座り仕事で運動習慣はなし、お酒が大好きで気づくと「小太り」になっていたイラストレーターの上田惣子さんは“人生最後のダイエット”を決意。「父が糖尿病による脳梗塞に。自分もやせねばまずいぞと」。そこで始めたのがスマホを活用し、食事制限ほどほどのメソッド。詳しいやり方をじっくり聞きました。
下腹部がほぼ1メートルに!
正月気分も抜け、通常運転に戻りつつある今日このごろ。気になり出すのが、休み中の暴飲暴食で膨れたウエストやお尻まわり。
例えば入浴時、鏡に映ったわが身に、瞬時あせりは感じても、「小太りのほうが長生きするという説もある」と、現実から目をそらしていないだろうか。
「同じ“小太り”でも、筋肉がついたマッチョ系小太りなら長生きすると思いますが、私みたいに腹まわりが1メートル近くあった“ぜい肉小太り”は、やっぱり健康的にはまずいんです」
そう話すのは、イラストレーターの上田惣子さん。キャリアは30年以上。仕事中は座りっぱなし。運動が苦手でジムは続かず、何よりお酒が大好きだという。太る要素が満載の日々を送ってきた。しかし、2年前の夏、ふと、入浴中につまんだお腹の肉に危機感を覚えた。
「立って足元を見ても、お腹でつま先が見えない。それで計測すると、身長160センチで体重60キロ。下腹部がなんとほぼ1メートルの99.5センチもあったんです」(上田さん、以下同)
健康診断の結果も追い打ちをかけた。空腹時血糖値113mg/dl。糖尿病予備軍と判定されたのだ(110~125mg/dlで糖尿病境界型)。
「父が糖尿病と高血圧で、59歳で脳梗塞を患いました。私は食事の好みも体質も父にそっくり。特にお酒は父も私もすごく飲んで。“父のようになってしまうのでは”と強い不安に襲われました」
そんな上田さんが始めたのは「あすけん」という食事管理ができるスマホアプリ。
「食べた食事を入力したら、カロリーや栄養素を自動で計算してくれます。さらにアプリ内のAI栄養士キャラクターが栄養バランスをアドバイスしてくれるんです。お酒を飲みすぎても、“すごい飲みっぷりですね”とコメントをくれて、あまり怒らないでくれるのもよかったです(笑)。
それに、必要摂取カロリーや、PFC(タンパク質・脂質・炭水化物)バランスで不足した栄養がわかることもよかった。脂質を思っている以上にとりすぎていることなど、続けるほどに食生活のクセが見えてきました」
ちなみに、アプリは無料で記録やアドバイスを受けることができるが、PFCバランスの表示は有料版のみ。
実際、上田さんはどのような食事をしていたのだろうか。
「朝は炭水化物もとって、昼は野菜中心に。夜はお酒を完全にはやめず、適量だけ。以前は、日本酒3合にビールや缶チューハイも追加していましたが(笑)。脂っこいつまみを減らし、それでも空腹なら電子レンジでしんなりさせたキャベツを山盛り食べていました。寒い季節は、野菜やお肉を鍋にして、栄養とカロリーセーブを意識していましたね。それほどキツイ管理はしなかったからこそ続けられたのかなと」
“やればできる”という自信に
ダイエットを周囲に宣言したことも大きかったという。
「手土産はいつもスイーツだった友人が、お花を持ってきてくれるようになったり。皆さん、意外と協力してくれるので、ダイエット宣言はゼッタイ必要だと思います」
やせるモチベーションのアップにつながったのが、最初の成功体験。
「ダイエットを始めて数日後、“ちょっと体重が減ってきたかな?”と思って体重を量ると、2.6キロも減っていて。ここ数年60キロより減ることがなく、ダイエットの“壁”だと思っていたのですが、60キロを突破できたことが心理的に“やればできる”という自信になりました」
ダイエット中、効いた食材が、玉ねぎ。血行促進・代謝アップ、糖質代謝のサポートや腸内環境の改善が期待できるとか。
「玉ねぎ1個をスライスし、酢とはちみつを加えて2~3日置いた“酢玉ねぎ”がお気に入りでした。食前に食べるとお通じがよくなり、代謝のサポートにもなった気がします。夫の健診結果の数値もよくなりました」
しばらく続けていると、食べ物の好みが変わってきたのだそう。
「例えば以前は、カステラとかアイスを時折無性に食べたくなっていたんですけど、最近はそれが枝豆になりました。味覚が変わったのかも」
体重が落ち始め、スーパーへの買い物は速足ウォーキングにするなど、生活全般がダイエットへの方向へと回り始めた。苦手な運動も無理しない程度に実行。
「トイレに“スクワット10回”洗面台の鏡に“かかと上げ10回”とか、付箋に書いて貼り、こまめにチョコチョコッと運動しました。身体を動かすことで、気持ちもさらに意欲的になった気がします」
以降、ゆっくりではあるものの、着実にウエイトダウンしていった。結果、60キロあった体重が8か月で5.6キロダウンの54.4キロになり、ウエストまわりも87.5センチから82センチに大幅ダウン。下腹部も99.5センチから90.5センチに減らすことに成功したのだ。
何よりも続くことが体重維持のポイント
「お肌もツルツルとまではいかないものの、スルスルぐらいにはなり、身体が軽く、朝ごはんが美味しく感じられるようになりました」
そして、1年半たった現在でも、50キロ台中盤の体重をキープできている。
「年末年始は食べすぎたりもするんですけど、そのあと調整していけばいいじゃない、と気楽に。食べすぎたと思ったら、なるべく脂っこいものや味が濃いものは食べないように調整して、1週間から10日スパンで元の体形に戻すようにしています」
上田さんは、ダイエットが長続きするように“ゆるく”やることを意識している。
「多少自分を甘やかしてもいい。何よりも続くことが体重維持のポイント。きついルールで縛ると、どうしたってリバウンドしますから」
取材・文/千羽ひとみ
上田惣子さん イラストレーター歴30数年。著書に『マンガ 自営業の老後』(文響社)、『うちのネコ「やらかし図鑑」』(小学館)、イラストを担当した著書に『マンガでわかるリアル「脳卒中」患者と家族を支えるヒント』(主婦と生活社)など。

