年の始まりの熱き戦い、第102回箱根駅伝('26年1月2日、3日)。“箱根を走った唯一の俳優”である和田正人に今大会の見どころを聞いた。
4強は選手層の厚さが群を抜いている
'25年の出雲駅伝(10月13日。以下、出雲)と全日本大学駅伝(11月2日。以下、全日本)は、トップ3がすべて異なる大混戦。
「今回の箱根の注目は“4強争い”だと思います。青山学院大、駒澤大、國學院大、中央大の4校。早稲田大や創価大を入れて5強、6強とする見方もありますが、4強は選手層の厚さが群を抜いています」
3連覇を狙うのは青山学院大。例年どおり、箱根に合わせて状態を上げてきているという。
「出雲7位、全日本3位と優勝争いに絡めませんでしたが、箱根に対するピーキングは抜群です。“花の2区”は絶対的エースの黒田朝日選手(4年)で間違いないと思います。前回、彼は2区の“最適解”の走りをしたんですよね。
難所の権太坂や戸塚の壁を完全攻略しましたから。個人的には5区を走る姿を見てみたいですね。登りが強いので、不滅の区間新記録を出す可能性も十分にあります。あと、有望株の折田壮太選手(2年)の復調もかなり頼もしいです」
全日本を制した駒澤大は3年ぶりの王座奪還へ向け、戦力が充実している。
「故障明けだったエースの佐藤圭汰選手(4年)が全日本で復活の走りを見せていたので、箱根での活躍が非常に楽しみです。全日本でMVPに輝いた伊藤蒼唯選手(4年)は6区を2度経験した山下りのスペシャリスト。好記録も期待できます。
さらに、キーマンとなるのが桑田駿介選手(2年)。大舞台で実力を発揮できれば、とても心強いです」
出雲で2連覇を達成した國學院大は、悲願の初優勝に届くか?
「勢いのあるチームなので、全日本で4位に沈んだのは意外でしたね。ただ、一度失敗を経験することでチーム内に危機感が生まれ、結束力が強くなります。
上原琉翔選手(4年)や青木瑠郁選手(4年)ら上級生は経験も豊富。唯一の懸念は山区間(5区、6区)の選手が育成できているかどうかですね。両区を区間5位以内でつなげられたら優勝の可能性も十分あります」
中央大は1万メートルで上位10人の平均記録が、出場校中トップ。スピードランナーがそろう。
4強以外で有力なチームは
「吉居駿恭選手(4年)と溜池一太選手(4年)の2枚看板を筆頭に、選手層は近年になく厚い。出雲は10位と惨敗しましたが、箱根にピークを合わせるためと考えれば、むしろ期待値が上がります。全日本での2位が、調整がうまくいっている証拠です。
岡田開成選手(2年)が1区、溜池選手が2区、吉居選手が3区なら、往路優勝も間違いないと思います」
では、4強の中でも優勝しそうな大学はどこか訊ねると、和田はしばし熟考。
「こんなに優勝争いが読めない大会もないですね……。それでも挙げるなら“期待を込めて”中央大。そして國學院大。
中央大は4年生が強いので、“今回は必ず優勝する”という気概をどこよりも感じます。國學院大は選手層の厚さが強みです。もちろん、青山学院大も駒澤大もトップ争いに必ず絡んでくると思います。ただ、そろそろこの2校を倒すチームを見てみたいですね」
4強以外で有力なチームは?
「早稲田大ですね。エースの山口智規選手(4年)、“山の名探偵”工藤慎作選手(3年)を筆頭に充実した戦力がそろっています。全日本6位の帝京大も“日本一諦めの悪いチーム”として、4強崩しに期待したくなります」
次回大会を走れる“シード権”を巡る争いも熾烈だという。
「4強+早稲田大、創価大、帝京大は堅いと思いますが、あとはどの大学がシード権を取っても失っても、不思議じゃないと思います。予選会トップ通過の中央学院大や全日本8位の順天堂大などの活躍も、大いに期待したいです。母校・日本大も着実に力をつけているので、シード権争いに期待しています」
監督の区間配置やゲームチェンジャーの存在で、一気に流れが変わる箱根駅伝。東京・大手町のゴールの瞬間まで、目が離せない展開であってほしい。
箱根駅伝注目の選手は
青山学院大4年 黒田朝日選
地球社会共生学部。学生長距離界を代表するランナー。箱根は2区で2年時に区間賞、3年時に区間新で3位。今季は出雲も全日本も区間賞と絶好調。トレードマークは黒のヘッドバンド。卒業後はGMOインターネットグループへ。岡山県出身
駒澤大4年 伊藤蒼唯選手
法学部。全日本では5区で区間新記録、ゲームチェンジャーとして優勝の立役者となった。箱根は6区で1年時に区間賞、3年時に2位と、山下りに絶対の自信を持つ。卒業後は富士通で競技継続。島根県出身
國學院大4年 上原琉翔選手
人間開発学部。主将としてチームを牽引。出雲はアンカーで優勝のゴールテープを切った。箱根は1年時7区、2年時5区、3年時9区。チームスローガン“はばちかす”は沖縄の方言で“名声を高める”という意味。沖縄県出身
中央大4年 吉居駿恭選手
法学部。前回の箱根1区で独走して区間賞を獲得。1年時は4区5位だったが、2年時は7区1位。3年連続の区間賞がかかる。兄はトヨタ自動車所属の吉居大和選手で、イケメン兄弟として人気。愛知県出身
早稲田大3年 工藤慎作選手
スポーツ科学部。前回は5区で2位と好走、往路ゴールで“コナンポーズ”を決めて話題に。名前のイメージ&メガネ姿から“山の名探偵”と呼ばれる。今夏の学生世界一を決める大会でハーフマラソン金メダル。千葉県出身
取材・文/荒井早苗
和田正人……俳優。日本大学時代に箱根9区を2度走った経験がある。今回もNHKラジオ『箱根駅伝』のゲスト解説を担当予定
