福岡県警城南署

 福岡県警城南署は1月6日の午後1時36分、同県福岡市城南区のマンションの一室で3体の変死体を発見。のちにこれは同部屋に住む33歳の母親と6歳の長女、4歳の長男と判明した。

 現場のマンションは6階建てで、部屋はおおよそ2LDKの広さ。築20年以上が経過しているものの、すべての部屋が月12万円前後する、同エリアの中では“高級”と呼べる賃貸マンションだった。

生活苦による「無理心中」か

 遺体発見の経緯を、捜査関係者がこのように明かす。

「住人の家賃滞納が続いたため、不審に思った家賃保証会社が、不動産会社から鍵を借りた上で、母親の知人女性を伴って部屋を訪ねた。インターホンを押しても反応がなく、“家賃が3か月滞納している住人と連絡がとれない”と城南署へ通報。署員が駆け付け、玄関ドアの開錠に立ち会って、遺体の発見に至ったわけです」

 子ども2人はパジャマ姿で布団の上に仰向けに寝ており、母親は部屋着のようなものを着用して、クローゼットの中で亡くなっていた。

「玄関の鍵は施錠されていて、窓も内側から閉じられていた。3人とも着衣に乱れがなく、部屋には物色されたような形跡もなかったため、第三者が起こした強盗殺人のような可能性は今のところは薄いと聞いています」(地元紙社会部記者)

 司法解剖の結果、子ども2人は窒息死、母親は縊死(いし)だった。したがって、

「現在のところ、生活苦によって母親が子どもを殺害した上で、自らの命を絶った無理心中の線が濃厚ではないかと見られています」(同・社会部記者)

 しかしながら、母親が残した遺書のようなものは見つかっていない。

「無理心中を視野に入れつつも、あらゆるケースを想定して捜査を継続しているところ。そのため、子ども2人がどのような方法で窒息死したのかも含めて、3人の死亡推定時刻もあえて発表していない」(前出・捜査関係者)

近隣住民が語る母子の姿

 事件発生時の様子を近隣住民に聞くと、

「マンション前の道路にパトカーや救急車、消防車などがずらりと何台も並んどって、何があったんだというように騒然としとった。そのうち、救急隊が遺体らしきものを次々と運びだしてきて……。母親の知人らしき女性が、外で呆然として座り込んどった姿が忘れられない」

 母親はシングルマザーだったが、この部屋に引っ越してきたのは6、7年前だったという。

「長女が生まれる前後やったと思う。そのころはご主人もたまに見かけたけど、最近はさっぱり。4年くらい前に、長女と一緒にベランダで花火をしているのを見たのが最後かもしれんね」(同・近隣住民)

33歳の母親と6歳の長女、4歳の長男の変死体が発見された福岡市城南区のマンション

 別の近隣住民は、昨夏のとある出来事を鮮明に覚えていた。

「地元の小学校では、1年生の夏休み前に学校で鉢に植えた朝顔を自宅に持ち帰るのが慣例になっとってね。娘さんが朝顔をベランダに置いとったから、“あぁ、あの子がもうこんなに大きくなったんだな”って思った。じきに7歳だったやろうにね」

 同じマンションに住む女性は、母親が子ども2人を送迎する姿をよく見かけたそう。

「お母さんは中肉中背で、どこといって特徴はないけれど、茶色の髪を後ろで結んでいた。以前は朝8時ごろ、お子さんたちを保育園まで徒歩で送り、夕方に迎えにいって帰宅するときにきちんと挨拶してくれました。それ以上の会話はしたことないですね。出かけるときは子どもが勝手にあちこち行くので、“こっちよ、こっち!”って呼んで、ごくごく普通のいいお母さんでしたよ」

「開けてーっ!」と泣き叫ぶ声が

 捜査関係者によると、「一般的な虐待はなかった」ということだが、同じマンションに住む男性は数年前、長女について不審に思ったことがあったと明かす。

「夜、娘さんの大声が外から聞こえたので、何事かと思ったら、どうやら家から閉め出されちゃったみたいで……。“開けてーっ!”と泣き叫ぶ声を何度も聴いたとですよ。警察に通報したほうがいいのかなと思ったこともありました。保育園から帰ってくるときも、手をつないだりせず、お母さんの少しあとをトボトボついていくような感じで、ちょっと不自然な感じはしましたね」

 母親は暗い感じがしたとも。

「いつも化粧っけがなくて、服装は普通というか、地味でした。数回、話はしましたが、話したくなさそうで、会話が続かなかったです」(同・男性)

33歳の母親と6歳の長女、4歳の長男の変死体が発見された福岡市城南区のマンションのベランダ

 長女はなんらかのSOSを周囲に発信していなかったのか。長女が通っていた小学校と福岡市教育委員会へ問い合わせてみたが、「生徒の個人情報に関わることなので、いっさいお話しすることはできません」とのことだった。

 家賃が払えなくなるほど生活に困窮していた反面、母親が仕事をしていなかったり、“高級”と呼べるマンションに住んでいたりと疑問も残る。

「両親やきょうだい、親戚や友人にもう少し早い段階で相談できていれば、こうはならなかったのではという気もしますが、世間から孤立してしまって誰にも相談できなかったのかもしれません」(前出・同じマンションに住む男性)

 親子3人にいったい何があったのか。今後の捜査の進展が待たれる。