「価格への影響は、ほぼほぼないと考えている」
12月16日、物価高対策の一環として政府、農林水産省が配布する「おこめ券」が、コメ価格への影響も懸念されることに答えにならない答えで返した鈴木憲和農相(43)。あくまでも価格に「コミット(関与)しない」体を貫いてーー。
前大臣の小泉進次郎防衛相(44)による「備蓄米放出」によって、一時は5キロ3000円台まで値下がりしたコメ価格だが、新米出荷によって再び価格は高騰。現在は5キロ4000円台、ブランド米に至っては約5000円と高値を更新している。
そんな日本人の“主食”が高級品となった現状、消費者のコメ離れに拍車がかかるのも当然で、それでも価格を下げられない卸会社との“チキンレース”の様相を呈している。そこで政府が消費の手助けとして講じたのが「おこめ券」だった。
「ところが、2026年9月までの使用期限が設けられたこと、おこめ券の12%が手数料としてJAに支払われること、そして価格暴落する前に高値のままお米を買い取らせたい思惑も疑われる始末。明確に“配布しない”とNOを突きつける自治体も増えています。
苦境に立たされた農相は、視察先の山形県酒田市で報道陣に対して“おこめ券活用法のレクチャー”を始めたのです」(全国紙・社会部記者)
鈴木農相は「私自身はニュートラルの立場」とあくまでも、おこめ券配布の判断については各自治体の判断を尊重する、“中立”であると主張した上で、
「多くのスーパーマーケットに行けばお米だけでなく食料品などに対してもおこめ券で買うことができる。そうしたこともよく踏まえてどの手法が地元の皆さんの食品高騰に対する負担を低減することに役立つのか検討してもらいたい」
配布される「期限付きおこめ券」はコメの購入だけに限らず、他の食料品にも活用できるとの付加価値をアピール。つまりは高値の国産米だけでなく、カルローズ米などの輸入米、はたまた同じく高止まりする卵など他の食料品にも使えるというのだ。
「おこめ券」裏面に記された“注意書き”
ならば「おこめ券」ではなくとも良いようにも思えるのだが、JA全農が臨時発行する「期限付きおこめ券」の見本には、裏面の【お客様へ】との注意書きにはこんな一文が記されている。
【本件はご利用店で、お米、その他ご利用店が認めた商品をご購入の際に、額面の金額(440円)として代金のお支払いにご利用いただけます。なお、ご購入できる商品についてはご利用店で確認ください。】
つまり「おこめ券」でコメ以外の食料品を購入できるかどうかは、各販売店の裁量と判断に委ねた“丸投げ”であることが伺える。仮に消費者がコメ以外の商品を手にとっても断られる可能性もあり、その際の理由説明、クレームを受けるのも販売店ということだ。
「おこめ券」発行に費やす4000億円ともされる原資は、もとは消費者、国民の税金である。その4000億円を本当に「おこめ券」に変える必要はあったのだろうか。
