新庄剛志監督

 パ・リーグ最多となる14勝を挙げ、福岡ソフトバンクホークスのリーグ制覇、日本一に大きく貢献した有原航平投手(33)。ホークスとの3年契約を終えてメジャー再挑戦の意向も伝えられたが、移籍先は6年ぶりの古巣だった。

 日米通算101勝の右腕が選んだのは北海道日本ハムファイターズ。まさかの移籍劇に、ネットでは《有原マジかよ、嘘だろ!?》とひっくり返る野球ファンも見受けられるが「マジ」だ。

 慰留するソフトバンクに覇権奪回を目指す読売ジャイアンツなど、複数球団が獲得に動いたとされる有原だが、パ・リーグ事情に詳しいスポーツライターは「決め手は栗山さんでしょう」と、日ハムで「CBO(チーフ・ベースボール・オフィサー)」を務める栗山英樹氏(64)の存在に注目する。

「2014年のドラフト1位で日ハムに入団した有原投手ですが、当時の監督を務めていたのが栗山さん。いわば“師弟”関係にあり、ポスティングでのメジャー挑戦を表明した際も“楽しみにしてる、頑張れ”と背中を押して応援してくれたと言います。

 メジャーからは2年で出戻り、ホークスと大型契約を結んだ有原投手ですが、当時は日ハムにも編成上の都合があったと聞きます。現在は栗山さんが実質上のトップだけに、恩師から熱いラブコールを受けたのでは」

栗山CBOに「助けてください」

 栗山CBOが呼び戻した“教え子”は有原だけではない。2021年オフに“ノンテンダー”として東北楽天ゴールデンイーグルスに移籍、2024年から東京ヤクルトスワローズでプレーしていた西川遥輝選手(33)も、5年ぶりの日ハム復帰が決まった。

「入団会見では自ら、二軍戦が行われた鎌ヶ谷で“助けてください”と栗山さんに頼んだことを明かしています。日ハム時代は“プライド”の高さで知られた西川選手ですが、なりふり構わぬ素直な思いを伝えられたのも栗山さんだからでしょう」(同・スポーツライター)

 そんな西川と有原は同学年。日ハム時代から公私に仲が良かった2人に、CBOとして、2016年以来のリーグ優勝に向けてチームを牽引してほしい狙いもあるのだろう。

阪神タイガース時代の新庄剛志(1999年オールスターゲーム)

 というのも一軍選手の平均年齢は20代半ばと、12球団の中でももっとも若い選手が揃う日ハム。経験豊富なベテランは若手の見本となり、経験不足を補ってくれそうだが、前出のスポーツライターは「新庄監督の心情はいかに」と懸念も抱く。

 2022年の就任当初から、ベテランから中堅、若手に関係なく実績よりも結果を重視する戦い方で、2024年、2025年と2年連続のパ・リーグ2位に導いた新庄剛志監督(53)。主な原動力となったのが積極的にスタメン起用した若手選手で、5年目となる2026年シーズンも“新庄チルドレン”と悲願のリーグ優勝を目指している。

若手が知らない“日ハムの先輩”

「そんな折にポンッとベテラン選手が2人も、しかも若手が知らない世代の“日ハムの先輩”が加入してくるわけですから、若手選手がベンチ内外で気を使ったり、萎縮しないかが心配されます。

 大変なのは新庄監督ですよ。栗山さんがニコニコ顔で迎えた教え子をむげにはできませんし、ドラフトを終えて想定していた一軍枠の変更も余儀なくされかねません。今頃は、メンバー登録や起用法で頭を抱えているかも

 ペナントレースを勝ち取るには「何かを変えないと優勝できない」と、2026年シーズンの方針変更も模索しているという新庄監督。有原と西川の加入に「マジかよ、嘘だろ!?」と一番驚いているのは指揮官かーー。