「白米抜きでおかずだけ食べる。ポッコリお腹を引っ込めるために腹筋。これらは狙った効果が得られない間違ったダイエット法です」
と断言するのは、日本体育大学教授の岡田隆先生。ダイエットとして定着している糖質制限は何がダメなのか。
糖質制限も腹筋もダイエット効果は薄い
「筋肉はエネルギーがなければ、動くことができません。そのエネルギー源となるのが、タンパク質・糖質・脂質。このうち、タンパク質は筋肉の材料としてメインに使われるため、筋肉を動かすガソリンは実質、糖質と脂質の2つなのです」(岡田先生、以下同)
糖質制限は2つしかないエネルギー補給の経路を自ら断つのと同じ。タンパク質の分解を促して筋肉量減少や基礎代謝低下を招くこともある。
「しかも糖質は、脂質より速やかにガソリンになる効率の良いエネルギー源です。脳の主要なエネルギー源でもあり、頭脳を使うときに大量に消費されます。安易な糖質制限は、心身に悪影響を与える可能性が大きいのです」
さらに衝撃的な事実。お腹の脂肪は腹筋ではとれない?
「私は体育学博士として、お腹の脂肪を落とす方法を20年以上研究しています。その経験から断言しますが、腹筋ではポッコリお腹は解消できません」
そもそもお腹に脂肪がつきやすいのには理由がある。
「脂肪には、身体の引っ込んでいる部分につく性質があります。骨格を思い浮かべるとわかりますが、お腹はくびれているため、余った脂肪が蓄積しやすい部位。
ポッコリお腹は、もともとある腹筋やくびれを脂肪が覆い隠している状態ですから、筋肉を鍛えてもその上にのっている脂肪はなくなりません」
ポッコリお腹の解消は脂質を抑えた食事
「太りやすいメニューというと、ラーメンやチャーハン、カツ丼、ドーナツ、ケーキなどが思い浮かびますが、これらはすべて〈糖質×脂質〉の組み合わせ。このうち糖質はエネルギーとして先に消費されますから、蓄積されるのは、ほとんどの場合、余分な脂質。つまり、ポッコリお腹の真犯人は、脂質なのです」
脂質はタンパク質や炭水化物と比べてカロリーが倍以上あり、使いきれず蓄積されやすく、しかも体脂肪になりやすい性質を持つ栄養素なのだ。
ポッコリお腹を解消したければ、身体にたまった脂肪を減らさなければならない。ではその方法は?
「脂肪を減らす早道は、食べ方をかえること。食事量を減らすのではなく、体脂肪がつきにくい食品を増やすということ。体内の脂肪さえなくなれば、お腹は自然に引っ込み、ウエストのくびれも出現。
腹筋はもともと割れた形をしていますから、筋トレしなくても、割れた腹筋が見えてきます。“除脂肪食”は、毎年10kg以上の減量をこなすボディビルダーが試行錯誤を経てたどり着いた、いちばんラクなダイエット方法です」
スリムな身体を維持するために、6つのルールを実践して、除脂肪を始めよう。
除脂肪ダイエット・6つのルール その1
1.脂質は1食10g以下
パッケージ裏の成分表を確認
「除脂肪とは、現代人がとりすぎている脂質を厚生労働省が推奨する基準に基づき、適正量まで減らすことをいいます。脂質を完全にカットするわけではないので、続けやすいのが利点です」
厳密に言えば、年齢や性別、1日の活動量を考慮して算出するが、一般的なダイエットでそこまでする必要はないという。
「コンビニなどで食品を買うときは、〈1食につき脂質量は10g以下〉を目安に選ぶといいでしょう。商品のパッケージ裏には成分表が載っていますから、必ず脂質量の確認を」
2.不要な油を減らす
調理は素材を生かして
ヘルシーなイメージのあるサラダも、ドレッシングで味つけすれば脂質オーバー。低脂質でヘルシーな鶏むね肉も揚げにすると、たちまち高脂質に。
「ほとんどの人は、普段の食事で知らず知らずのうちに脂質を多めにとっています。脂質が多い食品には、例えばマヨネーズのようにツヤツヤしていたり液体に近い状態だったり、溶けやすかったりといった特徴が。それらをできるだけ避けましょう」
“除脂肪食”にするには調理法も段階的に健康的なものにシフトしたい。
「揚げる・炒めるより、調理は素材を生かして、焼く・蒸す・ゆでるがベスト。味つけは塩、こしょうやポン酢などでシンプルなものにかえていきましょう」
3.食物繊維を増やす
噛む回数を増やして満腹感
「食物繊維には食べ物のかさや噛む回数を増やして満腹感を与えたり、血糖値の急上昇を抑えたり、腸内環境を整えて便通を促したりする効果が。ダイエットを強力に後押ししてくれますから、積極的にとるといいでしょう」
ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富な野菜や海藻も積極的に。白米を大麦などの雑穀米にかえるだけでも食物繊維は格段にUPする。中でもスーパー大麦は除脂肪ダイエットのマスト食材。
「低糖質、高品質食物繊維を実現した奇跡の炭水化物。大麦入りおにぎりなどはコンビニでも売っているので手軽に摂取できます」
除脂肪ダイエット・6つのルール その2
4.食べ順を意識する
野菜→タンパク質→ご飯類
食べる順番を変えて、脂質の吸収を抑えるのも手。
「おすすめは、野菜(副菜)→タンパク質(主菜)→ご飯類(主食)の食べ順。野菜に含まれる食物繊維を先にとっておくと、あとから食べる脂質や糖質の吸収がゆるやかになります。食後に血糖値が急上昇すると、太りやすくなるだけでなく血管にもストレスがかかるので、健康のためにもぜひこの食べ順で」
タンパク質を先に食べても同じような効果が得られるが、肉などには脂質が多く含まれる。そのため、やはり食物繊維を先にとるほうが無難。
「肉を先に食べてしまうと、野菜に味気なさを感じることも。味覚という点からも、まず野菜を食べてそのおいしさを存分に味わうといいでしょう」
5.食事を小分けにする
1日5~6回、少量の食事
糖質、脂質にかかわらず、余ったエネルギーは脂肪になるので、一度に食べる量を減らし、小分けにエネルギーを補給するのも有効。
「例えば、昼と夜の食事を控えめにして、減らした分をおやつで補います。〈3時間おきに食べる〉を目安にするといいでしょう。強い空腹感の反動で起こるドカ食いも避けられます」
6.おやつも脂質を控えればOK
食べても罪悪感なし
除脂肪ダイエットでは、おやつも低脂質を選択。
「和菓子や氷菓アイスなど、低脂質で甘いおやつは案外たくさんあります。意外に思われますが、みたらし団子も楽しめます。果物やさつまいもも低脂質です」
食事の回数を増やせない人は低脂質のおやつで間食を。
教えてくれたのは……岡田隆先生●日本体育大学教授。博士(体育科学)、理学療法士、2023WNBFボディビル世界選手権プロマスターズ部門優勝、元柔道全日本男子チーム体力強化部門長(2016リオ、2021東京五輪)。メディアにも多数出演し、YouTube「新・バズーカ岡田チャンネル【岡田隆】」は登録者数12万人以上。『日体大教授が教える「脂肪燃焼」食 運動0でお腹が凹む!』(講談社)
取材・文/中西美紀

