毎年、ツッコミどころが満載となるプロ野球のスローガン。近年は拡散狙いの「キラキラ派」と、伝統の重みを背負う「保守・様式美派」への二極化が鮮明になってきているが、今年も珍ワードが続出しているようで――。
歴史を変えたソフトバンク
かつてのスローガンは硬派な漢字やスタイリッシュな英語が主流だったが、2011年にソフトバンクが掲げた「ダ」が歴史を変えた。
「この時は『ダさすぎる』と失笑を買いましたが、日本一になったことで、以降も『熱男』『1ダホー!』と確信犯的な珍ワードを連発。今季はまだ発表されていませんが、ひねりを加えてくるのは間違いなさそう。また、面白さでは、広島も負けていません。過去には、『℃℃℃(ドドドォー!!!)』や回文の『たった今 このAKAの子 舞いたった』を披露。“SNSでのツッコミ待ち”が球団の重要なブランディング戦略となっています」(スポーツ紙記者、以下同)
注目されたのは、中日の「ドラあげ↑」だ。「竜魂燃勝」「勇龍突進」など長年、真面目すぎて地味という課題を抱えていたが、昨年の「どらポジ」に続き、今年も語尾に矢印まで付けてキラキラ路線へ舵を切っている。
「球団創設90周年の節目に沈滞ムードを壊し、順位も気分も上げたいという執念がこの言葉に集約されています。明るいスローガンでチームの雰囲気をガラリと変えたいのでしょう。ただ、営業側がポップなセンスを狙う一方、現場の選手がこのノリに付いていけるか……」
広島は「がががががむしゃら」「しゃ!」「遮二無二」に続く“しゃ”シリーズ最新作「SHAKARIKI(しゃかりき)」となった。ロゴに「AKA(赤)」を潜ませているのには思わず唸らせられるが、「がむしゃらを超えた必死さ」を伝える狙いがあるのだろう。
「広島のスローガンはわかりやすさより語感の勢いと、『赤』へのこだわりがマスト。広告代理店のプロが考えていそうな職人技です。今回の『SHAKARIKI』も一見突拍子もないですが、シーズンが始まれば、チームの勢いに合致していきそう。迷走しているようで、実は一番軸がブレていない球団と言えます」(スポーツ紙デスク、以下同)
そして、最もSNS戦略を鮮明に打ち出しているのが、オリックスの「熱決 #Bassion2026」だ。
「スローガンの中にハッシュタグをそのまま入れるのは、SNSでの見つけやすさをアップさせて、ファンが気軽に投稿したり広めたりしやすくする工夫でしょう。球場の中だけでなく、ネットのコミュニティにも広げて一緒に盛り上がりたいという思いが伝わってきます」
対照的に、巨人は「前進~GIANTS CHALLENGE~」と例年通りの様式美を貫く。他球団がキラキラした言葉で飾る中、遊びを排除した無味無臭なワード選びに、逆に王道を行く本気度が際立つ。
そんなネタ系や王道系が入り乱れる中、独自のブランディングを見せるのがロッテと楽天だ。
「ロッテは、かつての『マウエ↑』といった珍路線から一転、今年は『PLAY FREE. WIN HARD.』と、まるでアパレルブランドのような都会的でお洒落なスローガンに変更しています。一方の楽天は、『強鷲革新(きょうしゅうかくしん)』と武骨な造語を採用。いかつい刺繍を入れたファンがスタジアムに押し寄せるのを想像してしまいますね」
果たして、どのスローガンが勝利を呼び込むのか。
