戦国ロマン三都巡りの旅見どころガイド

 大河ドラマ『豊臣兄弟!』で脚光を浴びるのが、天下人・秀吉を陰で支え続けた名参謀・秀長の存在。兄と弟が歩んだ土地には、ふたりの絆や決断を刻んだ史跡と風景が、今も確かに残っている。

 出生地として伝わる名古屋、大和支配の要となった大和郡山、そして若き秀吉が初めて城主となり飛躍のきっかけをつかんだ長浜――。

 大河の熱気そのままに、戦国の空気と兄弟の“生きた証し”に触れる旅へ出かけよう。

豊臣政権を動かしたもう一人の男・秀長

おすすめは郡山城ですね。旧都・奈良が望めます。奈良でなく郡山を大和の中心に据えようとした秀長の感情が感じられます

 そう語ってくれたのは大河ドラマ『豊臣兄弟!』でも時代考証を担当している駿河台大学教授、黒田基樹先生。

 奈良県にある郡山城は、豊臣秀長の居城。秀長が城下町の整備と併せ、約80万石の居城にふさわしい大改修を行っている場所だ。そもそも、秀長の魅力とはどんなところなのだろうか。

まさに秀吉の天下一統の実現を、軍事・外交、政権内部の調停など重要な側面で、支えたところでしょう。“穏やかで思いやりがあった”という性格を武器に、外様(とざま)大大名や政権中枢の秀吉直臣をまとめていました

 ドラマでは秀吉と秀長の兄弟が描かれる。どんな関係性だったのだろうか。

「秀長は、専制君主である秀吉の命令を、堅実に実現する存在でした。秀長といえども勝手な判断は許されていないなか、秀吉の要求に見事に応え続けました」

 先生が思うドラマの見どころは?

秀吉・秀長の行動に、近年の研究成果がどのように反映されているのか、注目してほしいですね

 これまで秀長は“温厚な弟”というイメージで済まされがちだったが、昨今では秀長がいなければ秀吉の飛躍も豊臣政権の安定もなかったといわれるほど政権運営の中核を担っていたと評価されている。

 まじめで実直という秀長像は、ゆかりの地からもきっと感じられるはず!

愛知県・名古屋

 秀吉・秀長「出生の地」と伝わるまち

中村公園

 秀吉と秀長の出生地として伝わるのが、名古屋市中村区にある中村公園一帯。資料によって細部は異なるものの、この地域が兄弟のゆかりの地として長く語り継がれてきた。

 園内には豊國神社があり、出世や開運を願う参拝客が多く訪れる。境内の展示や関連行事は、大河放送に合わせて盛り上がりを見せそう。散策の後は、名古屋城近くの金シャチ横丁で名古屋めしを楽しむのもおすすめ!

中村公園

 中村公園にある日吉丸となかまたちの像。日吉丸は豊臣秀吉の幼名。公園を中心として秀吉ゆかりの史跡が数多く点在している。

豊國神社

 豊臣秀吉公を祀る神社。江戸時代が終わり明治の代となり、明治18年に現在の地に地元住民の強い希望で創設。出世開運のパワースポット!

豊國神社

金シャチ横丁

 名古屋城二の丸・三の丸エリアにて厳選された地元グルメ・名古屋めしを提供する食のエンターテインメント施設。地元グルメを堪能したい。

奈良県・大和郡山

 大和支配の拠点となった城下町

郡山城跡

 豊臣秀長が大和支配の拠点にしたとされるのが大和郡山市。郡山城を中心に、秀長の入城後、城と城下町が整えられたことが記録からうかがえる。石垣の復元も進み、現在も往時の姿をしのばせる。

 城跡近くには秀長の墓所とされる大納言塚があり、春岳院には菩提寺として秀長の墓所と伝わる場所があり、ゆかりの資料も伝わる。金魚の町として知られる大和郡山は、町家カフェや散策スポットも多く、歴史と街歩きを同時に楽しめる穏やかな町だ。

郡山城跡

 豊臣政権の中初期には秀長の居城となり、その領国であった大和・紀伊・和泉約80万石の中心だった。天正19年(1591年)に郡山城内で秀長は52歳の若さで病死した。

大納言塚

 大和郡山市箕山町にある豊臣秀長の墓所。五輪塔は高さ2メートルで、地輪の表面には戒名が刻まれている。

金魚の養殖池

 かつてのため池の多さやミジンコなどの餌が適していた地理的条件から発展し、現在も全国一の生産量を誇る。独特な風景が風情を感じさせる。

箱本館「紺屋」

 江戸時代から続いた藍染め商の町家を改修した施設。和風の落ち着いた空間で、歴史を感じながら金魚や藍の展示や体験を楽しめる。

箱本館「紺屋」

滋賀県・長浜

 初めて本格的な城持ち大名となった地

長浜城歴史博物館

 滋賀県長浜市は、若い秀吉が城主となり、城下町づくりに関わったとされる地域だ。現在の長浜城は復元天守だが、館内では当時の政治や人間関係がわかる展示が充実している。

 長浜市石田町には、石田三成の出生地と伝わる場所があり、像や記念碑も整備されている。中心街からはやや距離があるものの、三成ゆかりの地巡りを楽しむ人も多い。黒壁スクエアの街歩きと合わせれば、一日中楽しめるコースになる。

石田三成出生伝承地

 三成の出生地と伝わる長浜市石田町には、生誕地碑や石田会館があり、若き三成の原点に触れられるスポットとして人気だ。

石田三成出生伝承地

黒壁スクエア周辺

 黒壁スクエアは、古い銀行建築や商家を改装したガラス工芸館や土産物店が並ぶ、レトロで風情ある観光エリア。焼き鯖そうめんは行列のできる“ソウルフード”。

長浜城歴史博物館

 琵琶湖畔の豊公園内に立つ博物館。秀吉が初めて築いた“出世城”・長浜城の歴史をわかりやすく紹介している。

黒田基樹先生の新刊『羽柴秀長とその家臣たち秀吉兄弟の天下一統を支えた18人』(角川選書)※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

写真提供/(公財)名古屋観光コンベンションビューロー、(一社)大和郡山市観光協会、北近江豊臣博覧会実行委員会事務局