今年もさまざまな映画作品がスクリーンを彩り、観客を楽しませてくれた。アニメ映画では『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が興行収入400億円に迫る大ヒットを記録し、『名探偵コナン 隻眼の残像』は安定した人気を見せた。シリーズ初の劇場版『チェンソーマン レゼ篇』も大好評で、各アニメ作品の人気ぶりがうかがえる。
実写では『劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室 南海ミッション』や『グランメゾン・パリ』がヒットを飛ばし、ドラマシリーズから楽しみにしていた人も多かっただろう。大きな盛り上がりを見せた日本映画だが、その中でも残念ながら観客の心をつかみきれなかった作品もあるようだ。そこで、全国の男女500人を対象に「2025年公開“ガッカリした邦画”」についてアンケートを取った。
『鬼滅の刃』人気のはずが…
多くの作品に票が分かれる結果となり、第5位は4作品が横並びに。妻夫木聡が主演、戦後の沖縄が舞台の『宝島』には、「盛り上がりに欠けた」(東京都・53歳女性)「然もありなんな内容」(東京都・56歳男性)など、そのストーリーに辛辣な意見が。松重豊が主演する、ドラマは大人気の『劇場版 孤独のグルメ』にも「海外はいらない」(東京都・45歳男性)「ドラマは良かったが、映画だと間延びしているように感じた」(北海道・43歳女性)「ストーリーがマンネリ」(宮城県・56歳男性)など、手厳しい声が並んだ。
また、ストーリー以外の点にツッコミが入った作品も。竹野内豊、玉木宏など豪華キャストが参加した戦艦の物語『雪風 YUKIKAZE』は、「演出が陳腐すぎる。VFXが残念であり、結末が蛇足であり、要らなかった」(佐賀県・63歳男性)「CGが雑すぎる」(鹿児島県・60歳女性)など、映像技術に酷評が。さらに、田中圭との不倫疑惑が報じられた主演・永野芽郁によって思わぬ注目を浴びた『かくかくしかじか』については、「キャストがハマっていない」(群馬県・46歳男性)「出演者がミスマッチだった」(福岡県・58歳男性)「主演に色々ありすぎて作品が入ってこない」(東京都・50歳女性)など、不運にもスキャンダルの余波が大きかった様子が見てとれた。
第4位となったのは、興行収入面では大成功を収めているはずの『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』。
「暗すぎて面白くない」(佐賀県・79歳男性)「マンネリ」(兵庫県・70歳男性)「鬼になった妹を人間に戻す少年のストーリーがよくわからない」(東京都・83歳男性)「テンポが悪かった」(茨城県・49歳男性)「騒いでる割に何の話か見えてこない」(東京都・61歳男性)など、子どもたちには大人気でも、保護者世代は振り回されてウンザリ?
話題の“細田作品”も
第3位には『8番出口』がランクイン。
世界的大ヒットゲームを二宮和也主演で実写化した『8番出口』。無限ループする地下通路で異変を見つけて脱出を試みるという独特の世界観が話題となり、興行収入50億円超えのヒットとなっている。しかし、ストーリー自体に「意味がわからない」という厳しい意見が多く寄せられた。同じ画面が繰り返される面白さが、見る人によっては退屈に感じたようだ。
心理的なホラー要素もあり、「怖すぎた」と嫌悪感を示す人も。また、原作ゲームの評判や映画の口コミにくらべて期待はずれだったという声もあがっている。
「地上に出るために歩き続けるストーリーの意味が良くわからない」(愛知県・77歳男性)「同じ画面だけが続く」(静岡県・75歳男性)「見る前の期待が大きすぎた」(愛知県・59歳女性)
第2位は『果てしなきスカーレット』だ。
『サマーウォーズ』などを手がけた細田守監督の最新作で、芦田愛菜が主人公・中世の王女スカーレットを熱演。そのほか、岡田将生や役所広司、市村正親など豪華声優も話題となったが、公開直後から観客動員数は厳しい状況が続いている。
アンケートでは「展開が急なのと、なぜ?と思う点が多かった」と、ストーリーの唐突さに戸惑う声が。美しい映像と音楽で引き込まれても、ストーリーに納得できないと観客は取り残されてしまうのだろう。
これまで数々の大ヒットを生んだ細田作品ということもあり期待値が高かった人が多く、そのギャップにガッカリしたという声も目立った。
「これほどストーリーや設定が破綻しているとは思わなかった。登場人物の行動理由がまるでわからない」(千葉県・56歳女性)「映像美やCG技術が高いがシナリオがいまいちで内容が理解しにくい」(滋賀県・81歳男性)「今までの細田作品を期待していたら、ちょっと路線の違うものが出てきたので」(新潟県・47歳男性)
『国宝』高すぎる前評判が裏目に
第1位は意外にも実写映画NO.1となった『国宝』。
実写日本映画の歴代興行収入記録を22年ぶりに更新する快挙を成し遂げた同作。「国宝(観た)」が今年の「新語・流行語大賞」のトップテンに入賞するなど、まさに社会現象となっている。
何かと話題のこの映画が「ガッカリした」ランキングでもトップとなってしまったが、アンケートでは「長すぎる」という声が圧倒的に目立った。2時間55分の上映時間に対してトイレのタイミングを不安に思う観客も多く、SNSでトイレ対策が話題にのぼったことも。また、長すぎて「集中力が続かない」という嘆きも聞かれた。
さらに世間の前評判があまりにも高かっただけに「期待ほどではなかった」という声が多く寄せられたのは、大ヒット作ならではの宿命だろう。
「長くて疲れた。あまりおもしろくない」(大阪府・46歳女性)「ものすごく話題になっていた割には…という感じ」(富山県・48歳男性)「話題の割には奥深さが足りないような感じがしました」(千葉県・63歳男性)
アニメに実写にヒット作や話題作が多く、華やかだった今年の邦画作品たち。アンケートでも多くの作品に票が割れる結果となった。来年はどんな作品が私たちを楽しませてくれるのだろう。
全国の男女500人を対象に実施した「2025年公開“ガッカリ邦画”」ランキング
1位:『国宝』 59票
2位:『果てしなきスカーレット』 22票
3位:『8番出口』 14票
4位:『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』7票
5位タイ:『宝島』『劇場版 孤独のグルメ』『かくかくしかじか』『雪風 YUKIKAZE』6票
※インターネットアンケートサイト「Freeasy」にて12月中旬、全国の男女500人を対象に実施
