鉄鍋のジャン!(公式サイトより)

 12月15日、原作者・西条真二による伝説の料理漫画『鉄鍋のジャン!』のTVアニメ化が発表された。2026年に放送されることが決定し、『Fate/Zero』『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』などで知られるあおきえい監督がメガホンを取り、アニメーション制作はTROYCAが担当する。

『鉄鍋のジャン!』ファンが沸く

鉄鍋のジャン!(超ティザーPVより)

「『鉄鍋のジャン!』は1995年から2000年まで『週刊少年チャンピオン』で連載されたていました。連載開始から30年を経ての初アニメ化という事実に、「ジャンファン大歓喜案件きたな」「このご注意だけでスタッフのやる気が伺える」と、SNS上では驚きと歓喜の声が溢れています」(アニメ誌編集者)

 ユーザーが期待する裏には、YouTubeで公開された超ティザーPVの最後に表示された「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。原作発表当時の世相・描写を尊重し過激な表現が含まれる場合があります」という“注意文言”だろう。

 本作は、料理バトルを描いたマンガ。「料理は勝負」と何でもありの主人公・秋山醬(ジャン)。ヒロイン・五番町キリコら様々な料理人との交流と戦いを描く。

 注意文言の背景としてあるのは、料理漫画の主人公でありながら極悪非道な性格を持つ秋山醬(ジャン)の存在だ。「料理は勝負」を信条とし、勝つためなら手段を選ばない。相手の調理器具を壊す、審査員にマジックマッシュルームのスープで幻惑させる、スプリンクラーを作動させて相手の料理を水浸しにするなど、他の料理漫画だったら間違いなく悪役になっているほどに極悪非道な性格。

 監督を務めるあおきえいさんは「なんでアニメ化されなかったのだろう?」と評した上で「連載から30年、時代が追いついた」とコメントしている。

「あの時代でも完全アウト」な表現

「令和の厳しいコンプラの状況で『あの時代でも完全アウト』と評される本作のアニメ化決定の知らせにファンも驚いているようです。単なるリバイバルブームではなく、この作品が持つ普遍的な面白さと、今の時代だからこそ受け入れられる過激さのバランスが、ようやく実現可能になったということではないでしょうか」(コミック編集部ライター)

 ファンの間で最も気になっているのが、原作の過激な描写がどこまでアニメで再現されるかという点だ。鳩の首を切って血を集める「鳩の血のデザート」、犬肉を使った「中華陰陽鍋」、審査員を幻覚状態にするキノコ料理など、現代の放送基準では難しいと思われるシーンも多い。

 あおき監督は「作品を面白くする大事な要素なわけですから、そこは頑張りたいですよね。実際の放送時にどうなるかは僕もまだわからないんですけど、とにかく現場としては最善を尽くす姿勢で取り組んでいます」と映像表現に前向きな考えのようだ。

 連載から30年を経て、ようやく実現した初のアニメ化。『食戟のソーマ』で料理バトルに触れた若い世代と、リアルタイムで連載を追っていた世代、そして料理漫画ファン全体を巻き込む大きなムーブメントとなりそうだ─―。