1月20日、大相撲初場所10日目に行われた横綱・豊昇龍の土俵入りで、観客の度重なる大声が波紋を呼んでいる。神聖な儀式であるはずの横綱土俵入りの最中、男性客による絶叫とも取れる声援が館内に何度も響き渡り、批判の声が殺到した。
館内に響き渡る「豊昇龍ー!」
今場所すでに3敗と苦しい展開が続く横綱・豊昇龍は、この日も露払いを務める十両八枚目・明生、太刀持ちを務める前頭六枚目の平戸海を伴って東の花道から入場。横綱土俵入りは本来、力士の威厳と風格を示す神聖な儀式だ。しかし、豊昇龍が土俵に向かう道中、何度も「豊昇龍ー!」という男性の叫び声が館内に響き館内がざわついた。
その後もタイミングをずらして「頼むぞ豊昇龍!」などという声が響き、館内は異様な雰囲気となった。掛け声は土俵入りだけでなく、取り組み直前、相手方小結・王鵬との立ち会い時、軍配が返った際の静寂の中またもや「豊昇龍ー!」という大声が響き渡ったのだ。
この声援に視聴者からも「立ち合いは、静かにして欲しい」「軍配返ってからの大声は止めろって何回言わせるんだよ」「観客うるさい」などマナーの悪さを咎めるコメントが散見。
「大相撲における観戦マナーは、これまでも繰り返し議論の的となってきました。昨年11月の九州場所7日目には、豊昇龍と前頭四枚目・玉鷲の立ち合い前に男性客の野次が響き、NHK大相撲中継の実況でお馴染みの藤井アナウンサーが『ここはお静かにお願いします』と異例の苦言を呈する一幕もありましたね」(スポーツ誌記者)
相撲協会が呼びかける観戦マナー
大相撲・初場所開催前の8日、日本相撲協会は公式YouTubeチャンネルで『相撲観戦前に観て下さい!観戦マナーについて親方会議!』と題し元幕内・栃栄の三保ヶ関親方らが観戦マナーについて注意喚起を行なっていた。
動画内では「入り待ち」での声かけ、手拍子応援、座布団投げの禁止など切実に訴えた。
特に立ち会い時については「立ち合いの瞬間、力士たちは一瞬で決まってしまう勝負にすごく集中している。その集中している瞬間、声をかけずに集中できる環境を作ってあげようとしてくれているのがファンの方々だと思う」と語っていたが、マナー違反者には届いていないようだ。
豊昇龍にとって重要な一番だったこともあり同情する声も多いが、ファンの矛先は相撲協会に向いているようで─。
「毎度マナーが問題になってるのに何の対策も講じないのか?」「横綱土俵入り、立会の瞬間などは『お静かに』をプレートを上げ下げして『観客へのしつけ』をすべき」「他のスポーツはプレイヤーの集中力を削がないような措置が取られているし、ファンのマナーも統一感がある」など、相撲協会への対応を求める声が多い。
「過度な応援は逆に力士の集中を妨げ、取組の質を損ないかねません。今一度、観客一人ひとりが相撲という伝統競技の持つ価値を理解し、節度ある応援を心がける必要があります。協会側も、より明確なガイドラインの提示や場内アナウンスの強化など、積極的な啓発活動を展開すべき時期に来ているのではないでしょうか」(同・スポーツ誌記者)
日本相撲協会は今回の初場所から、国技館入り口で『観戦ガイドブック』を配布している。その中に「大相撲観戦礼法」を掲載しているようだが「わかりやすくイラストで紹介するのはいい試み」「マナーを守らない客を締め出すぐらいの勇気も必要」「ちょっとゆるい」など、対応の甘さに賛否があるようだ。
今場所、豊昇龍は小結・王鵬を上手出し投げで下し7勝目を挙げた。もう一人の横綱・大の里は前頭四枚目・熱海富士に取り直しの末敗れ、4敗目を喫している。そんな中、応援に力が入るのは理解できるが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることこそが、ファンに求められる姿勢ではないだろうか─。
