石川さゆり

 NHKが12月19日、『第76回NHK紅白歌合戦』の曲目を発表。石川さゆりが『天城越え』を披露することがわかり、改めて話題を呼んでいる。

見事な“ローテーション”

 というのも、ここ最近の紅白での石川さゆりは『天城越え』と『津軽海峡・冬景色』を交互に歌っているからだ。データを紐解くと、興味深い変化が浮き彫りになったという。

「さゆりさんは1977年、その年の元日にリリースされたばかりの『津軽海峡・冬景色』で紅白初出場。その後、1980年代から2000年代初頭にかけて、1986年7月にリリースした『天城越え』をはじめ、『火の国へ』『飢餓海峡』『北の女房』『風の盆恋歌』など、バリエーション豊かな楽曲を『紅白』で披露してきました」(音楽ライター、以下同)

 だが、それは2007年を境に劇的に変わる。以降昨年までなんと17年間、『津軽海峡・冬景色』と『天城越え』という2曲を交互に繰り返してきたのだ。

「さゆりさんは1984年を除き、デビュー以来52年間、毎年必ず1枚以上の新曲をリリースし続けています。実は今年も3月に両A面シングル『弥栄(イヤサカ)ヤッサイ/棉の花』をリリースしています。つまり、新しい楽曲を作り続けながら、紅白では『天城越え』と『津軽海峡・冬景色』という2曲を、見事と言っていい“ローテーション”で披露しているのです」

 ネットではこの“無限ループ”に対して、《いい歌なんだけど、ここまで続くとありがたみが薄れるね》とマンネリを嘆く声の一方、《石川さゆりは紅白の“暦”そのものなんだよな。今年も安心して年を越せる》といった意見も上がった。

 これについて芸能プロ関係者もこう語る。

「さゆりさんは今回で48回の『紅白』出場歴を誇ります。これは紅組の歴代最多出場記録であり、紅白全体でも森進一さんに並ぶ歴代3位タイの出場回数。“石川さゆり”は『紅白』そのものと言っても過言ではないでしょう」

 もはやマンネリを超越している、ということか。ちなみに昨年の2024年末の第75回大会では、石川さゆりの歌唱曲に近年唯一の“例外”があった。

「元日の地震、9月の豪雨と甚大な被害に見舞われた能登地方への思いから、さゆりさんが選んだのは、1977年に発売された『能登半島』でした。同曲の発売以来、能登との縁を深めていたさゆりさん。地震後も現地を訪れ被災者の声に耳を傾けてきた彼女は、長年続けてきた『天城越え』『津軽海峡・冬景色』のローテーションをあえて崩し、21年ぶりに『紅白』の舞台で『能登半島』を歌い、エールを送ったのです

 歌い終えたとき、「皆さん元気でいてください!」と力強く語りかけ、両こぶしを強く握っていたのが印象的だった。

 今年はいつものループに戻りながらも、「今の自分に何ができるか」を問い続けているのだろう。