12月14日、東京・Kanadevia Hallでミュージカル『刀剣乱舞』の新作公演『~静かなる夜半の寝ざめ~』が開幕した。公演情報と会見コメント、ゲネプロ写真が一斉解禁されると、Xのタイムラインは刀ミュ一色に。十周年を迎えて初めての本公演に、ファンの期待が高まっているがーー。
足利尊氏×観応の擾乱という本格派の歴史設定
本作は、南北朝時代に起こった内乱「観応の擾乱(かんのうのじょうらん)」を題材としている。足利尊氏とその弟・足利直義が対立した一連の争いで、室町幕府の成立期における重要な転換点だ。日本史の授業でも扱われるこの複雑な時代を、刀ミュはどう描くのか。
出陣する刀剣男士は、にっかり青江役(新木宏典)、五月雨江役(山﨑晶吾)、山姥切国広役(加藤大悟)、へし切長谷部役(木原瑠生)、山姥切長義役(水江建太)、後家兼光役(佐奈宏紀)の6振り。いずれも過去に登場経験のある刀剣男士で、演じるキャストたちも役を熟知した面々だ。
「歴史上の人物として登場するのは、足利尊氏(藤田玲)、足利直義(藤原祐規)、足利直冬(青木瞭)、佐々木道誉(山岸門人)、守人(酒井敏也)。特に藤田玲さんが足利尊氏を演じることは大きな話題となりました」(芸能誌ライター・以下同)
9月2日、Xで解禁されたメインビジュアル、公式サイト、公式情報公開に反応した藤田は《もいっこ解禁!!刀ミュ、新作でます!このキャスティング!男士もだし!歴史上じんぶつキャストも、最高すぎる!!そしてまさかの、榎本さんじゃない!!一瞬何故?となりながら…自分もビックリしております!》と投稿。刀ミュでこれまで演じてきた榎本武揚役ではなく、今回は足利尊氏という異なる時代の人物を演じることへの驚きを率直に語っていた。
そして12月14日、初日公演を無事に終えた藤田は《初日をご観劇ご視聴頂き、誠に有難う御座いました!如何でしたでしょうか??あと52公演…!#足利尊氏 さんとしっかり向き合って生きていきます!》とコメント。ファンからも「とてもすごい作品でした」「愛と憎しみや哀愁が渦巻く圧巻の演技でした」などの反応が相次ぎ、好調なスタートを切ったようだ。
刀ミュが愛される理由
刀ミュといえば、これまでも「阿津賀志山異聞」での源義経・弁慶、「三百年の子守唄」での徳川家康の一生など、歴史の重要局面に深く切り込んできた。
「刀剣乱舞というコンテンツが10年以上愛され続けている最大の理由は、歴史を単なる『キャラクターの背景素材』として消費せず、歴史そのものに真摯に向き合っている点にあるのではないでしょうか。特に『観応の擾乱』は、昨今の歴史ブームでも『複雑すぎて手が出しにくい』と言われる領域です。
しかし、刀ミュはそこから逃げずに、兄弟の愛憎や正義の衝突として描き出しました。ファンも『推しを理解するために歴史を学ぶ』という動機は非常に強力で、グッズはもちろん専門書も購入するファンも多いでしょう。今回の新作も、足利氏ゆかりの寺社仏閣への観光誘致に波及効果をもたらすかもしれません」
刀ミュの集大成に向けた重要な一章となる『静かなる夜半の寝ざめ』は、観応の擾乱という難解な歴史事件にどう切り込むのか。藤田玲が演じる足利尊氏と、6振りの刀剣男士たちが紡ぐ物語から、目が離せない。
