東京・新宿区歌舞伎町の路上で男性と口論になった末に1対1での喧嘩、いわゆる“タイマン”を張って死亡させるという事件が発生。1月8日に警視庁暴力団対策課は、千葉県八千代市の無職・浅利風月(ふづき)容疑者(26)を決闘および傷害致死の疑いで逮捕したと発表した。
“タイマンの喧嘩”は、決闘に該当し得る
この一報で注目されているのが、今回の事件に適用される可能性のある『決闘罪ニ関スル件』という明治期に制定された法律。『決闘罪』とは、そもそもどんな法律なのか。アディーレ法律事務所の南澤毅吾弁護士に話を聞くと、
「決闘罪とは、“合意のうえで互いに暴力を振るう行為そのもの”を処罰する特別法です。現代では、ほとんど使われていない印象がありますが、法体系上は、現役の法律です」
と説明する。明治の時代、西洋文化の流入によって1対1で決着をつける“決闘”が社会問題化したため、それを禁じる目的で作られたのが、この法律とのこと。
現代での“決闘“の定義については、
「“当事者の合意に基づき、互いに生命や身体を害する暴行をもって争う行為“が決闘と定義されています。今でも事前の合意のある“タイマンの喧嘩”は、決闘に該当し得ます」(南澤弁護士、以下同)
実際、近年でも河川敷や路上でのタイマンを理由に“決闘容疑”で逮捕されるケースもあるという。
決闘かどうかは「あくまで判断材料の1つ」
今回のように、逮捕された容疑者の決闘罪と、傷害致死罪の関係はどうなるのか。
「決闘罪は合意的暴力行為を処罰し、社会秩序を守るための法律です。そのため被害者は、社会や国家そのものとなります。一方で傷害致死罪は、結果として人を死なせたことを処罰する法律で、被害者は負傷した人となります。それぞれが目的の異なる犯罪のため、理論上は決闘罪と傷害致死罪の併合処罰が可能です」
処罰が重くなるかどうかについては、慎重な見方も示す。
「決闘罪が成立すれば、量刑上の加算要素にはなり得ますが、実際の裁判では死亡結果の重大性や暴行の態様が、より重視されます。決闘かどうかは、あくまで判断材料の1つにすぎません」
それでも今回、あえて決闘罪が持ち出された意味は小さくないとも。
「近ごろ、私的な暴力で物事を解決しようとする風潮が目立っています。警察としては“タイマンだから許される”といった認識に対して明確にNOを突きつける意図があるのではないでしょうか」
137年前に作られた『決闘罪』という古い法律が、現代の繁華街で生じた喧嘩で再び注目された今回の事件。少年漫画や格闘ゲームの中よりも、タイマンの先にある現実は厳しそうだ。
