12月10日、大阪府議会で自民党の占部走馬府議が追及した維新の議員による「国保逃れ疑惑」が、SNS上で物議を醸している──。
「身を切る改革」の維新が国保逃れ
看板に泥を塗りかねない重大な疑惑が浮上し、大阪府議会が紛糾している。 焦点となっているのは、国民健康保険(国保)の保険料負担を逃れるために、実体のない一般社団法人の「理事」となり、社会保険(社保)へ切り替えるという、いわゆる「国保逃れスキーム」への関与疑惑だ。
12月10日、府議会本会議において、この問題が取り上げられ、維新の議員の関係者が運営に関わっている疑惑が明らかになると、「これが『身を切る改革』の正体か?」「政治家が違法じゃなければ何でもやっていいのか」Xを中心に批判の嵐が巻き起こった。
「占部府議が提示した資料によると、問題の一般社団法人の代表理事は、維新の国会議員の元公設秘書で、2023年の兵庫県議選に維新公認で出馬した人物とされています。法人登記簿には約660人の理事が名を連ねており、その中に維新の地方議員と同姓同名の人物が複数いたことを明らかにしました」(大阪府議会関係者)
この疑惑は16日、国会にも飛び火。参院総務委員会で国民民主党の足立康史議員が取り上げ、問題の社団法人は京都府の「栄響連盟」だと明らかにした。続けて足立議員は「維新の政治家が自分たちの保険料を下げるためのスキームを開発したのでは」と問題視。
グレーゾーンのスキーム
「形式上、一般社団法人の理事数に法的な上限はなく、報酬額の設定も法人の裁量に任されているため、直ちに違法と断定することは難しいグレーゾーンのスキームです。しかし、660人もの理事が実質的な経営参画をしているとは到底考えられません。
彼らが安く済ませた保険料の不足分は、税金や他の加入者の保険料で補填されています。公的な立場にある政治家やその関係者が、社会保障の財源を荒らすような仕組みを主導、あるいは看過していたとすれば、政治的・道義的責任は重いのではないでしょうか」(政治部記者)
追及を受けた吉村代表は17日、調査の結果、栄響連盟の理事に維新所属の兵庫県の地方議員4人が名を連ねていることを認め、理事としての勤務実態があったかどうかなどを調査する方針を示した。
維新はこれまで、議員定数の削減や報酬カットなど、厳しい姿勢を示すことで支持を拡大してきたが、「もう維新は今後、政治とカネの問題に触れられなくなった」と失望の声があがっているほどだ。
「身を切る」はずの刀が、いつの間にか国民の負担を切り捨て、身内の利益を守るために使われていたのではないか。徹底的な真相究明と説明責任が果たされない限り、広がった政治不信の炎が消えることはないだろう─。
