大相撲の伊勢ヶ浜部屋所属の力士8名が2026年1月場所から四股名を一斉に改名したことが明らかになり、相撲ファンの間で大きな波紋を呼んでいる。
伊勢ヶ浜部屋所属力士、改名の違和感
幕内の伯桜鵬(はくおうほう)が「伯乃富士(はくのふじ)」に、幕下の聖白鵬が「寿之富士(としのふじ)」、天照鵬は「三重ノ富士(みえのふじ)」松井は「嵐富士(あらしふじ)」になるなど、元横綱・白鵬ゆかりの「鵬」「白」「翔」の字が消え、現師匠の照ノ富士を継承した「富士」の字が加わった。これに長年の宮城野部屋ファンからは複雑な感情の声が─。
「そんなに白鵬のイメージをそがなきゃいかんのか」「個人的には残念です」「よっぽど嫌いなんだな…」など、違和感を訴えるファンが多い。
「基本的に四股名は本人の意向や師匠、恩師など関わりの深い人たちの想いをのせて付けられます。
ですが今回の改名は、白鵬の弟子たちから白鵬の“色”がなくなっただけでなく、三重県出身だから三重ノ富士というようにどこか安易に感じてしまう相撲ファンもいるようです。伯桜鵬は人気力士としてその名とともに成長し、定着しているだけに残念がる人もいますね」(スポーツ誌相撲担当記者)
2024年当時、宮城野部屋で弟子の暴力問題が発覚し、部屋は一時閉鎖処分となり宮城野親方の白鵬と弟子たちは伊勢ヶ濱部屋に“預かり”という形で転籍。
宮城野部屋の再興は時間の問題とみられていたが、2025年6月、白鵬は部屋再興の見通しが立たないことなどを理由に日本相撲協会を退職。同時期に伊勢ヶ濱親方(元横綱旭富士)が定年を迎え、元横綱照ノ富士が伊勢ヶ濱親方として部屋を継承した。
「照ノ富士が伊勢ヶ濱部屋の師匠になると、白鵬は照ノ富士の下につく部屋付き親方になる。2人はかねてから不仲説が取り沙汰されてきたため、白鵬がその上下関係に納得がいかず退職したという報道までされています。でも、照ノ富士は不仲説に関して“一切ない”と完全に否定しています」(同前)
伊勢ケ浜親方が語る改名の真意
24日、弟子の改名について取材に応じた伊勢ヶ濱親方は「預かった以上は自分の弟子。一人一人と話し合い、決めた」と、しっかり弟子たちの思いを汲み取り、“富士”を付けたことには「みんなで一つの方向を向いて頑張っていきたい思い」とコメント。
「“白鵬色”がなくなったことで悲観するファンも多い一方、“白鵬色排除”という意見に首を傾げる人もいる。実際、炎鵬(えんほう)だけは改名せず炎鵬のままですからね」(同前)
今回の改名で注目を集めているのが、旧宮城野部屋勢で唯一改名しなかった炎鵬の存在だ。炎鵬は白鵬の内弟子として2017年春場所で初土俵を踏んだ経緯があり、前師匠への思い入れがより一層強かった可能性もある。
「小兵の人気イケメン力士として、炎鵬は9年近く炎鵬として土俵に上がっているため定着しています。現在は幕下に番付を下げましたが来月の初場所の成績次第では十両復帰の可能性は大いにありますね。今回、炎鵬が改名しなかったことに関して伊勢ヶ濱親方は“本人の意思”をくんだと言っていますし、すべての力士に強引に“富士”をつけるという感じではないと思いますよ」(同前)
SNSでも「中堅キャリアで実績も人気もある炎鵬は、改名せず“鵬”を継続してくれてるのが光」などと期待を込めた声も多い。
力士たちにとって、四股名の変更は新たなスタートを意味する。かつての白鵬と照ノ富士、その狭間で揺れる力士たちの心情にファンは複雑な思いを抱きながらも、土俵上での活躍を期待している─。
