オリックス・山岡泰輔投手(左、公式インスタグラムより)

 2025年に大きな社会問題となった“オンラインカジノ”。プロ野球界も、その波に飲み込まれた。

「2025年2月21日、オリックスバファローズは所属する山岡泰輔(30)投手が海外のオンラインカジノを利用していたとして、活動自粛を命じたと発表しました。同17日に、山岡投手のオンラインカジノ利用に関する情報を得た日本プロ野球機構が球団に調査を依頼。オリックスは本人との面談を実施して、海外オンラインカジノのポーカー大会に参加していたことを把握しました。山岡投手はオンラインカジノの違法性について認識していなかったそうです」(スポーツ紙記者、以下同)

制裁金と司法の判断

関東一高時代のオコエ瑠偉(2015年)

 この一件を受けてNPBは、12球団に徹底調査を呼びかけることになり、過去に利用したことがあれば名乗り出るように求めた。その結果、2月27日にNPBの中村勝彦事務局長が、新たに7球団14人の利用が発覚したと発表したのだが……。

「オンラインカジノの利用を自己申告した選手や球団関係者の氏名は公表しませんでした。中村事務局長は“練習ができなくなったり、環境まで奪ってしまうのは本意ではない”と非公表の理由を説明しましたが、そのせいで“第1号”となった山岡投手だけが公表されて、活動自粛となったことに“不公平”という声がファンからはあがっていました」

 山岡は、3月13日から活動を再開。その後、新たに1人の利用が判明し、山岡を合わせて8球団16人に。自己申告した人たちには制裁金が科され、司法の判断も順次、下されることに。

「4月に山岡投手と福岡ソフトバンクホークスの関係者が書類送検されて、不起訴処分に。5月8日に読売ジャイアンツの増田大輝(32)選手と、当時所属していたオコエ瑠偉(28)選手が賭博の疑いで書類送検されたことが報じられました。6月19日には埼玉西武ライオンズの外崎修汰(33)選手、柘植世那(28)選手、長谷川信哉(23)選手、児玉亮涼(27)選手と男性職員1人が書類送検されたことが判明。全員、オンラインカジノの利用を自己申告しており、その後に不起訴処分となりました」(スポーツライター、以下同)

 一方で“不誠実”な対応をした関係者には違った処分が下されていた。

「5月19日、中日ドラゴンズは、当時2軍投手統括コーチだった小山伸一郎氏が過去にオンラインカジノで賭博行為をしていたとして、謹慎処分にしたことを発表しました。小山氏は自己申告せず、愛知県警からの任意の出頭要請で利用が明らかになったため、氏名の公表と謹慎処分となりました」

 7月には自己申告のあった別の中日関係者も書類送検。2人のうち1人は不起訴処分。もうひとりは略式起訴されて、罰金10万円の略式命令が下されたが、氏名は公表されず。小山氏が、どちらに該当するかは明らかになっていない。

野球選手や関係者は制裁金のみ

髙比良くるま・写真左(令和ロマン公式YouTubeより)

 芸能界ではお笑いコンビ『令和ロマン』の髙比良くるまらが活動自粛となったのに対して、野球選手や関係者は制裁金のみで出場停止などの処分がなかったことから、
《処分が甘すぎる》といった声も上がった。

 プロ野球選手やその関係者という影響力のある立場の人が、次々と手を出していたことが発覚したオンラインカジノ。再発防止策はどうなっているのか。報道などによって明らかになっている球団に、週刊女性PRIMEは今回、改めて確認の連絡をした。

 まず、オリックスは、

「オンラインカジノの違法性や現状を内容に盛り込んだ大阪府警による講習会を監督、コーチ、選手、スタッフ全員を対象として行っています。契約更改時、選手全員に対し書面と口頭にてオフ期間の注意事項として注意喚起を実施しております」とのことだった。

 ソフトバンクは、

「本件に限らず、日ごろよりコンプライアンスに関する研修や情報共有の機会を通じて、法令遵守の重要性や、違法行為が本人のみならず球団やプロ野球全体の信頼に重大な影響を及ぼすことについて、関係者の理解を深める取り組みを行っております。今後も、関係者一人ひとりが高い倫理観を持って行動できるよう、教育・啓発を継続してまいります」と回答した。

 巨人からは、「今回の件を受けて、再発防止策および所属選手、スタッフ等への啓発策を構築し、関係する当局に報告し、理解を得たうえで取り組んでいます」と返答。

 西武は、

「選手およびチーム関係者に対し、研修などを通じてオンラインカジノの違法性を含む法令順守の徹底について啓発を行っております。今後も継続的な啓発に取り組んでまいります」と、各球団とも研修などを通じて啓発活動を行っているようだった。

 では、NPBとしてはどのような対策を取っているのか。

「今シーズンの開幕前に注意喚起のポスターを制作し、12球団の本拠地球場のロッカー、クラブハウス、NPBのオフィスなどに掲示しました。2026年1月9日の『NPB新人選手研修会』でも啓発プログラムを盛り込む予定であり、これからも必要な取り組みを適宜進めてまいります」(NPB広報室)

 プロ野球選手は子どもたちに夢を与える職業でもある。二度と、このような騒動を起こしてほしくない。