最も昼が短く陰の力が強まる日に、運気を切り替えるための習わしとして広まった。
さらに、ゆずは「融通がきく」に通じる語呂合わせから縁起物として扱われてきた。果皮に含まれる精油成分は血行を促し、身体を温める作用があるため、寒い季節の冷えや風邪予防にもうってつけだ。
