清宮幸太郎が投稿した村上宗隆との2ショット(公式インスタグラムより)

 12月22日(現地時間21日)、シカゴ・ホワイトソックスとの契約合意が伝えられた東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手(25)。本人も公言していた「夢だった舞台」への“一番乗り”を果たした。

《村上!がんばれ!おれもがんばるぜ!》

 同日に自身のインスタグラムでエールを送ったのは、北海道日本ハムファイターズの清宮幸太郎選手(26)。投稿したのは、早稲田実業のユニフォームを着た清宮と、控えめなピースサインでポーズをとる九州学院高校時代であろう村上とのツーショット

 ともに高校時代から屈指の強打者として知られた“同級生”の記念写真だが、注目度では清宮が数段も上だった。2012年に開催されたリトルリーグ政界選手権で一足早く“アメリカデビュー”すると、4番投手として世界一なったことで現地メディアからも「和製ベーブ・ルース」と称された。

 2015年に鳴物入りで進学した名門・早稲田実業でも1年生でレギュラーになると、夏の甲子園大会に出場して2本塁打を記録。早くも「ドラフト1位候補」としてプロ球団のスカウトが目を光らせ、ファンも日本を代表する大打者への成長、メジャーリーガーとして活躍する姿を夢見たのだった。

清宮の“ハズレ1位”で指名された村上

 迎えた2017年のドラフト会議。主役とされたのが高校通算111本塁打の清宮、怪物スラッガーと称された履正社高校・安田尚憲選手(26)、そして夏の甲子園での清原和博氏(58)の記録を上回る6本塁打を放った広陵高校・中村奨成選手(26)ら「高校ビッグ3」

 ヤクルトを含む7球団が1位指名した清宮は抽選の結果、日ハムが交渉権を獲得。中村は中日ドラゴンズとの競合の末に広島東洋カープが、安田は清宮を外した千葉ロッテマリーンズが2回目の指名で獲得に至った。

 そして同じく“ハズレ1位”で、ヤクルトが交渉権を獲得したのが「捕手」村上。しかし、世間の注目はやはりプロ入り後も「高校ビッグ3」に注がれた。

清宮幸太郎が投稿した、高校時代の村上宗隆との2ショット(公式インスタグラムより)

 特にドラフト前には異例の面談、プロ志望会見を開いた清宮は、「(王貞治氏の本塁打記録を)目指さなければいけないという使命感がある」「夢はメジャーで活躍すること」との“ビッグマウス”が賛否となり、ルーキーイヤーから結果を求められることに。ところがーー、

「キャンプや自主トレで怪我をして出遅れるなど、毎年どこかを痛めてフルシーズンを戦えていない印象です。ホームラン30本を目標に掲げるも好不調の波が激しく、2022年の18本が最多で、初めて500打席以上を立った今シーズンも12本止まり。

 かつて王さんも“中距離打者”と評したように、今年は最多安打のタイトルまであと一歩でしたが、高い放物線を描くアーチはホームランバッターのソレ。周囲からの期待をわかっている本人が一番歯痒い」

 高校時代から“ビッグ3”を追うベテランスポーツライターは物足りなさそうだが、それでも契約更改では初の大台越えとなる1億3000万円(推定)でサインした清宮。王貞治氏を超えるのは難しいが、メジャーリーグへの挑戦はあきらめていないだろう。

2年連続でホームラン0本で終わった安田

 片や厳しい状況に置かれているのが、“東の清宮、西の安田”と名を馳せた千葉ロッテの安田だという。「将来の4番候補」として入団するも、2年目から4シーズン続けて100試合以上の出場を果たしながらも通算本塁打は33本。

 さらに2024年は55試合、2025年は93試合と出場試合を減らして、いずれも本塁打ゼロと、高校通算65本塁打の長打力は鳴りを顰める屈辱的なシーズンで終わった。

「安田もまた、打球を上げる素晴らしい技術を持っている一方で、“安田は中距離”と見做す指導者もいたためか、いまだ自分のバッティングスタイルを迷っているように見えます。来年には現役ドラフトやトレードといった“放出候補”にもなりかねません。

 今オフは、2シーズンぶりに柳田悠岐(37、福岡ソフトバンクホークス)の自主トレに参加すると聞きます。2023年には結婚もしているだけに、これ以上年俸(安田は推定4300万円で更改)を下げないよう結果が求められます」(前出・スポーツライター、以下同)

2022年に削除された中村奨成選手のインスタグラム。野村克也さんとのツーショットも

 そして「ビッグ3」最後の一角が、今年プロ入り後初の100試合出場を果たした中村だ。入団時は「打てる捕手」として期待されながらも一軍定着できずに燻り続けたが、6年目を迎えた今季は外野手としてレギュラー奪取。規定打席には届かなかったものの打率.282、本塁打も9本放った。

“素行”問題視された中村を変えた結婚

「2017年の夏の甲子園までは、かねてより強打の捕手として知られた村上を“ビッグ3”に数える向きもありましたが、清原越えの活躍で中村が取って代わった印象。ただプロ入り後、女性トラブルなどの野球以外のプライベートが話題になることも」

 2023年のオフには年俸750万円(推定)の契約更改とともに、背番号も「22」から「96」に“ダウン”。2024年には心機一転して外野手一本に絞り、「プロで生き残れるように」と護摩行にも参加して精神面を鍛えた。そして2025年、ついにブレイクの兆し。

シーズン終了後に明かされたのが、春頃に年上の一般女性と結婚していたこと。“食事や生活面を支えてくれた”という姉さん女房のサポートが選手として、いち社会人として、人間としての成長につながったのは間違いない。

 契約更改では3000万円の昇給もあり、ようやく“プロ野球選手としてのスタート地点”に立ちました。村上や清宮、安田とはタイプが違う“走攻守”を備えた選手だけに、努力次第では一番長くプロを続けられる選手かもしれません」

 ホワイトソックスとの契約は2年ながら53億円で、メジャーで実力を証明できればさらなる大型契約も見込める村上。そんな“出世頭”の同級生に負けじと、「ビッグ3」もまずはプロ野球でしっかり稼ぎ、いつかは村上と夢の舞台で再会してほしい。