女優の松田美由紀さん(64)がこの夏、自身のSNSで、姉の熊谷真実さん(65)にすすめられて「四毒抜き」を始めたことを公表。それまで、寝込むことや、救急車で運ばれるほどひどかった体調が改善したことを報告。
この投稿はネットニュースでも話題となったが、その“四毒抜き”とはなんなのか。
なぜこの4つが毒?抜けば驚きの効果が
「小麦(グルテン)、植物油、乳製品、甘いもの、の4つを私は“四毒”と呼んでいます。これらは、歴史的に日本人が食べてこなかったものですが、現代食には多く含まれています。
もともと食べる習慣がなかったからこそ、人によっては体質に合わず、さまざまな現代病の原因になっています。原因となる四毒を抜くことで不調や病が改善すると考えています」
そう語るのは四毒抜きを提唱するのは歯科医の吉野敏明先生。
「私は、歯科医師として、歯周病などによって歯や顎の骨を失った方たちの骨を再生する外科手術を専門にしています。再生治療を行うにあたり、糖尿病や脂質異常症の方は治りが悪かったり、そもそも治療ができないケースがあります。
そこでまず四毒を抜いてもらったところ、治療がうまくいった方がいたのです。さらにアトピーが改善したり、頭痛や生理痛がよくなったケースもあり、食生活と健康について深く考えるきっかけにもなりました」
先生も証明! 「四毒抜き」で視力が回復
吉野先生は、なぜ“毒”という概念で4つをまとめたのか。全体としていえることは、これらの食品は、戦後の食の欧米化によって急速に身近になり、それに伴い生活習慣病をはじめとする現代病が急増したということ。
「例えば、自己免疫疾患の患者数は、1970年代と2010年代を比べると70倍に増加、乳がんの患者数も40年前に比べて5倍に、糖尿病は1960年代に比べてなんと50倍に増加しています。私は、そこに食事の変化との関連性があるとにらんでいます」
現代社会では、非常に多くこれらの食品が使われており、食生活から抜くことは決して簡単ではなさそう。どう抜くのが正解なのだろうか。
「徹底して、一気にスパッとやめることが実はいちばんラク。摂取量を半分に減らしたら状態が半分よくなるということもありません。
たまに、『やっているのに治らない』という方がいますが、問診すると『1回ケーキを食べた』と。現在症状が出ているという人は、完全にゼロにしないと意味がありません」
先生自身も、四毒抜きを実践してその効果を実感。
「コロナ禍で外食をやめて、自炊で四毒抜きの食事を続けていたら、視力が急によくなって。近視も老眼も治ってメガネがいらなくなりました」
そこで先生がおすすめするのは伝統的な和食。ご飯、みそ汁、納豆、豆腐、酢の物などが最適だという。
「加熱調理は、煮る、焼く、蒸すのいずれかで、焼くときはグリルを使います。みそ汁は野菜をたっぷり入れて、日替わりでみそをかえて楽しむとマンネリになりません」
塩は精製されたものではなく「天日塩」を使用、調味料に塩こうじや醤油(しょうゆ)こうじなどの天然由来の発酵食品や白だしを使うとうまみたっぷりになり、砂糖の使用を控えることができる。小麦粉の代わりにはそば粉がおすすめだ。
不調の自覚のない健康な人も油断は禁物。
「人は持っている“健康の器”の大きさが違います。例えば、『パンも揚げ物も、甘いものも大好きな、うちのおばあちゃんは90歳でもとても元気です』とおっしゃる人もいる。
器が、コップ1杯分の人もいれば、バスタブぐらい大きい人もいて、許容量に差があります。今現在健康で、病気知らずの人でも好き放題食べていたら、いつコップが満タンになるかわかりません。
病気にならないためにも、いざ病気になったときのためにも、健康なときから自らの食生活を見直しておくことが大切だと思います」
現代病に影響?「四毒」とは
小麦に含まれるタンパク質「グルテン」
美容や健康意識の高い人たちの間では、パンやパスタ、小麦製品を避ける「グルテンフリー食」が流行中。もともとは、グルテン(小麦や大麦に含まれるタンパク質)を食べるとお腹や身体に不調が出る、セリアック病やグルテン過敏症という病気の治療法として始まった。
このような病気の人はグルテンを食べ続けると腸が傷つき、栄養をうまく吸収できないため、完全に避ける必要がある。
陥りやすい病気や症状
「グルテンが原因となり自己免疫物質が暴走、正常な細胞を攻撃して呼吸器障害や胃腸の不調、慢性的なイライラや頭痛、うつ病に発展する場合もあると考えています」(吉野先生)
またグルテンは血糖値を急激に上昇させ血管を傷つけたり、脂肪をため込みやすい体質にするなど、さまざまな症状を誘発させるリスクが。グルテンを慢性的に摂取していると腹部の膨張感や消化不良を起こしたり、腸にガスがたまって腸の炎症を起こすことも。
オリーブ油やアマニ油などの不飽和脂肪酸「植物油脂」
問題となるのは、オリーブ油やアマニ油などの不飽和脂肪酸。これらは加熱すると酸化してアルデヒドという有害な物質を生成。アルデヒドは血管の内膜に付着しやすく、炎症や動脈硬化を招く可能性が。
「また、アルデヒドは神経にもダメージを与えることがわかっています。植物油脂はクッキーやマーガリンなどの加工油脂製品にも含まれており、知らない間に摂取しているため注意が必要」(吉野先生)
陥りやすい病気や症状
アルデヒドが血管に付着することで血管が硬くなって石灰化し、動脈硬化に。動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞、くも膜下出血などの原因に。神経への影響も大きく、子どもではてんかん発作やADHDのような神経疾患を引き起こす可能性がある。
特に大人になってからの植物油脂の多量摂取は、パーキンソン病のような運動神経に障害を起こすリスクを高めると指摘されている。
牛乳やチーズなど「乳製品」
乳製品は一般的にカルシウム源として知られているが「四毒」の考え方では「日本人の体質に合わない可能性」を指摘。
「日本人には乳糖を消化する酵素が少ない人が多く、消化不良や腹痛、下痢などを引き起こしやすいとされます(乳糖不耐症)。また乳製品に含まれるタンパク質“カゼイン”が、体内で慢性炎症やアレルギーの原因となる可能性も。
乳製品は飽和脂肪酸を多く含み、過剰摂取は悪玉コレステロールの増加や心臓血管疾患のリスクを高めるという見解もあるんです」(吉野先生)
牛の飼育環境によっては、乳製品に微量のホルモン剤や抗生物質が含まれる可能性を懸念する声もある。豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクなどの植物性ミルクがおすすめ。
お菓子やジュース、フルーツなど「甘いもの」
甘いもの最大の問題は、脳の快楽報酬系に働きかけ、中毒状態を引き起こすこと。砂糖を摂取するとドーパミンが過剰分泌し、判断力を低下させる。また、日本人は体質的にインスリンの分泌量が少ないため、血糖値が上がりやすい傾向にある。
人工甘味料であっても甘味への依存性が高まり、インスリンの働きを低下させる「インスリン抵抗性」を招く可能性があるので砂糖の代用としても要注意。
陥りやすい病気や症状
過剰な糖質摂取は血糖値を急激に上昇させるため、糖尿病のリスクが大幅に高まる(患者数は1960年代比で約50倍)。また、脳の中毒性や神経への影響から、うつ病などのストレス性疾患を招く懸念もある。
さらに、甘いものはあらゆる炎症を悪化させる可能性があり、ニキビや腰痛、肩こり、リウマチや線維筋痛症などの痛みを増幅させると考えられる。
教えてくれたのは……吉野敏明先生●銀座エルディアクリニック院長。歯周病治療の第一人者。歯学博士。医療問題アナリスト。ライフスタイル、医学・医療、健康といった幅広いテーマで情報を発信。YouTubeフォロワー55万人超。著書に『ガンになりたくなければコンビニ食をやめろ!』(青林堂)ほか多数。
取材・文/荒木睦美
