隣に他の客が座らないよう、2 席分以上を予約して乗車直前にキャンセルする『相席ブロック』なる行為が、高速バス業界で問題になっている。そんな中、1 人で2 席を利用できるサービスを導入する会社も登場している。
「相席ブロック」対策のサービスではないものの評判は上々
本社を東京都府中市に置く京王電鉄バスでは、今年10 月16 日から高速バス『新宿・渋⾕〜仙台・⽯巻線』の京王バス運行便(バスタ新宿6時40分発仙台駅前ゆき昼行便 および 仙台駅前発23時59分発 新宿・渋⾕ゆき夜行便)において、『2 席ひとりじめシート』を席数限定で販売。東京と仙台を結ぶ高速バスでは、同社のみのサービスとなっている。
そこで販売した経緯や反響について、同社に話を聞いた。
「新宿仙台線で使用する車両をこれまでは3 列シート(2+1 列)車両としてきましたが、4 列シート(2+2)車両に変更することになり、これまでより快適な座席サービスを提供したいと考えていたところ、東京と仙台を結ぶ他の高速バスで展開していないサービスとして、座席2 席をひとり占めしゆったりお過ごしいただけるよう、『2 席ひとりじめシート』の導入を決めました。相席ブロックを問題とした対応ではございません」(担当者、以下同)
仙台発夜行便では、同サービスの利用者限定で、オリジナルのアメニティグッズ(限定ロゴ入りネックピロー、アイマスク、腰当てなど)も提供される。販売開始から1か月以上経ったが、評判は上々だという。
「新宿〜仙台間の高速バスでは同様のサービスを提供している事業者さまが見当たらないこと、特に仙台23 時59 分発新宿行きの夜行便では専用アメニティの導入も相まって、想定以上にご利用いただいております。また、複数のWEB メディアや新聞媒体でも取り上げていただき、注目度も高いと感じております。多くのお客さまのご利用をお待ちしております」
年末年始を含めた繁忙期を含め、通年で販売しているという。また他路線でも類似サービスを行っている。
「新宿と⻑野県の伊那飯田地域を結ぶ路線および、新宿と名古屋を結ぶ路線で2 座席を1名でご利用いただける『ひとりだけシート』というサービスを展開しています。こちらではアメニティグッズ等の提供はございません。他路線への導入については、ご利用されるお客様の動向を見極めたうえで、より良い座席サービスを提供する観点から、引き続き検討してまいります」
相席ブロック防止を目的に導入したサービスではないため、同社では同行為の影響については把握していないという。
年末年始のみならず、多客期に多くの乗客が乗り合わせることもある高速バス。利用を考えている人は迷惑のかかる行為をせず、バス会社が提供する快適に過ごせるサービスを利用してみてはいかがだろうか。
