「昨年は40歳になり前厄だったのですが、役者は“役”が落ちるから厄払いはしないほうがいいって聞くじゃないですか。なので、厄払いをしなかったのですが、お仕事は絶好調でした(笑)。
そのぶん、子どもたちと遊ぶ時間は少し減りましたね。ゲームが大好きなので、今日仕事が終わったら一緒にする約束をしているんです。最近、遊べていなかったので、すごく楽しみです」
あのときのような“顔芸”ができたら
昨年、40歳という節目の年を迎え、公私ともに充実した一年を過ごしたという松山ケンイチ。そんな彼の俳優としての2026年は、主演ドラマ『テミスの不確かな法廷』でスタート。
発達障害ゆえに社会になじめない裁判官・安堂清春(松山)が、自らの特性と格闘しながら、難解な事件に挑んでいく法廷ヒューマンドラマだ。
「僕が演じているのは、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)という特性がある裁判官。一つひとつの行動にしても、特性が影響しているのか、それとも日常的な反応なのかとか、今までの作品と違って、立ち止まって考えながら演じることが多かったです。
特性をきちんと表現するために、スタッフさんが“安堂清春ノート”を作ってくれたんですよ。服装やしぐさ、苦手なこととか、安堂の人となりについて事細かに書かれたノートなんです。それをもとに役作りをしていました」
裁判官役は、連続テレビ小説『虎に翼』('24年)以来、約1年3か月ぶり。演じた桂場等一郎は、ヒロインの上司で普段は仏頂面ながら、時折見せる喜怒哀楽の表情が“顔芸”と、ネットなどで話題になった。
「裁判官役という意味では、法服を着たり、法廷のセットとかも初めてではないですし、そういう意味では慣れています。でも今回は、時代背景もそうですし、桂場は最高裁長官の役でしたから、全然違いますよね。
ただ、できているかわかりませんが、少しはあのときのような“顔芸”ができたらいいなって思いながら、やらせていただいています(笑)」
ドラマの撮影を前に、初めて東京地方裁判所へ見学に訪れたそう。
「法廷って、ドラマや映画だと声を荒らげる人がいたりと、すごく劇的じゃないですか。実際に訪れてみると、裁判中は静かで淡々と進んでいって、今まで感じたことがない不思議な空気感でした。
やはり人を裁く仕事というのは、僕自身は抱えきれないと感じますし、普段の生活にも影響してしまう部分もあると思うんです。裁判官は難しい職業だとあらためて感じました」
私生活では、東京と地方の2拠点生活を送る松山は、仕事のペース配分の大切さを実感していると話す。
「無理をするとプラスマイナスでゼロに」
「田舎に帰ったときにゆっくりと休めるので、普段は仕事のオンオフを設けないようにしています。というのも以前、次の仕事にゆとりを持たせたいと思って1週間に予定を詰め込んだら、忙しさの反動で10日間くらい寝込んだんです(笑)。
だったら、休みがあまりなくても、仕事を分散させたほうが、生活にゆとりが持てるし結果的に良かったんじゃないかと思うようになって。無理をするとプラスマイナスでゼロになりますし、実体験として学んだので、今年もそのペースを守って頑張っていけたらと思います」
セリフはこうして覚えてます
「僕はセリフをノートに書いて覚えています。大河ドラマ『平清盛』('12年)に出させていただいたときからずっと続けていて、書くと半分くらい覚えられます。台本を読むと、どうしても5分で眠くなっちゃうんですよ(笑)。なので、現場にもそのノートは持ってきていますね」
