高市首相

「2014年に安倍(晋三)元首相がアベノミクスを焦点に戦った選挙と手法が似ているんです。今年1月5日に伊勢神宮で安倍首相の写真の入ったファイルを掲げて参拝したのも、(安倍元首相の)やり方を踏襲するという意味があったのかもしれません」(政治ジャーナリスト)

 2月中の総選挙が現実味を帯びてきた。新聞各社は1月23日に召集される通常国会において、高市早苗首相が衆院解散を検討していると報じている。

1月の衆院解散で訪れる「最悪のシナリオ」

 しかし自民党議員による旧統一教会問題や違法献金問題など、うやむやにしてはならない疑惑が多く、なぜ今解散するのか、という声が多い。

「高市首相側は疑惑を残したままでも勝算があるとみているのでしょう。

 円安も進んでいるし、物価も上がるし、儲かる未来が全然見えないサナエノミクスは最近になってサナエノリスクと呼ばれています。アメリカのトランプ大統領にゴマをすり、いいように使われ続けているにもかかわらず、高市内閣の支持率は70%超と高い。これでは国民はナメられて当然。そのうえ野党が実質、機能していないという点で'14年の選挙での自民党圧勝による安倍首相の長期政権が思い出されるのです」

 とは冒頭の政治ジャーナリスト。1月の衆院解散で訪れる最悪のシナリオをシミュレーションしてもらった。

高市内閣で最も怖いのが憲法改正です。首相はかねて、日本は憲法9条2項(戦力不保持と交戦権否認)を改正して自衛権を有し、自衛隊を『国防軍』として保持するべきだと主張してきました。

 自民党と連立を組む日本維新の会も藤田文武共同代表、馬場伸幸前代表を中心に憲法改正に積極的であることから、選挙で与党が勝利すれば、憲法改正の議論が本格的に進むことになります」(同・政治ジャーナリスト、以下同)

 すると何が起きるか。

「戦争ができる国へと変わってしまうのです。昨年12月16日の予算委員会でれいわ新選組の奥田芙美代議員が高市氏に“総理、子どもたちを絶対に戦争に行かせない、絶対に巻き込ませない。はいか、いいえで答えてください”と質問しました。これに対して高市氏ははいとも、いいえとも言わずに“大切な子どもさんの命を守るために私は戦います”と答えました。

 この発言を聞いて改憲する気なんだな、と確信しました。これまでは連立を組んでいた公明党がストップをかけていたが、憲法改正に乗り気の維新と組めばあっという間に通ってしまうでしょう」

 不穏な動きは他にもある。「スパイ防止法」の議論だ。

「政権批判をしたらスパイだ、なんてことになりかねない」

 この選挙で自民党が勝てば、国民の信を得たと言われかねないのだ。

物価の上下はトランプ次第!

 多くの国民が高市政権に求めているのは物価高対策。ガソリン価格はガソリン税の暫定税率廃止でようやく下がったものの、コメをはじめとする食品の値上げが続いており、生活実感は依然として厳しいまま。前出の政治ジャーナリストは、

「物価高の要因は(1)長期的な円安で輸入コストが上昇している、(2)原油や穀物など原材料・エネルギー価格の高騰、(3)海運や輸送を含む物流費の高止まり、(4)肥料・飼料や人件費の上昇、(5)異常気象や地政学リスクによる供給制約などが複合的に影響しており、一朝一夕で片づく問題ではありません。

 そのため、高市政権も対策を続けているものの、総合的な物価上昇圧力の解消の実現には至っていません

高市早苗首相はトランプ大統領のまるで言いなり。物価の上下もトランプ次第。ここはどこの国なのか

 さらに医療費の負担増も懸念される。

「昨年末の診療報酬改定では、診療報酬本体がプラス3・09%、薬価・材料価格の引き下げを含めて全体でプラス2・22%となりました。窓口での自己負担率自体は維持されますが、薬価見直しや給付範囲の変更によって、一部の薬剤や検査・処置で患者の自己負担が増える可能性があります。

 ただし、昨年から続く物価高については、米トランプ政権の関税政策が主な要因といわれています。トランプ氏は鉄鋼やアルミ・自動車とその部品などの輸入品に関税を課し、米国内産業の保護やサプライチェーン(製品の製造から販売までの一連の流れ)の米国内回帰を目指していますが、この政策がさらなる円安・ドル高を招き、結果として日本の物価が高騰したのです。

 現在、米国ではこの関税措置の違法性をめぐる訴訟が最高裁で争われており、近いうちに判決が出るといわれています。関係者によれば違憲判決が出る可能性が高く、トランプ関税の大部分は失効するとの見方が強まっていますが、そこでようやく物価高もいったん落ち着くと予想されています。これは“棚ぼた”ではありますが、高市政権にとっても追い風になることは間違いありません」

 たとえ物価が下がったとしてもトランプ次第では心もとない!

旧統一教会議員は退場で政権弱体化?

 選挙の焦点には、旧統一教会と関係が指摘される議員の当落も。昨年末に韓国で報じられた旧統一教会の内部文書と見られる資料には、自民党議員約290人が支援対象として記載され、高市首相の名前も「安倍晋三元首相が強く推薦している」などの表現を含め32回にわたってあったという。

統一教会は「世界平和統一家庭連合」と名前を変え、活動を続けている。記者会見する田中富広前会長

「文書の真偽は不明ですが、すでに日本メディアもその内容を詳細に報じ始めており、選挙への影響も囁かれています。高市首相は自身の関係を否定していますが、安倍元首相が殺害された直後の'22年9月に自民党が公表した調査では、当時の所属議員約380人のうち179人が旧統一教会と接点を認め、うち121人は関係が深いとされました。

 有権者が旧統一教会と関係を持っていた自民党議員にノーを突きつけた場合、高市政権は大きな痛手を被るでしょう。特に自民党の幹事長代行を務める萩生田光一氏の当落は党内外の注目を集めています。萩生田氏は昨年の総裁選でも首相を支え、強固な信頼関係を築いていますが、旧統一教会の関連団体との関係を本人が認めており、教団系の集会出席や講演記録など具体的な接点が報じられています。

 萩生田氏の地元、東京・八王子には連立を離脱した公明党の支持母体・創価学会の活動拠点が複数ありますが、今回は学会の協力が期待できないため、落選の可能性も。もし党内外に広い人脈を持つ萩生田氏が落選するようなことがあれば、高市政権の人事基盤や党内結束に重大な打撃を与えることになる」

 旧統一教会議員を一掃することから始めてもらいたい。

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「山積みの問題を解決しないまま選挙に突入するのは、高市さん自身、支持率の低下が予想できているから。支持率が高い今しかない、と踏んだのでしょう」

 もしも選挙に勝利したら高市独裁国家になりかねない!?