高速バスのイメージ 撮影/編集部

 帰省や旅行の移動に便利な高速バス。一年でもっとも混雑が予想されるのがまさに年末年始であり、12月26日からピークを迎えるバス会社が多い。そんな高速バスの悪質な利用方法が問題視されている。

 話題となっているのは『相席ブロック』という行為。1人の乗客が、隣り合う2席分を予約したのちに、出発寸前になって1席をキャンセルすることで、隣に人が座ることを“ブロック”する迷惑行為を指す。

相席ブロック』バス会社の対応は

 実際に相席ブロックに遭遇した人からは、「隣の人はわたしの席を直前でキャンセルしたのだと思う。それを購入したわたしに対して終始不機嫌な態度で、嫌な思いをした」との声が。また、「普通ならどんな業界でも当日キャンセルは100パーセント支払いが当たり前。そうじゃないとバス会社に損害も生じるし、正しく利用している人にも迷惑すぎる」と、現行の制度について見直すべきとの意見も多く聞かれる。

「12月16日に読売テレビ系で放送された『情報ライブ ミヤネ屋』でも、この迷惑行為について議論が繰り広げられました。番組内で取り上げられたのは、JRバス関東での実例で2建てバスの1階部分の10席を予約し、直前に9席をキャンセルすることで1階を独占したというもの。こうした悪質な行為が後をたたない背景には、キャンセル料の多くが“110円”と安価なことが挙げられます」(全国紙社会部記者)

 司会の宮根誠司も「出発時刻まで110円って、ちょっと安すぎますよね。バス会社の方からしたら性善説に基づいていらっしゃる。こんなことが横行すると、路線がなくなりますよ」と怒りをあらわにした。

 また、コメンテーターの中央大法科大学院教授・野村修也氏は、わざと業務を妨害をすることで深刻なダメージを与え、何回も繰り返す場合には犯罪になる可能性もゼロではないと注意を促している。

京王バスの「2席ひとりじめシート」イメージ 写真提供/京王電鉄バス

「バス会社も各社、対策には乗り出しています。JRバス関東では、払い戻し手数料の引き上げを実施。西鉄では前日および当日のキャンセル料を運賃の50パーセントに設定しました。しかし、いくら直前のキャンセル料を値上げしたとしても、その前にキャンセルする行為を完全に無くすことは難しそうです」(前出・社会部記者)

 こうした迷惑行為に対して、「もう性善説的なサービスは成立しない世の中になったんだろうな」「このせいで予約が取れず予定を変えた人もいるはず。相席ブロックは許せない」「単純にバス業界の料金システムが時代遅れなだけな気がする。問題になる前に変えるべき」といった声が上がっている。

 一方、東京都府中市に置く京王電鉄バスではユニークな試みもおこなわれており、1人で2席を利用できるサービス『2席ひとりじめシート』を席数限定で販売。相席ブロック防止を目的に導入したサービスではないとのことだが、各種媒体に取り上げられて注目を集めているようだ。

 今後各社、もしくはバス業界全体としてどのような対策に乗り出すのか。快適に利用できるサービスとなることを期待したい。