“球界のプリンス”と称された男も、いよいよキャリアの最終盤を意識しはじめたようだ。阿部慎之助監督のもと、昨季は屈辱の代打生活を経験した巨人の坂本勇人。最近の言動からは、全盛期の輝きとは対照的に引き際を見定めようとする葛藤が透けて見える。
悪夢のような1年だった2025年
1月11日、YouTubeの「名球会チャンネル」で公開された座談会。坂本は、中日の大島洋平や楽天の浅村栄斗を前に、自身の引退について極めて率直な胸の内を明かした。
「40歳までやりたいとかはない。でも、やってるかもしれない。全然、想像ついてないですね」
そう語る表情には、ベテラン特有の割り切りと、出口の見えないトンネルを歩むような不安が同居しているように見える。
思えば、2025年シーズンは坂本にとって悪夢のような1年だった。高卒1年目を除けば自己最低となる打率.208。後半戦はベンチを温める日も増えた。スポーツ紙のインタビューでは、「試合に出てないから、めっちゃサビれていってる感じがする。ベンチで試合を見ていて『俺、やめたほうがええんちゃうん』と思う時がある」と自虐的に語っていたが、その後に続けた「でも、思わないほうがいい。1年でも長く頑張りましょう」という言葉にこそ、引き際への迷いが宿っていた。
「ここ数年の坂本選手は、遊撃手としてのキレが失われ、三塁転向後も打力の低下に苦しんでいます。それでもファンが期待してしまうのは、達成可能な大記録が残されているから。立浪和義氏の持つ二塁打日本記録487本には残り18本、そして張本勲氏、王貞治氏ら歴代7人しか成し遂げていない通算2500本安打には残り53本に迫っている。これらはレギュラーに定着すれば届く位置にあり、ここに名を連ねることは歴史的選手の一人になることを意味しますからね」(スポーツ紙記者、以下同)
サードの定位置を争う若手のリチャードに対しても、「去年は僕がショボすぎてチャンスを与えてしまった。今年は負けない」と強気な姿勢を見せているが、これは裏を返せば、今年ダメなら終わりだという背水の陣の表れだろう。
「記録へのこだわりは強いはずです。もし彼が2500本、あるいはその先の3000本安打へ迫るようなことがあれば、今後、半世紀は達成者が出ないような金字塔になります。本人は辞め時を模索しながらも、その数字の重みとの間で揺れ動いているのが実情ではないでしょうか」
グラウンドで“引退”の二文字がチラつくなか、世間を驚かせたのがプライベートでの“心境の変化”だ。昨年12月に行われたトークショー。ファンとの交流の中で「流れ星に願い事をするなら?」と問われた坂本は、迷わず「結婚相手」と即答し、こう続けた。
「1人は別に苦じゃないですけど、いつかは子どもがいっぱいいて、賑やかな家庭がいいですね」
独身貴族を謳歌してきた坂本。だが、今年37歳という年齢を迎え、ユニフォームを脱いだあとの生活を見据えて家族という安らぎを求めるようになったのか。
「プロ野球選手として終わりを意識し始めた時期に、家庭を持ちたいと願うのは一つの区切りかもしれません。しかし、ネット上では冷ややかな視線も……。理由の一つは、数年前に世間を騒がせたスキャンダル、いわゆる『けつあな確定』騒動の影響です。あの件でついた独善的で奔放なイメージが、家庭人としての誠実な印象と結びつかない。かつての騒動によるネガティブな印象は根深く、“大家族計画”が一部で不評を買ってしまっている状況です」(スポーツ紙ライター)
坂本は野球人生の“最終章”をどのように迎えるのだろうか。
