「年末年始はクリスマスや正月、帰省、旅行、受験などイベントがめじろ押し。欲しいものが一気に増えるので、フリマアプリの取引が年間で最も活発になるんです。出費が重なる時期でもあるため、小遣い稼ぎで出品する人も多く、商品量も増えます」
そう教えてくれるのはフリマアプリに詳しい、緑川静香さん。
年末年始に高まる“特定の需要”
この時期に求められるのは、防寒グッズや旅行用品、来客用の食器や正月飾りなどの“季節商品”。
また、香水や未開封のお酒、昭和~平成のキャラクターグッズ、収納用品など、一見売れないように思えるアイテムが思わぬ高値で取引されることもあるという。
「まずは需要があるカテゴリーをリサーチして、そこに当てはまるものを優先的に出品すると、スムーズかつ高値で売ることができます」(緑川さん、以下同)
需要の見通しを立てたら、次はいよいよ出品作業。緑川さんが“特に大切”だと強調するのは、写真、価格設定、タイトル、説明文の4つのポイント。
「写真はとにかく清潔感が大事。白い背景で余計なものを入れず、自然光で撮るだけでもグッと印象が変わります。正面、横、裏と角度を変えて撮り、ブランドのタグや付属品の写真も忘れずに。傷や汚れも包み隠さず写しておくと後々のトラブル防止につながります」
価格は必ずアプリ内の“売れた実績”を基準にするのが鉄則だという。
「同じ商品の売れた価格を確認し、そこから1~2割ほど高めに出品すれば、値下げ交渉にも余裕を持って対応できます。相場が1000円なら1200円で出し、1100円で売るイメージですね。
相場より高くしても売れませんが、逆に廃番になった商品や、人気で入手困難な商品などは新品よりも高く売れる“プレ値”になるケースもあるので、商品について下調べしておきましょう」
説明文には、購入者が判断しやすい情報を丁寧に盛り込むのがコツだ。特徴やサイズ、色といった基本情報に加え、購入時期や使用回数、購入価格などを明記すると信頼感が増す。
「“お気に入りですがサイズが合わなくて”“引っ越しで手放すことに”など出品理由を書くのもおすすめです。大事に使っていたことが伝わると、購入の後押しになりますよ。週末限定セールというあおり文句や、未使用品などの検索されやすいワードも入れてみて」
年末らしい工夫として、テーマをそろえた“福袋風セット”も有効。
「美容アイテムをまとめたり、洋服をコーディネートしてセットにしたりすると、お得感が出て売れやすくなります。単品で出すより少し安く設定するとさらに効果的。ただし、中身はすべて写真で見せて、商品の状態がわかるように出品しましょう」
傷や汚れの記載はもちろん、動物の毛やタバコのにおいなど、見落としがちな“生活臭”を嫌う購入者も多いため、ペットの有無や喫煙状況は必ず明記を。
「中古の洋服は毛玉やシミを見落としがちなので気をつけて。年末は配送遅延も起こりやすいので、あらかじめ説明文に遅延の可能性を書き、公式の配送サービスを使うほうが安心です。
家電は動作確認や付属品の有無まで細かく記載を。ダウンなど冬物はかさばるので、圧縮袋を使ってサイズを抑えると送料が節約できます」
年末のそうじがてら、フリマアプリで賢く稼いでみては?
緑川さんおすすめ「意外に売れる出品アイテム」
ゴミだと思って捨てないで!
ブランドのショッパー
「クリスマス前後はプレゼント需要が高まります。自分で買った中古のアイテムや、お得に入手した未使用品を友人などに贈るときに“ブランド感”を出したいという人が多いんです。ショッパーだけを求める層が一定数いて、コレクターもいます。きれいな状態のものは思った以上にすぐ売れますよ」
家電
「年末はボーナス時期と重なるので、家電を買い替える人が増えます。そのタイミングで美容家電・暖房家電を安く手に入れたい人が一気に増えるので、中古家電の需要も高まります。また、壊れて動かないジャンク品でも“部品取り”目的で欲しい人がいるので、価格さえ抑えれば売れることも珍しくありません」
収納グッズ
「家の整理整頓を始める家庭が増えるのが冬のこの時期。収納ボックスや仕切りケースは、店まで買いに行くよりフリマでサッと手に入れたいという人も多いみたいです。私自身、30cm四方の収納ボックスをまとめて出したらすぐ売れて驚きました。季節性と“急ぎ需要”が重なるアイテムなんですよね」
お酒
「大そうじをすると未開封のお酒のボトルが1~2本は出てくる家庭ってわりとあります。ウイスキーやワインは銘柄や生産年によって価値が変わり、フリマのほうが店頭価格より高く売れるケースも。未開封が条件ですが、需要は安定しているのでまず相場を確認してみて。人が集まる年末は特に売れやすいですよ」
食器類
「年末年始は帰省や来客が続く家庭が多いので、普段より多めの食器が必要になりがち。おせちを入れる重箱は、この時期だけ需要が一気に跳ね上がります。家に余っているけれど使っていない人も実は多いので、売る側も買う側もマッチしやすいアイテム」
香水
「ブランド香水は“気になっているけど新品は高い”と感じている人が多く、中古はかなり人気があります。さらに、すでに廃番になった香りを探している人は積極的にフリマアプリをチェックしているので、ボトルが残っていれば価値が生まれます。年末は購入意欲も上がるので、意外と高値がつきやすいんですよ」
実は“通年で売れる”意外な出品アイテム
年末だけじゃない!
昭和・平成のキャラクターグッズ
「昔集めていたキャラものって、今見ると価値がなさそうに思えて捨てがちですが、実は根強い需要があります。最近は海外のアニメファンも日本のフリマアプリで探すようになってきているので、状態がよければかなり高額になることも。
購入時期や限定品かどうかを書いておくと、より高く売れやすくなりますね」
保冷剤・透明傘
「保冷剤は、消臭剤や虫よけとして再利用する人も多く、実は必要としている人が一定数います。透明傘は推し活の撮影や店舗イベント用に大量に使われることが多く、まとめ買いの需要があって見過ごせません。どちらも家に余りがちなものですが、意外と売れるんですよ」
空の卵パック・トイレットペーパーの芯
「これは本当に“捨てる前にちょっと待って!”と言いたいアイテム。工作や長期休みの自由研究で大量に必要になり、突然まとめて買いたい人が出てきます。
単品では売れにくいですが、ある程度ためてセットにすると一気に売れます。生活ゴミに見えて実は季節需要が高い、典型的な不用品ですね」
教えてくれたのは……緑川静香さん●1988年、埼玉県生まれ。モデルとしてデビューし、テレビドラマやラジオのリポーターとして活動。バラエティー番組で不用品をフリマアプリで売る企画を担当し、総額1800万円を達成。きき酒師の資格やベストボディ・ジャパンの出場経験など幅広い分野で活躍中。
取材・文/井上真規子
