12月15日に、東京・上野動物園はジャイアントパンダのシャオシャオとレイレイを、2026年1月25日の最終観覧日をもって返還することを発表。発表の2日後はひと目見ようという人たちで、4時間半待ちにもなる行列ができた。
レンタル料は年間約1億円
日中国交正常化を記念して1972年10月28日にランランとカンカンが上野動物園に来てから、53年の月日が流れ、約半世紀ぶりに日本のパンダがゼロになる。次に日本にパンダが来るのはいつになるのだろうか。
「来年のAPECがチャンスになる可能性が高いのではないのでしょうか。2026年11月18〜19日に中国の広東省で開催されます。日中で話し合って関係がよくなったら、パンダの貸与もあり得ると思います。落としどころを探して、お互いが歩み寄らなければならないと思っています」
と話すのは中国事情に詳しいジャーナリストの周来友さん。
「パンダのレンタル料は年間約1億円で、ネット上では『もうパンダはいらないんじゃないか』という声もありますが、その経済効果はすさまじく、レンタル料の30倍以上をもたらすともいわれています。
なので、レンタル料が高くても、赤字にはならないんですよ。日本人はパンダが大好きですし、パンダは日中友好の証しでもありますが、経済効果は代え難いものがあります」（周さん、以下同）
東京都は引き続き新たなパンダの飼育を中国に希望し、茨城県も日立市にパンダを誘致しようと大井川和彦知事が積極的に動いているが……。
「茨城はないと思いますね。まずは上野動物園で、運がよければ和歌山県のアドベンチャーワールドではないでしょうか。ベストはどちらにもパンダが来ること。仙台もパンダを誘致しようとしていますが、いくら欲しいと言っても、飼育にはノウハウが必要ですから、やはり経験のあるところに来ると思います」
2023年にはアメリカでもパンダがいなくなる一歩手前になったが、中国の習近平国家主席の意向によりサンディエゴへ2頭、ワシントンへ2頭が翌年、新たに貸与された。アメリカがパンダ不在を回避できたのはなぜ?
「アメリカと中国の関係は悪くなく、トランプ大統領は中国にとって意外と手強くないんです。トランプ氏は商売人ですから、中国ともうまくやろうとして、あまり日本の味方はしない。だから、中国は日本に強気に出ているんです。日中関係が悪化しても、アメリカの顔色をうかがう必要がないので、日本はパンダを切られたのでしょう」
高市早苗首相の台湾有事発言で緊張が高まる日中関係。日本でのパンダ復活は、首相の肩にかかっているかもしれない。