恩賜上野動物園の人気者、双子のパンダ「シャオシャオ(雄)」と「レイレイ(雌)」が、2026年1月31日までに中国に返還されることがわかった。動物園を管轄する東京都の発表に様々な声が上がってーー。
当初に予定されていた返還期限は2026年2月20日とのことから、約1か月間の“前倒し”は日中関係の影響と見る向きも多い。しかし、都建設局は12月15日の会見で「(返還)日程調整の期間としては通常の範囲内」として、これを否定。
高市早苗首相(64)の「台湾有事発言」によって排日行動を強める中国だが、同様にパンダを日本から早急に引き上げさせる“制裁”措置ではないとの説明した。
12月16日時点で、日本で飼育されているパンダは上野動物園の2頭のみで、“彼ら”が中国に返還された暁には約50年ぶりの国内ゼロとなる。パンダ観覧の駆け込み需要が見込まれる同園では、12月23日から来年1月25日までの間を「ウェブ申込(先着制・抽選制)」とする観覧方法に変更している。
わずか1分程度の時間になるが、最後にもなりかねないパンダだけに観覧希望者による応募殺到は必至。多くのファンを虜にするパンダだが、一方でネットでは《#パンダいらない》のハッシュタグをつけた投稿も目立っている。
パンダ飼育に年間1億円、経済効果は
そんなパンダ不要論を活発化させる一因となっているのが、「パンダ外交」によって発生する高額レンタル料金。その名のとおり、パンダを日本で飼育する際には中国側にレンタル料が支払われているのは周知の事実。
「相場とされているのがペアで年間1億円で、たとえば日本で赤ちゃんパンダが生まれた場合にも1頭につき約6000万円が加算されます。このレンタル料を払っているのは東京都であり、つまり税金ということ。毎年、億単位のお金が中国側に流れているとあっては、興味ない人にしてみれば“パンダいらない”となるのも無理はない話ですが……」
エンタメ市場に詳しい経済ライターの話によると、たしかにパンダ飼育のために毎年1億円、もしくはそれ以上を中国側に支払っているわけだが、実のところはレンタル料以上にパンダがもたらす利益も多いのだとか。
「動物園の入場料に加えて交通費や宿泊費、飲食費、パンダグッズによる経済効果は年間数十億円ともされ、2021年に上野動物園で誕生したシャオシャオとレイレイは約300億円の経済効果をもたらしたとの試算もあります。“パンダ外交”は収益面においては“winwin”の関係とも言えます」
では、ネットで声高に叫ばれている《#パンダいらない》だが、ユーザーは何に対して怒っているのか。
《上野動物園はパンダ以外にマスコットを作るチャンスですよ やっぱ1つに依存するのは良くないですね》
《そもそも借り物であるパンダを目玉にしてたのが中国依存のリスクを考えてないやり方だと思うので、他の稼ぎの手段を考えてなかったのはどうなんやろなと》
《中国依存の観光資源は無くなったほうがいい。 パンダではなくても、可愛い動物はたくさんいます。子どもたちには、楽しみにすべきはパンダだけじゃないことを教えていきたいな。》
上野動物園にも求められる“脱・中国”
中国外務省が自国民に対して「訪日自粛」を喚起してから1か月、各観光地で相次いでいるのが中国からのインバウンドによる旅行、宿泊キャンセル。そんな中国人観光客に依存するチャイナリスクが伴う体制の改善を促す、「公立」である上野動物園にも“脱・中国”“脱・パンダ”が求められているようだ。
そしてパンダにとって変わる「マスコット」として一部から推されているのが、
《日本で見れるパンダがいなくならしいんだけど、今こそ思い出して欲しい。 元祖パンダ、レッサーパンダちゃんがいる事を》
一説によると「ジャイアントパンダ」が発見される前には「パンダ」と呼ばれていたレッサーパンダ。つまり後者こそが“元祖パンダ”であり、あらためて各地の動物園で飼育されている、レッサーパンダに注目する声も上がっているわけだ。
ちなみに背筋をピンと伸ばした直立姿が話題になった「風太くん」は、今年で22歳を迎えたが、現在も千葉市動物園のアイドルとして来園者から愛されている。
パンダ返還のニュースが伝えられた翌16日の上野動物園には早速、シャオシャオとレイレイをひと目見ようと来園者が殺到し、3時間待ちの行列が作られたようだ。「パンダの森」隣で飼育されているのがレッサーパンダだが、こちらは「1分」と言わずにじっくり愛でてほしい。
